ロジャーズの三原則とは?傾聴力を身に着けよう
更新日:2024.06.27電話代行職場やコールセンターの電話対応では、お客様の会話を傾聴する姿勢が大切です。アメリカの心理学者として著名なカール・ロジャーズは、積極的に傾聴するうえで必要な3要素を提唱しており、その内容はロジャーズの三原則として知られています。今回は、まず傾聴力にとって重要となるロジャーズの三原則を解説し、傾聴レベルのチェック方法や業務で応用する時の心がまえをご紹介します。
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目次
ロジャーズの三原則とは?
ロジャーズの三原則とは、アメリカの心理学者カール・ロジャーズが、会話を傾聴するうえで必要と説いた3つの要素です。その3要素は、「共感的理解」「無条件の肯定的配慮」「自己一致」を指します。
原則1:共感的理解
共感的理解(empathic understanding)は、どんな時にも話し手の立場になって会話を聞く態度です。この原則では、最初に自分は話し手と異なる人間であるとの認識が前提となります。
そのうえで聞き手は相手の立場となり、言葉の内面にある話し手の心情理解に努めます。共感の気持ちを伝える際、同意との混同には注意が必要です。一般的に同意は、自分と相手の考え方が一致していると意思表示することを指しています。
それに対し共感は、話し手の状況を自分に置き換えて相手の言葉を受け入れることを意味します。この場合、お互いの意見が同じかどうかは関係ありません。また、共感は、同情とも異なると考えられています。話し手を「かわいそう」と思うのではなく、あくまで相手の気持ちに寄り添うことが大切といわれています。
原則2:無条件の肯定的関心
無条件の肯定的関心(unconditional positive regard)は、会話の内容について評価せず、常に肯定的な関心を示しながら言葉を聞く態度です。肯定的な関心を示す場合には、話し手の会話を全面的に受け入れることが大切になります。相手は、会話中に自分の考えや価値観を肯定してもらえれば安心感が生まれ話しやすくなると考えられるためです。
この態度は、話し手自身がありのままの自分を受け入れることにもつながるといわれています。職場の悩み相談やカウンセリングでは、相手が自己肯定するなかで成長するケースも見られます。いずれにしても、否定的な言動は不要です。お互いの意見が一致しなくても、話し手の発言について間違っていると考えられる点を批判する必要はありません。
原則3:自己一致
自己一致(congruence)は、聞き手が話し手の意図と自分自身の理解を一致させ、言葉の奥にある真意を把握する態度です。この原則を実践するうえでは、会話の内容を正しく理解することが求められます。話し手の言葉を正確に聞くことで、何が真意か把握できると考えられています。
会話中、疑問や不明点を聞き流すのは誤解を招く原因です。そのまま会話を続けると、聞き手の理解は話し手の意図と食い違うリスクが高くなります。相手が何を伝えたいか分からない時は誠意ある態度で質問し、話し手の考えと聞き手の理解を一致させることが大切です。言葉の意図を正しく理解できれば、真意の把握につながります。
ロジャーズの三原則にしたがい会話を聞いた際、どれくらい傾聴できたかチェックする方法は、「内的傾聴」「集中的傾聴」「全方位傾聴」の3つのステップです。
ステップ1:内的傾聴
内的傾聴は、会話を進めるなかで話し手の言葉に耳を傾けながら意識は自分に向いている状態を指します。ロジャーズの三原則において、傾聴する時には話し手の立場になることが不可欠です。聞き手は、自分の考え方に関係なく相手の意見や価値観を受け入れる共感の態度が求められます。
内的傾聴の場合、意識が聞き手自身に向いているため、話し手の気持ちに寄り添いながら共感しているとはいえません。この聞き方では、相手の立場から心情を理解するのは難しくなると考えられています。また、聞き手は自分の考えにもとづき聞き返す傾向があり、相手は話しにくくなるとも指摘されています。これらの問題を避けるうえで、聞き手は自分でなく話し手に意識を向ける姿勢が大切です。
ステップ2:集中的傾聴
集中的傾聴は、聞き手の意識が話し手の言葉へと十分に向けられている状態を指します。この聞き方の場合、内的傾聴に比べると、相手の立場になって気持ちに寄り添うことは難しくありません。話し手の意見や価値観はスムーズに受け入れられ、共感しやすくなると期待できます。
聞き手自身に意識が向いていなければ、自分の価値観で話し手を批判するリスクは減ると考えられます。話し手が安心できると、それだけ真意を話しやすくなるでしょう。さらに話の内容を理解するだけでなく、言葉によらないコミュニケーションスキルも活用すると、相手に安心感を与えるのに効果的です。そのため集中的傾聴では、相づちや間の取り方も知っておくと役立ちます。
ステップ3:全方位傾聴
全方位傾聴は、話し手に意識が向けられているとともに、周りの雰囲気も的確に把握できている状態です。周りの雰囲気を理解できる状態は、話し手がどんな環境に置かれているかまで意識が及んでいることを意味します。会話中、相手の立場になるだけでなく、広い視野から客観的に会話を傾聴しているといえます。
集中的傾聴は、聞き手の意識の焦点が話し手の言葉に当てられている状態です。それに対し全方位傾聴の場合、聞き手の視野は広がり意識の焦点は話し手の周囲にも当てられます。いずれのステップも傾聴するうえでは重要であり、それぞれ状況に合わせ使い分ける姿勢が欠かせません。
電話対応に応用する時の心がまえ
職場での電話対応でも会話を傾聴する必要があります。ロジャーズの三原則をふまえた心がまえが大切です。
共感的理解の応用
電話対応で共感的理解を応用する際は、お客様の立場になる姿勢が求められます。お客様の立場で話を聞く場合、基本的に必要となる心がまえは、話し手の言葉を聞き入れることです。相手の話に意識を集中し、何を伝えたいか心情理解に努めます。
自分と考え方や価値観が一致しなくても、すべての言葉を受け止めることで同情や同意ではなく共感する意志を示します。共感の意志を表示するのに有効とされる言葉は、「なるほど」などの相づち表現です。また、話し手の置かれた環境を理解するうえでは、会話に集中するだけでは十分とはいえないでしょう。さらに、相手を取り巻く状況にも意識を向ける全方位傾聴が必要になると考えられます。
無条件の肯定的関心の応用
無条件の肯定的関心を電話対応に応用する場合、とくに大切といわれる心がまえは、お客様を批判しないことです。お客様は、いろいろな用件で電話をかけてきます。いつでも詳しい知識があるとは限らず、お問い合わせの内容によっては相手が勘違いしている可能性もあります。
人それぞれ考え方や価値観は異なり、必ずしも一律ではありません。クレーム電話では、明らかにお客様側に非があり理不尽な見返りを求めていると判断できるケースが少なからず見られます。いずれの場合も、お客様を批判あるいは否定する応対は禁物です。肯定的関心を抱き、相手が話しやすい雰囲気づくりに努めます。
自己一致の応用
電話対応における自己一致の応用では、お客様が何を伝えたいか、的確な理解を心がけることが重要です。お客様のなかには、会話が苦手な方も見られます。自分の気持ちを、適切に表現できるとは限りません。ただ、不明点を残したまま会話を進めると誤解を招きます。
疑問は聞き流さず、その場での確認が不可欠です。言葉の意図が分かれば、真意の把握につながります。電話対応でもロジャーズの三原則を上手に応用し、お客様の理解に役立てましょう。
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