出社すべき?災害時のためのルール共有

2019.11.18スタッフブログ
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近年、災害発生時に出社命令を出す企業が話題となっています。WEB上では「なぜ休みにしない?」「従業員の安全配慮はできているのか?」といった声が上がり、企業の防災意識の低さが懸念されています。本記事では、企業・従業員双方における出社判断基準の重要性や、率先して導入すべき安否確認システムについて解説します。

災害時の出社

 

災害時の出勤命令に従う?従わない?

自然災害により出社が困難な状況にもかかわらず、従業員に出社を促す企業は少なくありません。直近でいうと、2019年10月に発生「台風19号(正式名称:ハギビス)」が良い例です。関東上陸数日前から気象庁が会見を開き、注意を促していました。

一方、SNS上には「台風当日も仕事」という声があふれていました。なぜ危険だと分かっておきながら出勤を命じるのか、また従業員はそれに応えなければならないのか?という声も聞かれます。一般的な労働契約の側面から掘り下げていきます。

 

会社は出社命令を出せる権利がある

会社側は、従業員に出社を命じる「業務命令権」を持っています。たとえ就業規則や雇用条件に明記がなくても、使用者・労働者の関係であれば行使できる権利です。これは大地震や洪水など、出社困難なレベルの災害発生時においても行使できます。

 

従業員は出社命令に応じる義務がある

従業員側には、労働契約に基づく「労務提供義務」があります。会社に雇用され、給料を受け取っている身として、出社命令に応じるのが原則です。とりわけ災害発生時は、地震や洪水によって受けた被害の復旧に人手が必要です。復旧作業の手伝いでさえ、従業員が会社に対して負う「労務提供義務」にあたります。出社命令に応じない場合、業務命令違反による注意指導、懲戒免職となるケースもあります。

 

命に危険が及ぶ場合は?

ここまで「災害が発生しても出社命令に応じる必要がある」と解説しました。しかし、従業員に生命の危険がともなうほどの災害なら、出社命令に応じなくても良い場合があります。会社に雇ってもらっているとはいえ、身の危険を顧みずに尽くす必要はありません。それは過去の裁判でも明らかとなっています。

有名な判例として、昭和43年12月に判決がくだされた「電電公社千代田丸事件」が挙げられます。この事件では、ある従業員が日本と韓国の間に位置する海底ケーブルを修理するため、「千代田丸」という船舶への乗船を命じられました。しかし、当時の日韓関係の緊張を恐れた従業員は乗船を拒否します。それを機に解雇され、自社の出社命令が不当だと訴えた事案です。

裁判に勝ったのは従業員側でした。予測以上の危険が生じる場面において、出社命令を出すのは違法としたからです。危険を具体的に予測できるかがポイントで、上記事件においては明らかな日韓関係の緊張加速が予測できました。

これは自然災害にも同様のことがいえます。大地震により瓦礫が降ってきたり、建物が崩壊したりする状況で出社命令を出すのは、違法となる可能性があります。災害時の出社ルールについて、会社側・従業員側ともに決めておかなければなりません。

 

【会社側】災害時の出社判断基準

事業継続計画(以下、BCP)の一環として、災害発生時の出社判断基準を策定しましょう。以下を参考に基準を設けるのがおすすめです。

・鉄道運行情報
・防災気象情報
・災害警戒レベル

首都圏の場合、在来線が運休になるだけで出社が困難です。運休がどの範囲まで拡大したら待機命令を出すのか、あらかじめ決めておきます。また地震・台風・洪水・津波といった防災気象情報および警戒レベルも参考にします。分岐点となるのは、避難準備が必要な警戒レベル3以上です。その時点で自宅にいる場合、出社を控えるのが原則です。

上記に加え、以下の出社基準も考慮しましょう。

◇当日中に終わらせるべき業務はあるか?
◇取引先に納期延長を申し出る余地はあるか?
◇出社した従業員が帰宅困難者になる恐れはないか?
◇災害対策本部要因の人数は確保できるか?

必要性の欠ける出社は、従業員にとって大きな負担となります。「一応出社」などとあいまいに伝えるのではなく、あらかじめ策定した出社判断基準に沿って指示するべきです。なお、策定した出社判断基準の周知も重要となります。平時から従業員との情報共有に努めましょう。

 

【従業員側】災害時の出社判断基準

会社側が自宅待機命令を出せば良いですが、「各人の判断に任せる」と指示することもあります。よって従業員側も、自分なりの出社判断基準を設けることが大切です。ふたつのパターンに分けて解説します。

 

パターン1.極めて危険性が高い状況

首都圏で大地震が発生した場合、以下の様なトラブルが予測できます。

◇火災などの二次災害に巻き込まれる
◇倒壊した建築物に挟まれる
◇割れた窓ガラスが降ってくる

極端な例ではあるものの、命に危険が及ぶものばかりです。仮に出社命令が出されても、危険と判断したら応じる必要はないでしょう。この様な状況下で出社命令を出した場合、「安全配慮義務」に違反するとして、企業の責任が問われます。身の安全の確保を第一に行動して下さい。

 

パターン2.出社が事実上不可能な状況

公共交通機関の運休など、出社が事実上不可能な状況があります。この判断基準は会社によって異なり、また従業員も対応が難しいところです。ポイントとなるのは、会社側の出社命令に違法性がないか判断することでしょう。「何がなんでも出社しろ!」と強要された場合、違法性の高さから命令に従わなくても良いケースがあります。

出社が事実上不可能な場合、以下の対応が考えられます。

◇途中帰宅
◇自宅待機
◇有給休暇の取得
◇欠勤

通勤中に自然災害が発生したならば、途中帰宅が適切です。交通ダイヤの乱れが予想されるため、駅に留まっても出社できないケースが考えられます。出社前であれば、自宅待機か欠有給休暇の取得、欠勤のいずれかで対応します。状況が改善されれば出社できることもあるため、上司に説明したうえで自宅待機するのがおすすめです。

 

安否確認システムの導入

どれだけBCPを作り込んでも、災害発生時はイレギュラーな事態が起こります。考えられるのが、通信インフラのパンクです。電話がつながりにくかったり、メールを送信できなかったりします。例えば2011年に発生した「東日本大震災」では、発生から30分後に電話回線がパンクしました。家族や従業員の安否確認ができず、混乱状態がしばらく続きました。

重要なのは、災害発生後すぐに安否確認を行うことです。安否確認システムを導入し、従業員にメールを一斉送信しましょう。このシステムを導入するメリットとして、以下のふたつが挙げられます。

・休日や夜間に発生した災害にも対応(自動送信機能)
・設問フォームをメールに組み込める

BCPの一環で防災担当者を配置する企業も多いでしょう。しかし、就業時間外に発生した自然災害であれば、防災担当者との連絡さえ困難となります。安否確認システムは災害発生に合わせてメールを自動送信するため、休日や夜間に発生した災害においても、スムーズな安否確認が可能です。防災担当者の負担軽減にもつながるでしょう。

 

またメールに設問フォームを組み込めます。回答結果を自動集計するため、従業員一人ひとりの状況把握に役立ちます。それに合わせて指示を出せば、不必要な混乱を招くこともないでしょう。自然災害が多い日本において、安否確認システムの導入は企業の責務といえます。

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