残暑見舞いのビジネスマナー|例文や基礎知識

更新日:2023.08.31ビジネス豆知識

残暑見舞いのビジネスマナー|例文や基礎知識

残暑見舞いは、8月初旬以降に送る夏の挨拶です。暑中見舞いとは時期が異なり、文面で使える表現には多少の違いが見られます。文章構成や言葉遣いの基本的なマナーを確認しておけば、失礼のない手紙を用意できるでしょう。そこで今回は、残暑見舞いの基本事項や実際に使える季語・フレーズをご紹介し、参考として例文もご提示いたします

※暑中見舞いの書き方については、こちらの記事を!

残暑見舞いの基本事項

残暑見舞いの基本事項

残暑見舞いは、書き方や送付時期のルールを守ることが大切です。マナーに沿った手紙を送れば相手に喜ばれ、良好な関係性の維持にも役立つでしょう。以下では、残暑見舞いの基本的な文章構成や手紙を送る時期についてご紹介します

基本的な文章構成

残暑見舞いの文章を構成する基本要素は、最初の挨拶・季節の挨拶・近況報告・結びの挨拶・日付の5つです。最初の挨拶には、「残暑お見舞い申し上げます」を使います。季節の挨拶では、残暑が厳しいことや暦上で立秋になった旨を伝え、相手の安否を気遣う言葉や日頃の感謝の気持ちを記します。

近況報告は、自分・家族や勤務先の現状・予定を伝える部分です。自分や家族については元気であると報告し、勤務先に関しては夏季のイベントや休業期間を案内する文面が適しています。結びの挨拶は、改めて相手を気遣う言葉で締めくくります。日付は、元号に続いて「晩夏(立秋・葉月)」と記すのがマナーです。

手紙を送る時期

残暑見舞いを送る時期は、暦が立秋を迎えた日から8月末までです。
通常、暦上は8月初旬から秋に入ります。
※2023年の立秋は、8月8日です

ビジネスの場では、お得意様や馴染みの取引先に暑中見舞いを送るケースが多く見られます。ただし、企業によっては、諸事情で時間に余裕がなくなり夏の挨拶が遅れる場合も少なくありません。その際、事情を問わず、立秋を過ぎてから暑中見舞いを送るのはマナー違反です。手紙は、残暑見舞いとして用意する必要があります。

こちらは、8月末に間に合えば失礼になりません。手紙が立秋までに届くかどうか怪しい場合、暑中見舞いでなく残暑見舞いを送ったほうが無難です。

注意したいマナー

手紙の言葉遣いや頭語・結語のマナーについては、注意が必要です。普段通りに書くと、失礼になる可能性があります。残暑見舞いは、ビジネス向けでも堅苦しい表現は適さないといわれています。とはいえ、くだけた文面はNGです。お得意様や取引先に手紙を送る時は、社会人らしい硬めの文章が望まれます。頭語の「拝啓」と結語の「敬具」は、いずれも不要です。

最初の「残暑お見舞い申し上げます」は、本文より大きく書くのがよいと考えられています。また、本文と異なり、句読点をつけない書き方が正式とされる表記方法です。字が上手でなくても気にする必要はありませんが、心を込めて丁寧に書く姿勢は大切になります。

残暑見舞いに使える季語やフレーズ

残暑見舞いに使える季語やフレーズ

残暑見舞いに使える季語やフレーズは、バリエーションが多彩です。文面を工夫すれば、個性的な手紙を書けるでしょう。以下では、秋の雰囲気が感じられる表現をご紹介します

秋を感じられる季語

残暑見舞いの文中に季語を添えると、夏の終わりから秋の初めらしい雰囲気を演出するのに効果的です。秋を感じられる季語としては、晩夏・秋近し・秋立つ・秋の蝉・土用波などが挙げられます。他には、朝顔・夕顔・浜木綿(はまゆう)・新涼(しんりょう)も、残暑見舞いに使える言葉です。

これらの季語は、個性的で秋らしい手紙を書くのに適しています。実際の使い方としては、手紙の文中に織り交ぜる、季語が使われた俳句を余白に添える、あるいは写真やイラストで表現する方法があります。

  • 晩夏 :紅くして黒き晩夏の日が沈む(山口誓子)
  • 秋近し:暁の雲をさまらず秋近し(佐藤紅緑)
  • 秋立つ:秋立つや川瀬にまじる風の音(飯田蛇笏)
  • 秋の蝉:仰のけに落ちて鳴きけり秋の蝉(小林一茶)
  • 土用波:海の紺白く剝ぎつつ土用波(瀧春一)

挨拶文に俳句やイラストも加えた個性のある手紙を送れば、相手に喜んでもらえるでしょう。

季節感のあるフレーズ

残暑見舞いで晩夏から初秋の雰囲気を高めるには、季節の挨拶を記す時に季節感のあるフレーズを使うことも大切です。実際の文面で使えるフレーズとしては、以下の例が挙げられます。

  • 季節は秋を迎えましたが、まだ残暑が厳しく感じられます。
  • 暦は夏の終わりを告げましたが、寝苦しい夜が続きます。
  • 残暑も和らぎ、心地よい風に秋の気配が感じられ始めました。
  • 暑さも峠を越え、少し過ごしやすい日々になりました。
  • 晩夏のみぎり、朝夕の涼しさに夏の終わりが感じられます。

また、以下の例は、8月中旬と下旬で使い分けられる短めのフレーズです。

  • 8月中旬(8月22日頃まで):納涼の候・晩夏の候・暮夏の候
  • 8月下旬(8月23日頃から月末):秋暑の候・早涼の候・初秋の候

なお、立秋以降の気象状況は、年によって変わります。残暑見舞いを送る時、厳しい暑さが続いているか、涼しくなっているかは定かでありません。そのため、季節の挨拶は、手紙を送る時の気象に合わせて記すのがよいと考えられます

残暑見舞いの例文(相手別)

残暑見舞いの例文(相手別)

残暑見舞いの文面は、送る相手に応じて書き分ける配慮が必要です。以下では、ビジネス用とプライベート用の例文を相手別にご紹介します

ビジネス用(顧客・取引先)

ビジネス用のうち顧客・取引先に送る残暑見舞いは、言葉遣いに留意した硬めの文面が適切です。

残暑お見舞い申し上げます

季節は秋を迎えましたが、まだ残暑の厳しい日々が続きます。お変わりなくお過ごしでしょうか。〇〇様には日頃より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

弊社は9月のイベントに向け精進しております。機会があれば、ぜひ足をお運びください。スタッフ一同、心より皆様のお越しをお待ちしております。

酷暑が続く折、くれぐれもご自愛ください。

令和〇年 晩夏

なお、顧客・取引先に送る残暑見舞いは、プライベート関係に触れない文面が一般的です。

ビジネス用(上司・先輩)

ビジネス用でも上司・先輩に送る残暑見舞いは、少し親しみの感じられる文面が適しています。

残暑お見舞い申し上げます

暦のうえでは秋に入り、朝夕は涼しくなり始めました。ご家族の皆様におかれましては、お元気にお過ごしのことと存じます。平素は大変お世話になり、誠にありがとうございます。

お陰様で、大きな不安もなく仕事に励めております。今後も会社のために尽力させていただく所存ですので、ご指導のほどお願い申し上げます。

まだ厳しい暑さは残りますが、何卒ご自愛ください。

令和〇年 立秋

上司・先輩に送る残暑見舞いは、仕事に邁進する意思を示すと印象をよくするのに効果があると考えられます。

プライベート用(親戚・友人)

プライベートで親戚や知人に送る残暑見舞いは、堅苦しさを避けて丁寧に表現した文面が妥当です。

残暑お見舞い申し上げます

立秋を過ぎても、夜は寝苦しく感じられます。ご無沙汰しておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
こちらは、あいかわらず騒がしい日々を送っています。夏休みには家族全員で帰省する予定のため、お会いできると嬉しく思います。

暑さの厳しく感じられる毎日ですが、どうぞご自愛ください。

令和〇年 葉月

プライベートの残暑見舞いは、自分や家族のエピソードを盛り込めば楽しい文面になると期待できます。
また、ビジネス用とプライベート用ともに丁寧な言葉遣いは必須ですが、基本マナーを押さえれば失礼に思われる心配はありません。仕事の関係者や親しい知人・友人に心を込めた手紙を送れば、喜んでもらえるでしょう。

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