今注目を集めるフィードフォワードを取り入れよう

更新日:2023.02.16ビジネス豆知識

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昨今のビジネスシーンでは、フィードバックと対極にあるフィードフォワードという人材育成方法が注目を集めています。フィードフォワードは、過去に視点を向け改善を促すフィードバックと違い、将来や未来に視点を向けた解決策が軸となることが特徴です。今回は、フィードフォワードの基礎知識や注目される理由、メリットなどをご紹介します。社員や部下の人材育成方法にお悩みの方は、ぜひ導入の参考にしてみてください。

フィードフォワードとは?

フィードフォワードは英語にすると「feed forward」となります。“forward”とは「先に・将来に」などを意味する言葉で、文字通りフィードバック(feed back)とは真逆の未来志向の言葉であることが分かります。まずは、フィードフォワードの意味を見ていきましょう。

フィードフォワードとは

フィードフォワードとは、将来に向けた改善点や目標達成のために解決策を話し合うことです。人材育成や個々の成長のためには、過去を振り返り改善していくことももちろん大切ですが、フィードフォワードでは過去には目を向けません。

未来にのみスポットを当て、必要なアイデアを出し合ったりアドバイスし合ったりするのです。上司から部下へ、など形式にはとらわれず、時には部下から上司へ行うこともあります。

フィードフォワードは、将来を見据え、自ら前向きに行動しようという意志を育てる効果が期待できます。最近では、前向きな姿勢や仕事への意欲の育成・訓練を狙いとして導入する企業も増えているようです。また、組織内やチーム内のコミュニケーションの活発化や、団結力の強化にも効果的といわれています。

混同されやすい言葉とその違い

フィードフォワードをより深く理解するために、混同されやすい言葉と比較して考えてみましょう。混同されやすい言葉とその違いについてご紹介します。

フィードバック

フィードバックは過去や現状に目を向け、改善点を見つけたり原因を究明したりすることで課題の解決や個々の成長を目指す人材育成方法です。未来に目を向けるフィードフォワードとは対極にある方法といえます。フィードバックは主に上司から部下に行うものであるのに対し、フィードフォワードは上下関係に関わらず、皆同じ立ち位置からアイデアを出し合います。

また、フィードバックは個人の問題点や失敗、欠点などに注目し改善を目的としているため、上司の主観で批判的な意見になってしまいがちです。それに対し、フィードフォワードは解決策に注目しているため、ダメ出しや指摘ではなく、前向きなアドバイスやアイデア共有が中心になります。

コーチング

コーチングとは、コーチングする人(コーチ)がコーチングを受ける人(クライアント)に何度も問いかけることで、クライアント自身に新しい考え方や行動の選択肢をもたらす人材開発の手法です。コーチは基本的にアドバイスをしたり教えたりすることはしません。

問いかけを通して、クライアント自身から新しい気づきや目標達成のための行動を引き出すのです。フィードフォワード同様、未来に目を向けた方法ではありますが、コーチとクライアントに分かれ対等な立場でない点、コーチに明確な役割がある点などが異なります。

ティーチング

ティーチングは、経験やスキルが乏しい相手に対して、情報や知識を具体的に教えることです。ビジネスシーンでは、主に上司が部下に業務内容や知識を与え、理解を促します。

ティーチングもまた、教える立場と教えられる立場にはっきり分かれている点がフィードフォワードとは異なります。フィードフォワードは解決を目指し対話することであり、誰かが答えを把握しているものでも誰かに教えを乞うことでもありません。

フィードフォワードが注目される背景

フィードフォワードが注目されるようになった理由のひとつが、フィードバックの難しさにあります。フィードバックは、正しく使えば受け手の励みや向上心につながる効果的な手法です。しかし、誤ったフィードバックは受け手にネガティブな印象を与えてしまうため、自信を喪失させ、離職につながる恐れがあります。人手不足が深刻化している昨今、若手人材の流出を防ぐことは社会全体で重要な課題となっています。

自分に対するネガティブな意見や評価を受け入れるのは、なかなか難しいものです。頭で理解できたとしても、心ではなかなか消化できずモチベーションの低下につながってしまうこともあるでしょう。未来に目を向けているフィードフォワードでは、過去の行いに対する指摘や批判的な意見は一切ありません。社員のモチベーション維持や自己成長につながる可能性の高いフィードフォワードは、社員の定着にも効果が期待できると考えられています。

フィードフォワードのメリット・デメリット

フィードフォワードにはさまざまなメリットがありますが、デメリットも少なからず存在します。双方把握したうえで、導入を検討してみてください。

フィードフォワードのメリット

フィードフォワードは、これまで解説してきた通り過去の事柄や失敗などには目を向けずに、未来に向けた解決策についてのみ話し合う手法です。個人ではなく問題の解決策に焦点が当てられるため、個人に対する批判的な意見やアドバイスの抑制になるというメリットがあります。前向きなアイデアは受け入れやすく、個人の向上心や変革意識を育てることにつながるでしょう。

また、上司や部下などの属性に関わらず平等な立場で意見交換することで、チーム内の仲間意識が高まり団結力も強くなると考えられます。1人ひとりが主体性を持って話し合うことで、個人やチーム全体の成長にもつながるでしょう。

フィードフォワードのデメリット

フィードフォワードのデメリットとしては、導入してもすぐに効果を実感することが難しいという点が挙げられます。フィードフォワードは、1人ひとりがきちんとフィードフォワードについて理解していないと効果がうまく発揮されません。フィードバックが主流であった企業にとっては真逆となる新しい手法のため、まずは社員全員に共通理解を得る必要があるのです。

なかには、フィードフォワード導入に反対する人や、フィードバックの方がやりやすいと感じる人もいるでしょう。反対意見のある人を説得したり、レクチャーやトレーニングを繰り返したりする必要があるため、導入して効果を実感するまでに時間がかかる可能性が高いのです。

また、フィードフォワードの効果を得るためには、個々が自ら改善点を考えることはもちろん、問題解決に向けて周りに意見を求められるような、心理的安全性の高い職場環境づくりも大切といえます。

まとめ

フィードフォワードについての基礎知識やメリット・デメリットをご紹介しました。フィードフォワードは、前例や習慣にとらわれない、新しい人材育成方法として注目されていますが、導入するには社員全員の共通理解や意識改革が必要になります

しかし、フィードフォワードをうまく活用できれば、社員一人ひとりが主体性を持ち成長することを促したり、若手人材の離職を防いだりする効果が期待できます。生産性の向上や業務の効率化、イノベーションが求められる時代において、フィードフォワードは有効的な人材マネジメント方法といえるのではないでしょうか。個人や企業の成長のためにも、ぜひフィードフォワードの導入を検討してみてください。

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