事業運営で役立つバリューポートフォリオとは?

2023.01.06 更新日:2023.01.06ビジネス豆知識

事業運営で役立つバリューポートフォリオとは?

バリューポートフォリオは、企業が社内事業を株主と経営者の視点から分析・評価できる枠組みです。この枠組みでは、事業が利益率・経営ビジョンとの整合性を基準として4つの象限に分類されます。各事業に関する分析・評価の結果をふまえれば、今後の事業の方向性を検討するのに役立つでしょう。そこで今回は、バリューポートフォリオの概要や分析・評価の実施後に望まれる戦略をご紹介します

バリューポートフォリオとは

バリューポートフォリオとは

バリューポートフォリオは、株主と経営者の視点から社内事業を分析・評価する時に用いられる枠組みです。さまざまな社内事業のうち主に撤退するべき事業を見定めるのに有効と考えられています。以下では、この枠組みの基本的な仕組みなどをご紹介します。

基本的な仕組み

バリューポートフォリオは、「ROI(投資利益率)」および「経営ビジョンとの整合性」の2つを社内事業の評価軸に設定する仕組みです。

ROI」は「Return on Investment」の略であり、それぞれの事業に投入された資本に対して結果的に得られた利益の割合を意味します。各事業がどれくらい利益を上げたかを示し、企業の儲けを重視する株主視点から見た指標になります。具体的な計算方法は、「各事業の利益高÷資本の投入金額」です。この計算式で算出された数値が大きいほど、計算対象になった事業の投資利益率(資本の投資金額に対する利益の割合)は高いと判断されます。

経営ビジョンとの整合性」は、企業が掲げる経営方針や将来的な目標との一致率を示す評価基準です。それぞれの事業が経営方針などに沿っているかは経営者にとって重要であり、経営ビジョンとの整合性は経営者視点から見た指標に該当します。

バリューポートフォリオには「株主と経営者で社内事業に求めるものが異なる」との考え方があり、両者の視点から2つの評価軸で各事業の分析・評価を進めます

分析・評価の枠組み

バリューポートフォリオによる社内事業の分析・評価で用いられる枠組みは、「本命事業」「課題事業」「機会事業」「見切り事業」の4象限です。「本命事業」は、RIOの数値および経営ビジョンとの一致率ともに高い理想的な事業を意味します。投資金額に対する利益率が高いうえ企業の経営方針や将来的な目標に沿っている場合は、この象限に分けられます。

課題事業」は、経営ビジョンとの整合性が高いもののRIOの数値が低さが課題となる事業です。企業の経営方針などに沿っているが資本の投資額に比べて利益率が低ければ、この象限に当てはまります。「機会事業」は、「課題事業」と反対にRIOの数値が大きく経営ビジョンとの一致率が低いケースです。多大な利益が上がっている一方で企業の方向性に沿っていない場合は、ここに該当します。

見切り事業」は、「本命事業」の逆で経営ビジョンに整合せずRIOの数値も低いものです。利益率が低いだけでなく企業の意向にも沿っていない状況では、この象限に分類されます。バリューポートフォリオでは最初に社内事業が4象限のいずれに該当するか分析・評価し、その結果をふまえ今後の方針について検討します。

各々の象限に望まれる経営戦略

各々の象限に望まれる経営戦略

バリューポートフォリオで各々の象限に望まれる経営戦略は、大きく分けると事業を継続・拡大するか縮小・撤退するかの2パターンです。以下では、どんな戦略が望まれるか個々の象限ごとに解説します。

「本命事業」は継続・拡大

バリューポートフォリオの分析・評価で「本命事業」に分類された事業は、その後も継続・拡大するのが適切です。「本命事業」は、RIOが高い数値を示すとともに企業の経営ビジョンにも十分に整合しています。この象限に該当する事業の運営状況は、株主と経営者のどちらの視点から見ても大きな問題はありません。

企業に多くの利益をもたらし経営方針や将来的に目指す方向にも一致し、株主と経営者にとって重視する価値のある事業といえます。そのため戦略面では、これまで通りに継続、できれば事業規模を拡大することが望まれます。

「課題事業」は利益向上

バリューポートフォリオの「課題事業」に該当した事業が今後の経営戦略で望まれることは利益向上です。「課題事業」は経営ビジョンとの整合性が高く、企業の方針・目標に沿いながら進められていると考えられます。事業運営の方向性に問題はなく、あえて変更する必要はないでしょう。

この象限の事業が抱える主な問題点は、利益率の低さです。これまで通り事業を続けても投資金を浪費するリスクが高く、企業の売上増を期待する株主の視点からは利益の向上につながる戦略展開が望まれます。

「機会事業」は方向性の見直し

社内事業が「機会事業」に当てはまる場合、今後も継続するうえで戦略的に望まれることは方向性の見直しです。「機会事業」は多くの利益を上げているため、利益重視の株主の視点から不満が生じるリスクは小さいと判断できます。利益率が高い点をふまえると、この象限の事業は今後も続けることが望まれるでしょう。

戦略面での検討課題は、経営ビジョンとの整合性の低さです。企業の方針や将来像を重んじる経営者の視点に立った場合、高い利益率を維持しつつ今後の方向性を見直す必要があると考えられます。

「見切り事業」は縮小・撤退

バリューポートフォリオで「見切り事業」と分析・評価された事業は、無理に継続するより縮小・撤退を検討したほうが賢明です。「見切り事業」はRIOだけでなく経営ビジョンとの整合性も低く、株主と経営者の双方から不満に思われているケースは多く見られます。そのまま継続した場合、事態を好転させるのは難しいと考えられます。

また運営方法の改善を試みても、成果に結びつく保証はありません。コスト面に余裕があるなら、「見切り事業」より「本命事業」に投資したほうが利益向上につながると期待できます。そのため「見切り事業」は、その名の通り見切りをつけて縮小・撤退を検討することが望ましいといえます。

バリューポートフォリオのメリット

バリューポートフォリオのメリット

バリューポートフォリオがもたらす主なメリットは、株主と経営者の視点で社内事業を分析・評価できる点です。以下では、それぞれの視点から見たメリットの中身についてご紹介します。

株主視点のメリット

株主の視点から見たバリューポートフォリオのメリットは、利益率に目を向けながら社内事業の運営戦略を検討できるところです。企業で新しい事業に着手する際、どんな方向性で進めるかビジョンを明確に示すことが求められます。最初に事業の方向性がはっきり提示されると、参加メンバーは同じ目標に向かって一致団結しながら業務を進められます。

ただし、事業運営では参加メンバーの団結力だけでなく採算性も重要です。どれほどメンバー間の団結が強くても、業績が上がらず採算を取れなければ企業や株主にとって好ましい状況ではないといえます。そのため社内事業を分析・評価する際、株主視点で利益率に目を向けられることはバリューポートフォリオの大きなメリットになります。

経営者視点のメリット

経営者の視点で見た場合、バリューポートフォリオに見込まれるメリットは経営ビジョンとの整合性を分析・評価できる点です。企業経営で運営資金の確保は不可欠であり、利益の追求は避けられません。ただし経営者に経営方針や将来的なビジョンが何もない場合、社内事業は短期間で終わりやすい傾向が見られます。

企業を長く運営するには、経営者による経営方針・ビジョンの明示が重要といわれています。明確な経営ビジョンのもとで社内事業を進めれば、何も方向性が示されない場合より多くの利益を上げながら各事業を維持・拡大できるでしょう。

そのため、社内事業さらには企業経営を長く続けるうえで、経営ビジョンとの整合性を分析・評価できるバリューポートフォリオは有効と考えられます。

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