接遇と接客の違いとスキルを身につけるメリット

更新日:2024.06.26スタッフブログ

接遇と接客の違いとスキルを身につけるメリット

接遇は、お客様の気持ちに寄り添いサービスを提供する顧客対応の姿勢です。ビジネスの場では、業務マニュアルに沿った接客より高度な応対方法として、重視される傾向があります。ただし、接遇と接客の違いを、明確に区別できていない場合もあるかもしれません。接遇スキルを身につけたいと考えている場合、何が異なるか確認すれば参考になるでしょう。そこで今回は、接遇と接客の違いや接遇マナーの5原則を解説し、接遇スキルの身につけ方・メリットや具体例をご紹介します

接遇と接客の違い

接遇と接客の違い

接遇と接客の違いは、言葉に込められた意味合いの差です。接遇には、「人をもてなす」という意味が明確に含まれています。もともと、接遇の「遇」は、「接する」「あつかう」や「もてなす」の意味を有する文字です。「遇する」といった場合、「取り扱う」「処遇する」「もてなす・ふるまう」などの行為を指します。

一方、接客は、シンプルに表現すれば「お客様と接すること」「お客様に応対すること」です。「遇」が使われないため、接遇と比べた場合、「もてなし」のニュアンスは薄まります。以上の違いから、「接客」はお客様に必要最低限のサービスを提供する行為であるのに対し、「接遇」とはプラスアルファのおもてなしを加えたものと説明されます。

具体例を示すと、飲食店で料理が温かいうちに提供することは、最低限の業務であり接客の範囲にとどまるでしょう。それに対し、食材の説明などを加えて「ごゆっくりお楽しみください」と言葉を添えれば、接遇にランクアップするといえます。現在、多くの業界では、接遇をテーマとした研修が盛んです。

主な要因は、さまざまな会社で競合他社との差別化が求められているためです。類似のサービスを提供するだけでは十分でなく、それぞれの会社は独自性を示す必要が出てきています。激しい市場競争を生き抜くうえで、多くの企業はサービスの差別化や品質向上が不可欠となり、接客にとどまらない接遇での顧客対応が重視され始めています

接遇マナー5原則とは

接遇マナー5原則とは

接遇マナーの5原則とは、顧客対応を接客から接遇へランクアップするために必要とされる基本的な5つのスキルです。具体的には、笑顔や身だしなみが挙げられます。

笑顔

接遇マナー

顧客対応における笑顔は、お客様に安心感や親近感を与えられる大切な要素です。店員や従業員が柔らかい表情で応対する姿勢は、商品・サービスについて詳しく説明するより重要になる場合があるといわれています。お客様に接する時の表情で、企業や店舗の印象はよくなる可能性があります。顧客対応の好感度を上げるなら、笑顔は欠かせないでしょう。そのため、常に笑顔を心がけることは、接客よりレベルの高い接遇への第一歩になるといえます。

身だしなみ

身だしなみは、お客様の心象を左右する基本的な要素です。清潔な身だしなみで応対した場合、お客様の心象はよくなると考えられます。逆に、だらしない格好でサービスを提供すれば、応対時のイメージは悪くなり客足は離れるかもしれません。不適切な服装によるイメージ悪化を避けるには、お客様に配慮して身だしなみを整えることが大切です。

自分の気分を盛り上げるためにおしゃれするのではなく、相手の気持ちを考慮して清潔感のある装いを心がける必要があります。顧客対応の場・お店の雰囲気・お客様の年齢などに合わせ、色遣いも意識して服装を選べば、身だしなみに対する印象はよくなると期待できます。

挨拶

挨拶は、お客様と良好な人間関係を構築するうえで不可欠でしょう。初対面の相手とコミュニケーションを取る時は、最初に挨拶するケースが多く見られます。お店で来店者を出迎える場合も同様であり、通常、挨拶してから商品・サービスの説明を開始します。お客様は、初めて訪れた店舗に入る時、多少なりとも緊張しがちです。その際、穏やかな笑顔で「いらっしゃいませ」「こんにちは」と言葉をかけると、お客様の緊張を和らげ距離感を縮めるのに効果があります。最初の挨拶は来店客と打ち解けるのに役立つため、お客様には商品やサービスの説明が届きやすくなります。

言葉遣い

会話での印象を考えた場合、言葉遣いに配慮する意識は重要です。正しい言葉遣いは、会話のイメージをよくするだけでなく、仕事への信頼感を高めるのにも役立ちます。マナーに沿った話し方で顧客対応した場合、お客様に「この人なら大丈夫」との安心感を与えやすくなります。一方、不適切な言葉遣いは、仕事に対する不安や不信感を招くでしょう。会話の場面や相手の年齢・立場に見合わない言葉で話せば、「この人に任せて問題ないか?」と懸念される可能性があります。そのため、言葉遣いについては、会話の状況に応じて適切な表現に変える必要があると考えられます。

立ち居振る舞い

立ち居振る舞いは、顧客対応する時の雰囲気づくりに関わってくる部分です。丁寧で配慮の感じられる応対姿勢は、お客様にとって居心地のよい空間の構築につながります。具体的には、応対時に気を配りたい要素として、目線の位置や相手との距離が挙げら書籍で学ぶれます。お客様の目線は、立っているか座っているかで変わりますが、いずれの場合も目線の高さは合わせることが望ましいでしょう。また、あまり距離が近いと不快感を与える可能性があるため、適度な間隔を保つほうがよいと考えられます。

以上の5つを習得すれば、お客様に商品・サービスを提供する時のレベルは、接客から接遇にランクアップすると期待できます。

接遇スキルの身につけ方

接遇スキルの身につけ方

接遇のスキルを身につけるには、しっかりと努力することが大切です。おすすめの身につけ方としては、書籍で学ぶ方法や先輩を見習う方法が知られています

書籍で学ぶ

書籍で学ぶ方法は、比較的に手間をかけず始められる学習スタイルです。最近は接遇を重視する流れが強まり、関連書籍の販売数が増え、書店で入手しやすくなりました。多くの本は一通りの情報に言及しているため、まず全体像を把握したい場合に適しています。

先輩を見習う

先輩を見習う方法は、実際の経験を積み重ねるのに有効です。接遇スキルを身につけるうえで、実体験は大切といわれています。お客様は、同じ挨拶や言葉遣いでも、人によって異なる印象を抱く可能性があります。柔軟な姿勢で顧客対応するには、いろいろな状況を経験する必要があるでしょう。職場の先輩は、業務経験が長い分だけ、一般的に高い接遇スキルを習得しているものです。さまざまな所作を見習いながら先輩の技術を吸収すれば、接遇スキルの向上に活かせます。

研修を受講する

接遇のマナーやスキルを専門家から学ぶなら、研修を受講する方法があります。最近、多くの企業は、接遇研修の実施に積極的です。また、企業だけでなく、マナー講師が開催するケースも見られます。これらの研修に参加した場合、一流講師のスキルを直に学べます。現在は受講者の年齢や業種に合わせたプログラムが用意されているため、自分のニーズやスキルレベルに応じて研修内容を選ぶことが可能です。

検定試験を受ける

検定試験を受ける場合、受験勉強を進めるなかで接遇スキルについて学べます。接遇に関する検定試験は、「サービス接遇検定」です。この検定は、公益財団法人の実務技能検定協会が実施しています。例年、試験は年3回あり、とくに受験資格は設けられていません。筆記試験は、全国各地で誰でも受験できます。具体的に審査される内容は、サービス業務に対する心構え対人心理の理解応対の技術口のきき方態度・振舞いなどです。

2024年度の試験は、次の日程で予定されています。

受付期間 試験日
第61回 2024年4月5日~5月7日 2024年6月9日
第62回 2024年9月4日~10月7日 2024年11月10日
第63回 2024年12月9日~2025年1月20日 2025年2月16日

以上のような方法で接遇関係の学習を続ければ、接遇に必要なスキルは徐々に磨かれると考えられます。

ビジネス系検定 サービス接遇検定とは (参照 2024-06)
ビジネス系検定 2024年度試験情報 (参照 2024-06)

接遇スキルを身につけるメリット

接遇スキルを身につけるメリット

従業員や店員が接遇のスキルを身につけるメリットは、サービスの品質向上企業のイメージアップにつながるところです。

サービスの品質レベルが向上

サービスの品質レベルが向上する点は、接遇スキルの習得がもたらす大きなメリットです。顧客対応のスキルレベルが接客から接遇にランクアップした場合、お客様には高品質のサービスを提供できます。お客様は、優れた待遇を受けることで、より一層の充実感や安心感を得られると考えられます。サービスの品質向上で顧客満足度が高まれば、世間一般の評判はよくなり、新規顧客の獲得やリピーターの増加に結びつくでしょう。結果的に収益が増進すれば、企業は大きなメリットを得られると期待できます。

従業員・店員のモチベーションに好影響

接遇スキルの習得によるサービスの品質向上は、従業員・店員のモチベーションに好影響を及ぼす可能性もあります。従業員・店員は、接客業・サービス業を中心として「お客様に喜んでほしい」と考えているケースが一般的です。日々の業務では、お客様への配慮から、いろいろ工夫する場面が多く見られます。高度な接遇スキルで良質のサービスを提供し、顧客対応で喜ばれた場合、仕事のモチベーションが上がることは珍しくないでしょう。その結果、労働意欲が高まれば、従業員だけでなく企業にとってもメリットになると考えられます。

企業イメージやブランド力もアップ

従業員・店員による接遇スキルの習得は、企業イメージやブランド力をアップするのにも有効です。優れた接遇が多くのお客様に喜ばれた場合、消費者層からは、高い評価や信頼を得られると考えられます。顧客対応についての評判が上がれば、従業員や店員の信頼性とともに、企業のイメージやブランド力も高まるでしょう。また、お客様から多くの支持を得たサービスは、幅広く事業展開できる可能性があります。さらに、最近はSNSや口コミの影響力が大きいため、ひとつの接遇に対する評判が瞬時に世界中へ広まる効果も期待できます。

私生活でも活用可能

接遇スキルは、仕事関係にとどまらず、私生活で活用することも可能です。相手に配慮しながら思いやりの心で接する行為は、日々の生活を送るなかでも実践できます。接遇を意識した姿勢は、印象のよい振舞いとして、家族・パートナーや友人にも快く受け入れられるでしょう。日頃から身近な人も丁寧にもてなせば、私生活でも良好な人間関係を築きやすくなると期待できます。このように、接遇スキルを身につけると多くのメリットを得られるため、仕事などを通して習得する価値は大きいと考えられます。

接遇の具体例

接遇の具体例

接遇スキルを高めるうえで、実際の行動に移すことは大切です。その参考として、いくつかの具体例をご紹介します

雨天時のホテル

ホテルの場合、常に身だしなみを整え、笑顔で顧客対応するのは基本です。加えて、雨天時には、さまざまな気遣いが求められます。お客様が雨のなか訪れた際、ホテル側は、雨水を拭いてもらうためタオルを用意する場面が多く見られます。ただし、お客様は、きれいなタオルが汚れるのを気にして遠慮するかもしれません。そんな時は、笑顔で「洗えば済みますので、遠慮せずお使いください」とお声がけすれば、お客様も安心して使えるでしょう。

また、足元が濡れていた場合、「ロビーが滑りますので、お気をつけください」と呼びかける配慮も大切になってきます。

衣料品店での応対

衣料品店の顧客対応で接遇を実践する場合、お客様の状況を察して行動することが大事です。ファッション関係の質問に答えたりレジ対応したりすることは、衣料品店であれば基本的な接客の範囲といわれています。それに対し、お客様が商品選びで迷っている時、その状況を見過ごさず試着を勧める行為は接遇になるでしょう。お客様は、何着も試着すると迷惑にならないか心配する場合もあるため、「お気軽にご試着ください」と案内すれば安心感を与えられます。

また、レジ精算して終わりでなく最後までお見送りすれば、お店の好感度は上がると考えられます。

医療・介護の場

医療・介護の場で接遇が求められる主な理由は、多くの利用者が健康面の不安を抱えているためです。具体的には、明るい表情や相手に配慮した言葉遣いが、いつでも心がけたいポイントに挙げられています。コミュニケーションを取る時は、相手に少しでも安心してもらうため、優しい笑顔と言葉で接する姿勢が必要といわれています。

また、会話する時の目線や相手の話を傾聴する意識も、重視されるポイントです。目線を合わせると、真剣に話を聞く気持ちが伝わりやすくなります。そのうえで、話の内容に耳を傾ければ、相手は不安感が和らぎ落ち着いて話せるでしょう。以上のように、接遇で求められる具体的な応対は状況によって変わりますが、いずれにしても常に相手を思いやる心が大切になると考えられます。

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