初頭効果と親近効果の特性の違いと使い分け方法

更新日:2023.10.23電話代行

初頭効果と親近効果

初頭効果と親近効果は、いずれも順序効果と呼ばれる心理現象の一種です。ビジネスなどで各種情報が提示された際、2つの効果の影響で印象の残りやすさに違いが生まれます。プレゼンや電話対応で好印象を与えるなら、それぞれ上手に使い分けるとよいでしょう。そこで今回は、初頭効果と親近効果の特性や使い分け方法をご紹介します

初頭効果とは

初頭効果とは

初頭効果は、人の心理が最初に受け取った情報に左右されやすいことを意味する言葉です。この心理的な傾向をふまえ、よくビジネスシーンでは第一印象が大切になると考えられています。

主な特性

初頭効果の主な特性は、最初に提示された情報が人の印象に残りやすく、心理面に大きな影響を及ぼすところです。日々の生活に目を向けると情報の提示方法は状況によって異なり、いろいろなパターンが見られます。そのなかで初頭効果の影響力が大きくなるケースは、とくに同レベルの情報が並列に置かれている時です。

分かりやすい事例としては、いくつもの果物の名前を並べた場面が挙げられます。夏が旬の果物について「メロン、さくらんぼ、スイカ、ぶどう、パイナップル」と列挙された際、印象に残りやすいのは、最初のほうに提示されたメロン、さくらんぼ、スイカでしょう。買い物を頼まれた時なども、最初に聞いた果物の名前は比較的思い出しやすいといわれています。

研究の歴史

心理学の研究で初頭効果が提唱されたのは、1946年です。ポーランド出身の心理学者であるS・アッシュ氏が、印象形成の実験により示しました。同氏は2つのグループを被験者として、情報を提示する順番が早いと印象が強くなる初頭効果について実証しています。そこで使われた情報は、特定の人物の性格に関する複数の形容詞です。

ひとつのグループは、パターンA「知的で、勤勉で、衝動的で、批判的で、頑固で、嫉妬深い人」を見せられます。残りのグループが提示された情報は、「嫉妬深くて、頑固で、批判的で、衝動的で、勤勉で、知的な人」です。情報の順番を入れ替えただけですが先のグループは特定の人物に好印象を抱き、それに対し残りのグループ2は印象が悪くなったと報告されています。

活用方法

アッシュ氏の実験からも分かる通り、並列に提示された情報は最初のものほど印象が強まる傾向にあります。この初頭効果をふまえた場合、ビジネスシーンなどでは好印象につながる情報を早めに伝えたほうがイメージアップには効果的です。とくに新入社員は、最初の仕事で成功すると後々に失敗しても評価は下がりにくいといわれています。

ただ各種の情報は、いつでも並列に示せるとは限りません。さまざまな場面で、とりわけ記憶に残りやすいのは見た目に関する情報です。日々の生活で、いろいろな人の印象が性格よりも外見に左右されることは少なくないでしょう。ビジネスでも外見が第一印象を決める可能性は高く、多くの職場では仕事の能力だけではなく身なりへの配慮も求められています。

親近効果とは

親近効果とは

親近効果は、初頭効果とは逆に最後に提示された情報が人の心理に大きく影響することを意味する言葉です。この点からビジネスでは、商談での会話や仕事の終わり方も大切と考えられています

主な特性

親近効果の主な特性は、最後の情報ほど強調されやすく多くの場面で人の印象を左右するところです。普段の何気ない会話を思い浮かべてみましょう。話題が次々に移り変わるため、話を終えてから、途中まで何を話していたか忘れていることが多いのではないでしょうか。それでも、最後の話題は思い出せる場合が少なくありません。

この特性は、とくに複数の情報が逆説的に示されたケースで顕著になります。果物の話で「夏に美味しいフルーツはメロンやスイカですが、秋になったら柿や梨がおすすめです」と聞いた時は、メロンなどより柿と梨の印象が強まるでしょう。また、逆説的でなくても大量の情報を提示されると最後のほうが記憶に残りやすく、これも親近効果の特性のひとつと説明されています。

研究の歴史

親近効果は、1976年の実験により心理学の分野で提唱されました。提唱者は、米国の心理学者として知られるN・H・アンダーソンです。同氏は、実際の事件をもとに模擬裁判を実施しています。弁護側と検事側の証言をそれぞれ6つ用意し、各情報を提示する順番で陪審員の判断がどれくらい変わるか調べました。

パターンAは、双方の証言を2つずつ出す流れを3回繰り返します。パターンBは、一方の証言を一度に6つ示してから他方の証言を6つ続けて示す手順です。結果は、いずれも最後の証言に有利な判決が下されたと報告されています。この実験にもとづき、多くの人は異なる発信源から複数の情報を与えられると最後の情報に強い影響を受けると認識されました

活用方法

アンダーソン氏の実験をふまえるなら、親近効果は話の始まりや途中ではなく最後に意識すると効果的です。ビジネスの場合、プレゼンや商談では数々の情報を提示することになります。取引先や関係者が、最初から熱心に耳を傾けてくれる保証はありません。あまり多くの情報をアピールすると、魅力的な内容でも忘れられる可能性は高まります。

とくに記憶してほしい情報は、最後に提示するのが適切です。メリットとデメリットのある商品やサービスなら、先にデメリットを伝えておき後半でメリットを逆説的に強調する流れが望ましいでしょう。親近効果を意識した商品アピールでメリットの印象が強く残れば、商談の成立につながりやすくなると期待できます。

電話対応での使い分け

電話対応での使い分け

ビジネスにおいて初頭効果と親近効果は、どちらも重要な要素です。職場の電話対応では、上手に使い分ける必要があると考えられています。

第一印象は初頭効果

上記の通り、初頭効果は第一印象に大きく関わる心理現象です電話対応では、会話の始め方が重要になります。とくに気をつけたい点は、最初の挨拶です。電話をかけるか受けるかに関係なく、きちんと挨拶すれば第一印象を良くするのに効果があります。まず自分が名乗り、それから相手の名前や用件を確認するのが基本のビジネスマナーです。

商品アピールする場合、お客様や取引先が興味を抱いているとは限りません。こちらが本題に入る前に、すぐ電話を切られることもあります。それでも最初の挨拶が好印象につながり、改めて話を聞いてもらえるケースは多く見られます。お客様や取引先は私用や仕事で忙しい場合もあり、こちらから電話する際は時間に余裕があるかの確認も欠かせません。

最後は親近効果

親近効果は、最終的な印象を左右する心理現象です。初頭効果とは逆に、電話対応の終わり方で重要性が増します。ここでは、最後の言葉とともに電話の切り方が大切です。こちらの用件を話している時は、プレゼンなどと同じく重要なアピールポイントは最後に伝えたほうが忘れられるリスクを軽減できます。

また、こちらの用件が済んでも相手は話したいことがあるかもしれません。一方的に会話を終えると印象は悪くなるため、お互いの意思確認は不可欠です。さらに通話を終える時は、相手が電話を切るまで待つスタイルが望まれます。さまざまな親近効果を考慮した場合、仕事上の電話対応では最後まで気が抜けないといえるでしょう。

電話代行は使い分けのベテラン

電話代行は、初頭効果と親近効果の使い分けに慣れているベテランといえます。多くのサービスでは、着信対応の状況に合わせて、両者を上手に使い分けています。例えば、お客様が新規の場合、まだ十分に信頼関係を築けていないケースが大半です。そのため初頭効果の影響力は大きいと考えられます。そのため、応対するオペレーターは、会話の始め方に細やかな配慮を行います。

一方、常連のお得意様が最初の堅苦しい挨拶を好まない時は、早めに本題へ入るケースも見られます。ただ最後まで配慮を欠くと信頼を損ねるため、電話の切り方には十分に注意しています。弊社のオペレーターも、適切な電話応対で高品質なサービスの提供に努めています。細やかで印象の良い電話代行をお探しなら、ぜひ弊社「電話代行サービス」をご検討ください。

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