6月8日は世界海洋デー|美しい海を未来へ

更新日:2024.06.10スタッフブログ

6月8日は世界海洋デー|美しい海を未来へ

世界海洋デーは、海洋汚染の問題が深刻化するなかで定められた記念日です。日本の祝日でなく、国際機関が認める国際デーとして設定されました。毎年、国際デーに認定された6月8日にイベントなどが開催されています。環境問題に関心がある場合、興味を抱いた行事に参加してみるとよいでしょう。そこで今回は、世界海洋デーの概要を解説し、海洋汚染の主要原因や世界各地の取り組みをご紹介します

世界海洋デーの概要

世界海洋デーの概要

世界海洋デーは、国際機関により定められた国際デーです。海について考える日として誕生し、毎年、様々なテーマに沿った活動が実施されています。以下では、この国際デーが成立した経緯・目的・これまでのテーマなどをご紹介します

世界海洋デーが成立した経緯

世界海洋デーは、最初の提唱から17年の年月を経て、2009年に国際機関で公式に認められた記念日です。この記念日を提唱した国は、カナダです。1992年6月8日、地球サミットで国際デーに定めることが提案されました。この頃、すでに海洋汚染などは国際的に問題視されていたため、1982年に「国連海洋法条約」が採択されています。

国連海洋法条約は「海洋法に関する国際連合条約」の通称であり、採択から12年後の1994年に発効されました。その15年後の2009年6月8日、カナダが初めて提唱した世界海洋デーは、正式に国際デーとして認定されます。国際機関で公認された背景には、海洋に関わる問題を考えるうえで、世界海洋デーを制定する意味は大きかったためと考えられます

世界海洋デーの目的

国際機関の説明によると、世界海洋デーの目的は、海洋汚染の問題などに対する理念や取り組みの共有です。具体的な理念・取り組みとしては、以下の例が挙げられます。

  • 海洋汚染問題の解決
  • 海洋資源の保全
  • 海洋生物の乱獲防止

ほかには、公平公正な漁業活動の推奨、あるいは海賊行為や海での強盗行為の取り締り強化が含まれています。以上の説明から、世界海洋デーは、海洋環境の保護を基本理念として水質汚染や乱獲の問題に世界が一体となって取り組むため制定されたと理解できるでしょう。

これまでのテーマ

世界海洋デーのテーマは、これまで国連が定めてきました。
2009年~2022年の14年にわたるテーマは、次の通り多岐にわたります。

最初の5年間

2009年:「私たちの海、私たちの責任」
2010年:「私たちの海:機会と挑戦」
2011年:「私たちの海:私たちの未来を緑化」
2012年:「国連海洋法条約30周年」
2013年:「海と人々」

次の5年間

2014年:「海洋の持続可能性」
2015年:「健全な海、健全な地球」
2016年:「健全な海、健全な地球」
2017年:「私たちの海、私たちの未来」
2018年:「私たちの海をきれいに」

最近の4年間

2020年:「持続可能な海のためのイノベーション」
2021年:「海:生命と暮らし」
2022年:「再活性化:海洋環境のための集団的アクション」
2023年:「プラネットオーシャン:潮流の変化」

世界海洋デー制定されて以来、世界各地では各テーマに沿った活動やイベントが実施され、海洋環境を保護する必要性などが呼びかけられています

深刻化する海洋汚染

深刻化する海洋汚染

海洋汚染は、世界海洋デーで重要課題に挙げられている問題です。現在、世界各地の海は、様々な要因により汚染が進んでいます。以下では、深刻化する海洋汚染の主要原因や問題点をご紹介します

海洋汚染の主要原因

これまで海洋汚染を引き起こしてきた主要原因は、以下の5つです

プラスチックゴミ

プラスチックゴミは、自然に分解されにくく、海まで流れ出るケースが多く見られる廃棄物です。昨今は、海に流出する量が年間800万トンほどに達しているともいわれています。

ゴミの不法投棄

ほかのゴミも、不法投棄されると、川や下水に落ちて海に流出する場合が少なくありません。プラスチックほどでなくても自然分解には時間がかかるため、海にたまりやすく汚染につながります。

生活排水

生活排水の多くは、洗剤や小さいゴミが混ざった汚水です。これらの混入物は、下水から海に流れ込むと、水質汚染の原因になります。また、洗顔料や歯磨き粉は微細なプラスチックを含むものがあり、洗面時に流すと海洋汚染につながります。

化学物質の流出

化学物質は、工場から排出されるケースが一般的です。

油の流出

油は、工場で廃棄されるほか船舶事故が起きると海に流出します。いずれも、海水に混ざれば、水質汚染は避けられないでしょう。

海洋環境を守るには、不法投棄をなくすとともにプラスチックゴミや生活排水を減らす必要があると考えられます。

海洋汚染が招く問題点

海洋汚染が招く大きな問題点は、海洋生物の健康被害です。さらに、海産物が汚染された場合、人体に悪影響を及ぼす可能性もあります。プラスチックゴミは、海に運ばれるまでに小さくなるケースが目立ちます。目に見えないくらい細かい場合、小さな魚でも摂取可能です。

プラスチックは有害物質を含んでいるため、海洋生物が体内に取り込むと健康を害するリスクが高まります。不法投棄されたゴミや生活排水の混入物も、海洋生物の健康被害につながる原因の代表例です。また、化学物質や油が海水に混ざった場合、魚や海鳥の生活環境は快適でなくなるでしょう。

魚は、健康状態に関係なく、食物連鎖で他の生物に食べられます。体内に有害物質を取り込んでいると、食物連鎖が進むと有害物質は濃縮されるといわれています。最終的に人が食べた場合、人体に悪影響が出る可能性は小さくありません。海洋汚染は幅広い範囲に影響を及ぼす可能性があるため、問題解決に向けた取り組みが不可欠と考えられます。

世界各地の取り組みなど

世界各地の取り組みなど

近年、世界の国々は、海洋汚染問題を解決するための取り組みに積極的です。海洋環境の保護に対する個人の意識も、高まっているでしょう。そこで今回は、問題解決を目指す各地の取り組みや個人で実践できる活動をご紹介します

世界各地の取り組み

海洋汚染の深刻化を防ぐ取り組みは、数年来、欧米やアジアの各地で盛んに進められています。EU加盟国が海洋汚染への対策に掲げた目標は、プラスチックゴミの削減です。2030年までに、すべてのプラスチック製品がリサイクル・リユースできる体制を実現したいと志向しています。

米国も、プラスチック製品の再利用やプラスチックゴミの削減に熱心です。同国では再生プラスチックの比率記載が義務化され、一部の州で飲食店などによるプラスチック製ストローやレジ袋の提供が禁じられています。

アジアに目を向けると、タイが、早々にプラスチックゴミの規制を強化しました。プラスチックゴミの発生につながる輸入品は以前より規制を強め、廃プラスチックは輸入を禁じたといわれています。また、日本も、海洋汚染に関する取り組みを「海洋プラスチックゴミ対策アクションプラン」にまとめています。

個人で実践できる活動

美しい海洋環境を守るため個人で実践できる活動は、ポイ捨ての禁止や清掃活動への参加です。ゴミのポイ捨ては、街の景観を損ねるだけでなく、下水や川に落ちると海を汚す原因になるため厳禁です。自分はゴミ箱を利用していても、周りがポイ捨てしている姿を見かけた時は、注意を促すとよいでしょう。

清掃活動への参加も、海洋環境の保護に効果的です。海辺でゴミを拾えば、その分だけ海は美しくなります。街の清掃も、ポイ捨てされたゴミが海に流れ込む事態を防ぐのに有効です。

また、夏場の日焼け止めは、地球に優しいタイプを選ぶと海洋環境や絶滅が危惧されるサンゴ礁の保護に役立ちます。世界海洋デーを機会に海洋環境を守りたい思いが強まった時は、これらの活動に取り組むことをおすすめします。

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