ファイナンシャルプランナーのキャリア|何級まで取った方が良い?
更新日:2024.05.01ビジネス豆知識ファイナンシャルプランナーは、お金の知識を活かして人々の暮らしをサポートする専門家です。この資格を取得した場合、いろいろな場面で活用できます。ただし、資格は複数あるため、具体的にどれを取得すれば良いかで迷うかもしれません。FP資格の取得を考えているなら、この資格について理解を深めておくと役立つでしょう。そこで今回は、FP資格の種類や特徴を解説しながら、検定試験の概要や資格取得後のキャリアをご紹介します。
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目次
資格の概要
ファイナンシャルプランナー(FP)の資格は、主にCFP認定者・AFP認定者・ファイナンシャルプランニング技能士(FP技能士)の3つです。そのうちFP技能士は国家検定の一つであり、1級~3級があります。国家検定は広い意味で国家資格ともいわれますが、厳密に区別されるケースも見られます。
CFP認定者
CFP認定者は、ファイナンシャルプランニングについて、世界共通の水準でサービスを提供できる資格です。FPに関する資格のなかでは上級資格に位置づけられ、国際CFP組織のFPSBとライセンス契約している日本FP協会が認定業務を行っています。また、日本の場合、AFP認定者になるとCFP資格の審査試験が受験可能です。同試験に合格し、実務経験などに関する所定の条件の満たすと、CFP認定者の資格を取得できます。
AFP認定者
AFP認定者は、日本国内での普及率が高いFP資格です。現在、10万人以上の資格取得者が、全国各地で活動しているといわれています。また、このFP資格は、CFP認定者と同様に日本FP協会が認定している資格です。国内では、FP技能検定2級以上に合格のうえAFP認定研修を受講・修了すると、AFP資格の登録権利が認められます。なお、CFP認定者とAFP認定者は、資格を更新するため2年ごとに所定の教育を継続する必要があります。
FP技能士
FP技能士は、1級~3級のFP技能検定に合格すると取得できる資格です。FP技能検定は、日本FP協会などが実施する検定試験であり、学科試験と実技試験で構成されています。また、1級・2級の合格者は、日本FP協会のAFP認定研修を修了すればAFP認定者として登録できます。
級ごとの必要勉強時間や活かせる職種
各資格の取得に必要とされる勉強時間や資格が活かせる職種は、次の通りです。
CFP認定者/AFP認定者 | ||
---|---|---|
資格 | 必要勉強時間 | 資格が活かせる職種 |
CFP認定者 | 1科目40~80時間 | 金融・保険・不動産関係 (海外に活動の場が広がる) |
AFP認定者 | 1カ月~1年程度 | 金融・保険・不動産関係 (国内で幅広く活動可能) |
FP技能士 | ||
---|---|---|
資格 | 必要勉強時間 | 資格が活かせる職種 |
1級 | 500~600時間 | 金融・保険・不動産関係 (仕事の専門性が2級より高まる) |
2級 | 150~300時間 | 金融・保険・不動産関係 (仕事の専門性が3級より高まる) |
3級 | 80~150時間 | 金融・保険・不動産関係 |
CFP認定者の資格を取得するには、1科目につき40~50時間、あるいは60~80時間の勉強が必要といわれています。AFP認定者の場合、研修の受講期間は、約1カ月~1年ほどです。また、受講開始から1年以内で研修を修了することが、資格認定の条件になっています。
ファイナンシャルプランナーの資格が活かせる職種は、主に金融・保険・不動産関係です。海外や国内で幅広く活動するなら、CFP認定者やAFP認定者の資格を取得することが望ましいと考えられます。また、FP技能士3級から金融機関や保険業界への就職・転職では有利になるといわれますが、2級以上を取得すると専門性の高い仕事を担当しやすくなります。
資格取得に向けて
CFP認定者やAFP認定者の資格を取得するには、まずFP技能検定に合格することが必須の条件です。
FP技能検定の概要
FP技能検定は、日本FP協会と一般社団法人金融財政事情研究会が、法規定にもとづき所定機関から指定を受けて実施しています。この検定には学科試験と実技試験があり、日本FP協会の学科試験は、2級と3級のみが対象です。それに対し、金融財政事情研究会の場合、1~3級のいずれでも2つの試験が行われます。
受験者は、両方に合格すると、合格証書を取得できる仕組みです。合格証書を入手すれば、1~3級の各等級に応じてFP技能士であると名乗れます。また、いずれか一方に受かると一部合格証が発行され、所定の期間内は次回以降の試験が免除されます。なお、日本FP協会の2級FP技能検定は、この協会によるAFP認定者の資格審査も兼ねた検定試験です。
参照:日本FP協会 FP技能検定とは (参照 2024-04)
参照:一般社団法人金融財政事情研究会 FP技能検定 (参照 2024-04)
試験日程
FP技能検定の試験日程は、日本FP協会と金融財政事情研究会で違いがあります。
日本FP協会の場合、2024年度の1級FP技能検定は、2024年9月8日に実施される予定です。また、受験申請期間は同年7月11日~8月1日、合格発表日は11月6日に設定されています。同じく2級の試験日は、2024年5月26日・9月8日・2025年1月26日です。それぞれの申請期間は2024年3月15日~4月5日・7月2日~23日・11月13日~12月3日です。
合格発表日は2024年6月28日・10月21日・2025年3月7日となっています。また、3級の検定は、2024年4月4日~2025年2月28日が試験期間です。この等級は試験にコンピュータを用いるCBT方式であり、所定の休止期間を除いて通年にわたり受験できます。
一方、金融財政事情研究会の1級(学科試験)と2級の検定は、2024年5月26日・9月8日・2025年1月26日に実施予定です。いずれも、申請期間と合格発表日は、日本FP協会の2級検定と同じです。1級の実技試験は、2024年6月上旬~中旬・9月下旬・2025年上旬~中旬に予定されています。それぞれ、2024年3月下旬~4月中旬・7月中旬~8月上旬・11月中旬~12月中旬に申請可能です。
合格発表は、2024年7月11日・10月25日・2025年3月14日です。また、3級の検定は、CBT方式で2024年4月1日~2025年2月28日の期間にわたり行われます。試験日程は、実施機関によって多少の違いが見られるため、受験予定者は気をつける必要があるでしょう。
試験科目や難易度
試験科目は、実施機関ごとに異なる場合があります。2級・3級の学科試験は、日本FP協会と金融財政事情研究会ともに共通の問題です。それに対し、1級の学科試験は金融財政事情研究会だけが実施し、実技試験の科目は異なります。実技科目を見ると、日本FP協会は1~3級のいずれも資産設計提案業務です。
一方、金融財政事情研究会の場合、1級が資産相談業務、2級と3級では個人資産相談業務などに変わります。試験結果は、AFP認定者の登録権利が生じる2級に限ると、日本FP協会の試験で2024年1月の合格者が学科試験10,360人・実技試験15,055人でした。受験者は26,563人と24632人であり、合格率は39.00%と61.12%に達しています。
また、金融財政事情研究会の試験では、学科試験・実技試験で各々3,881人と8,047人が合格しました。それぞれ29,226人と19,377人が受験し、合格率は13.27%・41.52%になっています。金融財政事情研究会の学科試験は合格者数が1割ほどですが、残りは2~3人に1人が合格しており、それほど難易度は高くないと考えられます。
参照:日本FP協会 2024年1月実施2級FP技能検定試験結果 (参照 2024-04)
参照:一般社団法人金融財政事情研究会 試験結果:2024年1月実施 (参照 2024-04)
資格取得後のキャリアについて
FPが必要とされる分野は、家計管理・資産運用や老後の生活設計など多彩です。様々なジャンルで専門知識を活かせるため、資格取得後は多くのキャリアを積めると期待できます。
具体的な年収
日本FP協会が実施した調査によると、2020年におけるFP業務の年収は平均で約470万円です。この数値は、日本FP協会が公表した「2021年度ファイナンシャル・プランナー実態調査結果報告書」(2021年9月作成)で示されました。
調査対象は、全国のCFP認定者とAFP認定者です。年収の内訳を見ると、相談業務が最多の17%を占め、FP関係の講演・講師料や金融商品の仲介などに関わる手数料が続いています。実施に相談の多い案件は、ライフプランニング(39%)や相続・事業承継設計(23%)でした。
また、厚生労働省の資料によると、年収の全国平均は780万9千円です。この金額は、「令和4年賃金構造基本統計調査」の結果をふまえ算出されました。他には、FP経験者が独自に計算した結果から、平均年収663万円との金額も示されています。こちらは2019年5月に示された数字であり、調査対象は企業に勤めているFPです。
以上の結果をふまえると、FPとして働いた場合年間で500万~800万円の収入を得られると理解できます。
参照:日本FP協会 2021年度ファイナンシャル・プランナー実態調査結果報告書 (参照 2024-04)
参照:職業情報提供サイトjob tag ファイナンシャル・プランナー (参照 2024-04)
参照:一般社団法人相続ファシリテーター協会 ファイナンシャルプランナーの年収や給料を元FPが語る (参照 2024-04)
資格を持っていると有利な職種
FP資格があると有利な職種としては、金融・保険・不動産関係などが挙げられます。この資格は、税制・相続・年金や保険・住宅ローン・資産運用について幅広い専門知識が必要です。資格取得者は、お金の専門知識があると見なされるため、銀行・証券会社や保険会社・不動産会社に勤務するケースが多いといわれています。
また、FP技能士2級の知識は、金融機関や保険関係の専門的な業務で必要になるとの声も聞かれます。2級レベルの専門知識があると、顧客のライフプランを考慮したうえで、適切な金融商品や保険商品を提案しやすくなるためです。このような状況から、FP資格を取得すれば、金融・保険・不動産業界を中心に就職や転職で有利になると考えられます。
副業としての働き方
FP資格を取得した後の働き方としては、副業に活かす方法も選択肢の一つです。一般的に多くのFPは、お金の専門知識が必要になる企業で働いているといわれています。とはいえ、すべての資格取得者が、金融機関や保険業界で働いているとは限らないでしょう。その場合、FP資格を活用するなら、副業を始める方法があります。
具体的には、個人で家計管理や資産運用をサポートする、あるいは研修やセミナーの講演・講師を引き受けるといったパターンです。FPは資格取得後のキャリアが多岐にわたるため、時間に余裕があれば取得することをおすすめします。
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