事業継続計画(BCP)とは?策定方法を知ろう

更新日:2023.02.16ビジネス豆知識

BCP

事業継続計画(BCP)は、会社が緊急事態に見舞われた場合に早期復旧するための対策です。あらかじめ職場で策定しておくと、大規模な自然災害や大火災が起きた際に被害を減らし、速やかに事業を再開するのに役立つでしょう。緊急時に従業員および顧客の安全を守り、会社を円滑に運営するには欠かせないものと見なされています。そこで今回はBCPを策定する目的や必要性を解説し、実際の策定方法やメリットなどをご紹介します。

事業継続計画(BCP)とは

事業継続計画(BCP)は、会社が緊急事態に見舞われた時に、できるだけ以前と変わらず事業を継続するための計画です。英語でBusiness Continuity Planと表現され、その略語がBCPです。

主な目的

事業継続計画は、緊急事態の発生時に被害を最小限にとどめ、速やかな事業再開を目指すことを主な目的とします。単に会社で進めている事業を継続するための計画ではありません。BCPは、あくまで緊急事態が起きた場合の会社におけるリスク管理の方法を指した言葉です。そこでは、さまざまな緊急時に備えた平時の活動内容や緊急事態が起きた後の早期復旧に向けた計画が示されます。

緊急事態のもとでは、多くの会社に多少なりとも被害が出ると考えられています。BCPは、その損失レベルを少しでも抑えつつ通常業務の継続・再開を果たすための計画を示すことが主要目的です。

緊急事態の内訳

最近のBCPに示される緊急事態の内訳を見ると、自然災害、大火災、テロ攻撃や事故・事件が挙げられます。日本は全国的に地震が多く、季節によっては台風が次々と各地に上陸します。最近は暑さの厳しい夏場に激しい雷雨が発生しやすくなり、冬場は乾燥のため火災の起きる件数が増える傾向です。

海外で事業展開している場合、とくに政治情勢の不安定な国などではテロ攻撃の標的になるケースが見られます。国内にある会社も、何らかの事故や事件に見舞われる可能性は十分にあります。たいてい自然災害や事故・事件は、いつ起きるか予期できません。そのため、これらは多くの会社でBCPを策定する時の代表的な緊急事態として認識されています。

策定の必要性

自然災害をはじめ緊急事態を事前に予測するのは難しく、規模によっては一時的であれ会社の事業が止まるかもしれません。それに伴う各種の損失を最小限にとどめるには、BCPの策定が不可欠です。地震や台風は、大規模になれば事業を継続できなくなるほどのダメージを与える可能性があります。海外進出する会社が増えた昨今は、テロ攻撃に遭遇するリスクも視野に入れる必要があるでしょう。

大規模災害やテロ攻撃は発生率が高いとはいえませんが、万一への備えを怠ると発生時の被害はそれだけ大きくなると考えられます。被害のレベルによっては、会社運営に支障が生じる場合もあります。緊急事態に見舞われた際に少しでも被害を出さず、速やかに事業を復旧させるなら、あらかじめBCPを策定しておくのが賢明です。

BCP策定の主なステップ

職場でBCPを策定する際の主なステップは、大きく分けると以下に示す5段階です。

ステップ1:目的の明確化

BCPの策定時、最初に着手する作業は目的の明確化です。BCPをつくることで何を目指すのか、会社の方針をはっきりさせます。緊急時には、人命の安全確保が重要です。一般的にBCPでは、会社の基本方針として従業員および顧客の命を守ることが最優先事項に挙げられています。

会社にとっては、経営を続けるとともに顧客からの信用および従業員の雇用を保持することも大切でしょう。最初のステップでは何がBCPの基本となるか会社の方針を決定し、職場内で意識を共有します。

ステップ2:優先事業の選定

次は、優先事業を選定する段階です。会社が手がける事業のなかで、どれを優先的に継続するか選び出します。会社によっては、さまざまな事業を手がけています。緊急時で余裕がなければ、すべて同時に復旧作業を進めるのは難しいでしょう。作業効率を考えた場合、BCPで事業の優先順位を決めておく必要があります。最優先は、会社の中核となるメイン事業です。売上の多い事業や市場価値の高い事業が挙げられ、BCPでは中核事業と呼ばれます。

ステップ3:運用体制の検討

基本方針と事業の優先順位が決まったら、運用体制の検討です。この段階では、実際に緊急事態が発生した時に、どんな手順で運用するかを細かく決めておきます。BCPの内容は、緊急時に実現可能であることが必須です。どんなリスクが生じた場合に誰が責任者として指揮し、どの従業員が指示を受けるかなど、具体的に検討します。

ステップ4:BCPの策定

必要事項について一通り検討を済ませたところで、BCPの策定です。それぞれの決定内容をふまえ、緊急時の対応方法などを明示します。最初から、完全な形に仕上げる必要はありません。まず、現時点で想定可能な範囲から作業を始めます。ステップ1~3にしたがい、会社の基本方針、優先事業、運用体制の順で策定するとよいでしょう。不足部分は、追加していけば十分です。ただ、何が足りないか確認するには定期的に試験運用する必要があります。

ステップ5:BCPの手直し

BCPの策定では、たいてい手直しを避けられません。職場で試験運用すると、何かしら不足している部分が見つかるためです。運用面で問題が見つかった時は、必要に応じてBCPを修正します。試験運用のたびに不備が判明する可能性はありますが、手間を惜しまず更新すれば実効性の高いマニュアルになるといわれています。緊急事態はめったに起きないと軽視せず、年に1回くらいのペースで見直すのが適切です。

BCP策定のメリット・課題・注意点

BCPの策定がもたらす大きなメリットは、緊急事態への意識が高まるところです。ただ想定外の状況では十分に機能しない場合があり、どれくらい対応力があるかの注意は怠れません。

主なメリット

事前にBCPを策定しておくと、いざ緊急事態が発生した時に素早く行動できるメリットがあります。通常、予期せぬ事態に見舞われると的確に対処するのは容易ではありません。一方、日頃から緊急事態に対する意識が高くなっていると、迅速に行動しやすくなると考えられています。災害時などに早期復旧できると、顧客の流出を防げるとともに会社の評価を上げるうえでも効果的です。

BCPが抱える課題

BCPが抱える主な課題としては、緊急時に必ずしも十分に機能するとは限らない点が挙げられます。ひと口に緊急事態といっても、その中身は広範囲に及びます。BCPを数回ほど更新しても、すべて網羅するのは困難な作業です。想定外の事態に遭遇すると、適切に機能しない可能性があります。そのため、どれほど手直しを重ねてもBCPは予定通りに効果を発揮しない場合があることは理解しておくことが必要です。

策定時の注意点

BCPの策定時には、決定内容を職場で共有できているか注意しなければならないと指摘されています。事前にBCPを策定した際、そこに示された情報が共有されていると緊急時の対応は計画通りに進められるでしょう。反対に、情報共有が不十分であれば、万一の時に対応が遅れても不思議ではありません。職場で情報共有するには、日常的な従業員の教育が大切です。いざという時に備え、BCPを策定したら日頃の指導にも取り組むことをおすすめします。

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