台風時の出社基準は?計画運休についても解説

更新日:2023.08.07スタッフブログ

台風時の出社基準は?計画運休についても解説

夏から秋は、台風が多く発生する時期です。日本に台風が接近した時、国内の会社は、従業員に出社を求めるか判断を迫られます。基本的に会社側は出社命令を出せますが、通勤時のトラブルを避けるうえで出社基準の設定は欠かせないでしょう。そこで今回は、台風接近時の出社命令の可否について解説し、会社側に求められる出社や早退・休業の判断基準などをご紹介します

台風接近時の出社命令の可否

台風接近時の出社命令の可否

会社は、台風が接近していても、従業員に出社を求めることは可能です。法的には、通勤が困難な気象状況で出社命令を出しても問題ありません。以下では、台風接近時における会社の権利や従業員の義務をご紹介します

会社側の権利

会社には、原則的に業務命令権があります。これは、従業員に出社・業務を命じる権利です。この権利は、必ずしも雇用条件や就業規則に明記されていません。それでも、会社と従業員の間に雇用関係が成立していれば、効力を発揮します。様々な形で出社困難な状況が起きても、会社側の業務命令権は有効です。台風が接近するケースも例外でなく、会社側は従業員に対して出社命令を出す権利を行使できます。

従業員の義務

会社から出社命令が出された場合、その命令に応じることは従業員の義務です。従業員には労務提供義務があり、原則として出社命令は拒めません。従業員は、会社と雇用契約を結ぶと給料を受け取る立場になり、労務提供義務が発生します。台風で会社が被災した場合、従業員による復旧作業も労務提供義務に含まれます。従業員は契約上の義務を果たさないと懲戒免職になる可能性があるため、台風が接近した時も出社命令に応じるのが基本です。

命の危険がある場合

台風接近時の出社に命の危険があるケースでは、例外的に従業員は出社を拒める場合があります。従業員は、労務提供義務より身の安全を優先することが可能です。命の危険を感じるなか、無理に出社する必要はありません。身の安全を最優先にする考え方は、法的にも認められています

実際、過去の裁判では、命の危険性を理由に出社命令の違法性が指摘されました。台風の接近時も、命に関わる危険な状況であれば、従業員が出社命令を拒否しても問題ないといわれています。

【会社側】台風が接近した時の出社判断

【会社側】台風が接近した時の出社判断

台風が接近した時、従業員が出社するかどうかの判断は、会社に委ねられています。会社は従業員に対する安全配慮義務があり、十分な配慮が欠かせません。以下では、台風接近時に出社判断の基準として確認したい情報などをご紹介します

台風接近時の判断基準

台風の接近時、会社が従業員に出社を求めるか決める判断基準は、一般的に気象情報と交通機関の運行状況の2つです。通常、台風関係の気象情報は、台風の発生から数日にわたり暴風雨の強さや予想の進路がテレビやネット上で伝えられます。また最近、鉄道を中心とする交通機関は、台風接近の前日に運行計画を発表するケースが増えてきました。

都市部の会社は電車やバスで通勤する従業員が多く見られるため、これらの情報は出社判断する際に役立つでしょう。台風が直撃すると予想され交通機関が全面的に止まる見通しであれば、従業員に出社を求めることは難しいと判断できます。

これらに加えて、従業員が徒歩・自転車や自動車で通勤している場合に確認しておきたい情報が、警報級の可能性です。この情報は5時・11時・17時に気象庁から発表され、可能性が高ければ徒歩や自動車での出社は難しいといわれています。台風接近時に会社が出社命令を出すか検討する際、従業員を無理に出社させないためには、気象情報や交通機関の運行状況の確認が重要と考えられます。

会社が休みになる基準

台風の接近で会社が休みになる基準は、各会社の就業規則や独自ルールで定めるケースが一般的です。就業規則や独自ルールでは、いずれの状況で会社を休みにするか事前に決めておく必要があります。台風の危険レベルが高い場合、業務に支障が出なければ出社を求めず休業にするのが適切でしょう。

ただし、納期の迫った業務がある場合、休業するか迷うかもしれません。その場合、取引先に納期延長を打診したうえで、延長できない時は出社を求めるといった手順をルール化しておく必要があると考えられます。また、出社後に台風の勢いが強まると、従業員は帰宅困難になる可能性があります。

台風対策では、従業員が帰宅困難にならないタイミングで早退や半日休業を決める基準の設定も大切です。様々なケースに備えて会社を休業する時の基準をルール化しておけば、台風が近づいても従業員は落ち着いて行動できるでしょう。

交通機関の計画運休基準について

鉄道や飛行機などの交通機関は、台風の接近時に計画運休する基準を定めています。まず、鉄道は、風が強い場合に速度規制する決まりです。JR東日本は、電車の脱線や転覆を避けるため、風速20~25メートルで減速、25メートルを上回る時は運転を中止すると定めています。

飛行機も、強風の時には安全運航が難しくなる交通機関です。規制を受ける風力は状況によって異なりますが、追い風が約8メートルに達すれば、離着陸に制限が発生するといわれています。台風レベルの強風は風速20メートルほどであるため、台風が接近した時は多くの交通機関で通常運行が難しくなると考えられます。

【従業員側】災害時の出社判断基準

【従業員側】災害時の出社判断基準

会社側が全従業員に向けて自宅待機命令を出す場合もありますが、「各人の判断に任せる」と指示することもあります。この場合は、従業員それぞれが自分の置かれている状況を考慮しながら判断しましょう。ここでは、2つの状況パターンを例に挙げて解説します

パターン1.きわめて危険性が高い状況

首都圏で台風や大地震などの災害が発生した場合、様々なトラブルに巻き込まれるおそれがあります。

  • 津波や洪水、浸水などの水害
  • 火災などの二次災害に巻き込まれる
  • 倒壊した建築物に挟まれる
  • 割れた窓ガラスや看板が降ってくる

上記は災害時によくあるトラブルの例ですが、命に危険が及ぶものばかりです。危険と判断したら、たとえ出社命令が出たとしても応じる必要はありません。この様な危険な状況下では、「安全配慮義務」に違反するとして出社命令を出した企業側に責任が問われます。身の安全の確保を第一に、各自治体の指示に従って行動してください。

パターン2.出社が事実上不可能な状況

公共交通機関の計画運休など、出社が事実上不可能な場合があります。この場合判断基準は企業によって異なるため、従業員一人ひとりの判断に委ねられます。出社命令が出た場合は、企業側に違法性がないかどうかで判断することがポイントです。事実上出社が不可能な状況で、「どんな手段を用いても出社せよ」と強要された場合は、違法性が高いため命令に従う必要はないといえます。出社が不可能な場合は、それぞれの状況に応じて以下の様な対応をしましょう。

  • 途中帰宅
  • 自宅待機
  • 有給休暇の取得
  • 欠勤

災害の規模にもよりますが、通勤中に災害に遭った場合は、途中で自宅に引き返すのが適切な対応といえます。交通ダイヤの乱れや駅での混雑が予想されるため、出社できない可能性があります。出社前であれば、自宅待機か有給休暇の取得、欠勤のいずれかで対応しましょう。災害の規模が小さければ、すぐに状況が改善され出社できることもあるため、会社に連絡を入れたうえで自宅待機をするのがおすすめです。

安否確認システムを導入しよう

安否確認システムを導入しよう

BCPを作り込んだとしても、災害発生時はイレギュラーな事態が起こる可能性が高いといえます。安否確認システムの導入は、災害時の混乱解消に役立てられます

安否確認システムの重要性

どんなに対策をしていても、自然災害時はどんなトラブルに巻き込まれるかわかりません。たとえば、電話がつながらなかったりメールが送信できなかったり、通信インフラがパンクしてしまうこともあるでしょう。2011年に発生した「東日本大震災」では、発生から30分後に電話回線がパンクしました。

これにより家族や従業員の安否確認がとれず、混乱状態がしばらく続いてしまったといいます。混乱を避けるためには、災害発生後すぐに安否確認を行うことが大切です。安否確認システムを導入すれば、従業員に安否確認メールを一斉送信できるため、混乱を最小限に留められる可能性があります

安否確認システム導入のメリット

休日や夜間に発生した災害にも対応

BCPの一環として、防災担当者を配置する企業も増えているといいます。しかし、終業時間外に災害が発生してしまった場合、防災担当者との連絡さえ困難になることもあるでしょう。安否確認システムなら、災害発生に合わせてメールを自動送信します。休日や夜間でもスムーズな安否確認が可能で、防災担当者の負担軽減にもつながります

設問フォームをメールに組み込める

安否確認のメールに、設問フォームを組み込むことが可能です。回答結果が自動集計されるため、従業員一人ひとりの状況把握に役立つでしょう。状況に合わせて指示を出せば、不必要な混乱を避けることもできます。台風や大地震など、自然災害が発生した場合の出社判断基準や安否確認システムについてご紹介しました。

災害時に置かれている状況は一人ひとり異なり、命に危険が及ぶトラブルに巻き込まれる可能性も高いといえます。従業員それぞれが臨機応変に判断できるように、出社基準をしっかり策定して周知しておきましょう。自然災害の多い日本では、防災対策の一環として安否確認システムの導入がおすすめです。

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