宅建士のキャリア|試験概要や資格取得後の流れ
更新日:2024.06.17ビジネス豆知識宅地建物取引士は、不動産取引の専門家ともいわれる国家資格です。資格取得者は就職で有利になると見込まれ、近年は、毎年のように大勢の人々が資格試験を受けています。これから受験するかどうかを検討している場合、試験の流れや資格取得後の就職先は気になるでしょう。そこで今回は、受験手続き・試験のスケジュール・合格後の流れや主なキャリアなどをご紹介します。
目次
宅地建物取引士の資格試験概要
宅地建物取引士の資格試験は、原則として毎年1回です。他の資格と比べた場合、試験の難易度には違いが見られます。以下では、受験手続きの流れ・2024年度の試験のスケジュール・合格率・合格点などをご紹介します。
受験手続きの流れ
2024年現在、宅地建物取引士資格試験を受ける時は、試験案内の入手や受験申し込みの手続きが必要です。この資格の試験案内は、インターネットや郵送で手に入れられます。インターネットの場合、案内情報は不動産適正取引推進機構のホームページに掲載されています。また、郵送による案内資料の配布は、各都道府県の管轄です。
受験申し込みの受付は、例年、ネット上と郵送ともに7月の第1営業日から開始されています。以上の手続きが済むと、8月下旬頃に試験会場が通知され、例年9月下旬~10月上旬に受験票が送られてきます。その後は、10月に試験が実施され、11月下旬に合格発表が行われ、合格者に合格証書が送られる流れが一般的です。
試験のスケジュール
不動産適正取引推進機構によれば、国土交通省の定める宅地建物取引士資格試験が実施される日程は10月の第3日曜日です。国土交通省の規定を見ると、資格試験の実施回数については「毎年少なくとも1回行う」と記されています。毎年1回は規定上の最低条件であり、2021年度は、コロナ禍の影響もあり10月と12月の2回にわたり実施されました。
2024年度は、10月2日(水)に受験票が発送され、10月20日(日)に試験が行われる予定です。試験時間は、13時~15時(登録講習修了者は13時10分~15時)と発表されています。また、合格発表の予定日時は、11月26日(火)です。なお、2024年度の申し込み受付期間はインターネットによる申し込み方法が7月31日(水)までになっているのに対し、郵送による申し込み方法は7月16日(火)と短くなっています。
合格率や合格点
宅地建物取引士資格試験の合格率は、平均で1割半から2割弱といわれています。不動産適正取引推進機構が公表した資料によると、2023年度は233,276人の受験者のうち40,025人が試験に合格し、合格率は約17%でした。また、登録講習修了者は5万人ほどが受験し、そのうち約1万2千人が合格して合格率は2割半に達しています。
また、一般受験者の合格基準点は50問中36点、登録講習修了者は45問中31点です。ここ数年のデータを見ても、前者34~38点・後者29~33点であり、合格ラインは3割前半から後半になる状況が続いています。以上の結果から、試験の難易度は、弁護士など士業のなかでは比較的に易しいといわれています。
参考:不動産適正取引推進機構「令和5年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」
https://www.retio.or.jp/exam/pdf/result.pdf
宅地建物取引士に合格した後の流れ
宅地建物取引士資格試験に合格した後、宅建士として実際の業務に従事するには、資格登録が必要です。以下では、資格登録する時の条件や手続きの流れについてご紹介します。
資格登録に伴う条件
宅地建物取引業法の規定によれば、宅地建物取引士の資格登録に伴う条件は、以下の通りです。
- 宅地建物取引業の実務経験が2年以上ある
- 国土交通大臣の登録を受けた宅地か建物の取引に関する実務について、講習を修了している
- 国・地方公共団体、これらの出資で設立された法人のいずれかにおいて、宅地か建物の取得または処分の業務に通算で2年以上にわたり従事している
以上の条件を満たす場合、資格試験に合格すると登録手続きを行えます。ただし、実務経験に一般管理部門は含まれません。また、宅地建物取引業法が掲げる欠格要件に該当すると、資格登録の対象外になるため注意する必要があります。
登録手続きの流れ
宅地建物取引士の登録手続きは、資格試験を受けた都道府県で行うのが原則です。試験の合格者には、合格証書と同封で資格登録に関する資料が送られてきます。資格登録に関する資料は、「宅地建物取引士資格登録等の手続きについて」です。登録関係の書類が手元に届いたら、資格登録の手続きを進めていきます。
登録手続きの受付場所は、各都道府県の登録窓口です。所定の窓口に必要書類や手数料を提出して、資格登録を申請します。通常、必要書類と手数料の提出方法は、持参と郵送ともに可能です。書類や手続きに不備がなく申請が受理されると、都道府県知事により資格登録が行われます。申請先の都道府県知事から宅地建物取引士証が交付されれば、登録手続きは完了です。また、宅地建物取引士証の有効期間は5年です。
なお、東京都の場合、登録が決定するまでには1カ月ほどかかるといわれています。また、宅地建物取引士証を受け取るには、登録通知を受領した後に別途で交付申請が必要です。登録手続きの進め方は都道府県によって違いがある可能性もあるため、詳細は受付窓口やホームページで確認することをおすすめします。
宅地建物取引士の主なキャリアなど
宅地建物取引士は、就職先が幅広く人気があるといわれる資格です。様々な業種で資格を活かせる可能性があり、キャリアを積むのに役立つと期待できます。以下では、宅地建物取引士の資格が役立つ代表的な業種などをご紹介します。
資格を活かせる業種
より多くの場面で宅地建物取引士の資格を活かせる業種といえば、不動産業です。不動産業の場合、事業内容によっては宅地建物取引士の設置義務を課される場合があります。その代表例は、宅地建物取引業です。宅地建物の取引業務を手がける事務所は、関連法により成年で専任の宅地建物取引士の設置を求められています。
また、宅地建物取引士の資格が必須になる部門に加えて、資格の取得者が優遇されるケースも見られます。多くの不動産会社で資格が必須になる部門は、土地の取得や開発業務に関わる仕入部署、資格取得者が優遇される部門は営業関係です。
仕入部署は宅地建物取引士の専門知識を必要とする仕事が多く、円滑に業務を進めるうえで資格は欠かせないといわれています。一方、営業関係は専門知識がないと取引に関わる重要事項の説明は難しく、資格を重視するケースは少なくありません。不動産業では宅地建物取引士の需要が高く、資格を活かせる可能性は大きいと考えられます。
不動産業以外で需要のある業種
不動産業のほかにも、宅地建物取引士の資格を活かせる業種は豊富です。建設業や金融業でも、宅地建物取引士が求められています。建設業は、宅地建物取引士がいないと物件の売買取引は扱えません。また、金融業は不動産を担保に融資するケースが多く、資格取得者は重宝される傾向があります。
小売業も、宅地建物取引士を必要とするケースが見られます。不動産関係の知識に詳しいと、多くの来店者を見込める立地を探すのに役立ち、店舗物件も管理しやすくなるためです。ほかには、保険業界や一般企業も、宅地建物取引士の資格を活かせる就職先に挙げられます。保険業界では保険契約に住宅ローンの有無が大きく関与し、一般企業は法律知識を重視する場合があり、宅地建物取引士の資格は評価される可能性があります。
さらに、資格を取得しておけば、起業も可能です。不動産会社や建設関係の企業に就職した場合、宅地建物取引の実務経験を積みながら、個人事業主としての独立開業を目指せます。宅地建物取引士は、様々なキャリアを積める可能性があるため、機会を見つけて資格を取るのは得策と考えられます。
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