電話対応でラポール(信頼関係)を築くには?
更新日:2024.05.23秘書代行ラポールは、「架け橋」や「信頼関係」を意味する言葉です。最初は心理学の分野で用いられ、後にビジネスの場でもコミュニケーションの円滑化に活かせると認識されました。ラポール構築の手法を理解すれば、電話対応でもお客様との信頼関係を築くのに効果があるでしょう。そこで今回は、ラポールの基礎知識をふまえたうえで、電話対応で役立つ手法やラポール構築のコツをご紹介します。
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目次
ラポールの基礎知識
ラポールは、人々の信頼関係が成立した状態を示す言葉です。ビジネスの場では、ラポールの構築がコミュニケーションの円滑化につながると考えられています。以下では、この言葉の意味・由来やコミュニケーションにおけるメリットをご紹介します。
ラポールの意味や由来
ラポールは、もともとフランス語で「架け橋」の意味がある言葉です。そこから、「人々の心に橋をかけて信頼関係を築く」といった意味合いが派生します。この言葉が「信頼関係」の意味で使われ始めたのは、心理学の分野です。臨床心理学の専門用語では、「セラピストとクライアントの間でお互いに信頼し、安心して交流できる関係が成立している心の状態」を指します。
従来、心理療法でセラピストがクライアントに何でも打ち明けてもらうには、お互いの心を通わせラポールを築くことが大切と考えられてきました。現在も、ラポールの構築はクライアントの不安や警戒心を和らげるうえで不可欠になっています。ビジネスの場でもラポールを築くと緊張感が緩和しやすいため、コミュニケーションの円滑化につながると期待されています。
ビジネスにもたらすメリット
ラポール構築がビジネスにもたらす主なメリットは、お互いに警戒心を取り除ける点です。顧客対応する際、お客様に警戒心を抱かれると本音を聞かせてもらうことは難しくなります。商品について質問された時も、どんな説明が求められているか本当のニーズが分からないと適切に回答するのは困難でしょう。
接客時にラポールを築けた場合、お客様は心を開いてくれると考えられます。お互いに話しやすい雰囲気になり、商品に関する疑問点を詳しく聞き出せれば、適切に案内することも難しくありません。さらに、コミュニケーションが深まりお客様の印象がよくなると、案内した商品を購入してもらえる可能性も高まると期待できます。
電話対応で役立つ手法
電話対応でラポール構築に役立つ代表的な手法は、「ミラーリング」「マッチング」「ペーシング」「バックトラッキング」「キャリブレーション」の5つです。以下では、それぞれの手法の具体的な中身について解説します。
「ミラーリング」
「ミラーリング」は、相手の表情・呼吸方法・姿勢・動作などを観察しながら鏡のように合わせる方法です。表情は、目や口の開き具合を相手に合わせます。呼吸方法については、胸とお腹のいずれで呼吸しているか、また息の深さやリズムも観察対象です。姿勢や動作は、腕や足を組んでいるか、さらに体全体や指先の動きにも細かく目を向けます。
表情や呼吸を合わせると、自分が相手に対して共感や好意を抱いていると伝えるのに有効です。そのため心理学分野では、ミラーリングがお互いの心を通わせることにつながると考えられています。電話対応ではお互いの表情や姿勢を観察できませんが、呼吸のリズムを合わせればミラーリングの効果を得られると期待できます。
「マッチング」
「マッチング」は、会話中に声のボリューム・トーン・話すテンポなどを相手と合わせる方法です。声のボリュームに関しては、大きいか小さいかに耳を傾けます。トーンを確認する場合、声の高さがチェック対象です。テンポを合わせる時は、ゆっくり話すか早口かを確かめます。
多くの人は、声の大小・高低や会話のスピードが大きく異なるより近似しているほうが心地よく話せるといわれています。そのためマッチングは、会話をスムーズに進めるのに有効であるといえるでしょう。電話対応なら相手の声をチェックすることは難しくないため、このテクニックは大いに活用できると考えられます。
「ペーシング」
「ペーシング」は、話し方や会話のペースを相手と合わせ会話で使われた言葉も盛り込みながら話を進める方法です。自分の話し方や会話のペースを相手に合わせるところは、「マッチング」と共通しています。そのうえで、相手が用いた言葉を自分の表現にも取り入れる点が、「ペーシング」の特徴です。
話すスピードや表現を合わせた場合も、「ミラーリング」と同様に相手を理解していると伝えられる効果があります。ただし、話し方や会話のペースは表情や姿勢と異なり目に見えないため、「ミラーリング」より難易度は上がるといわれています。この点は電話対応でも同じであり、「ペーシング」を実践する時は相手の言葉に耳を傾けることが大切です。
「バックトラッキング」
「バックトラッキング」は「ペーシング」に類似し、相手の言葉を繰り返しながら会話を進めていく方法です。この方法は、相手の言葉をそのまま使うところが特徴に挙げられます。基本的に同じ言葉を繰り返す理由は、安易に表現を変えると話の内容が大差なくても相手の発言を正しく聞いていないと思われる可能性があるためです。
心理学の分野では、不用意に言葉を変えないことで相手の信頼を得やすくなると考えられています。相手が「ビジネスで利益追求は欠かせない」と話した時は、「売上増は不可欠ですね」などと変えず「利益追求は欠かせませんね」と繰り返します。電話対応でも、「バックトラッキング」を上手に活用すると相手からの信頼感を高めるのに効果的です。
「キャリブレーション」
「キャリブレーション」は、言葉以外の情報を観察しながら相手の心理状態を理解するための方法です。言葉以外の情報には、表情・呼吸・姿勢・動作・声のトーンなどが含まれます。これらに着目する点は、「ミラーリング」や「マッチング」に近いといえます。ただし相手に合わせるのではなく心理状態の理解を試みるところが、この方法の特徴です。
友人と口論になった時は、言葉以外の情報から相手がまだ苛立っているか冷静を取り戻したか判断します。表情や声のトーンで相手が冷静になったと判断できてから再び話しかければ、信頼関係は回復しやすいでしょう。電話でクレーム対応する場合も、息遣いや声のトーンからお客様の気持ちが落ち着いたかを判断すれば問題の肥大化を避けるのに役立ちます。
ラポールを築くコツ
電話対応でラポールを築くコツは、相手の価値観やニーズを理解することです。以下では、これらの理解が大切と考えられる理由をご紹介します。
価値観を理解して距離を近づける
相手の価値観を理解することは自分との距離を近づけるのに効果があり、ラポールを築くうえで大切です。多くの人は、自分の価値観を認められると自分自身が受け入れられたと感じて警戒心を和らげる傾向が見られます。そのため、相手の価値観の理解は双方の距離を縮めるのに有効であり、ラポールを築く時には不可欠と考えられています。
電話対応も例外でなく、相手が何を重要と考えているかを理解することは、ラポールの構築につながる大切な要素です。相手の価値観を肯定すれば親近感を抱かれる可能性は高く、ラポールを築きやすくなります。
ニーズを理解して柔軟にアプローチ
相手のニーズを理解することは、個々に異なる興味・関心に合わせ柔軟にアプローチするうえで大切です。人々のニーズは、個々に異なるケースが多く見られます。家族や親友も、自分と同じものを求めているとは限りません。相手のニーズを理解すれば自分と異なる興味・関心に合わせた柔軟なアプローチが可能になり、ラポールの構築につながります。
電話対応でも、顧客ニーズの理解はお客様の興味・関心に合わせ商品・サービスを案内するのに有効です。お客様のニーズの理解に努めている姿勢が伝われば、お互いの距離も近づくでしょう。そのため、相手の価値観だけでなくニーズの理解も、ラポールを築くうえで大切と考えられています。
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