とっさに言葉が出ない!気持ちを言語化するには
更新日:2023.02.16ビジネス豆知識ビジネスでの電話対応を苦手とする方からは、理由として「とっさに言葉が出てこない」との声が聞かれます。この悩みを少しでも解消するには、何が要因になっているか理解したうえで日頃から上手に気持ちを言語化するトレーニングを積むとよいでしょう。そこで今回は、気持ちの言語化を妨げる主な要因を示すとともに、効果的な思考プロセスやトレーニング方法をご紹介します。
目次
気持ちの上手な言語化を妨げる要因
気持ちの上手な言語化を妨げるといわれる主な要因は、「頭のなかだけで考える傾向にある」「伝えたい情報が多すぎる」「思考内容が十分に整理されていない」の3点です。
頭のなかだけで考える傾向にある
普段、上手に気持ちを言語化できない時、いろいろ頭のなかだけで考える傾向がよく見られます。この傾向が強い場合、気持ちの言語化にとって差し支えとなる問題点は頭の処理能力の限界です。脳の一度に考えられる容量は無限ではなく、オーバーすると処理が追いつかないといわれています。
同時に多くのことを考えると、脳はスムーズに情報処理を進められなくなる可能性があります。脳の動きが鈍れば、思考内容を言語化する機能は適切に働かなくなるでしょう。気持ちを言葉で表現する時も、あまり頭のなかだけで考える傾向があると脳の動きが妨げられ、言語化は難しくなると指摘されています。
伝えたい情報が多すぎる
伝えたい情報が多すぎる場合、よく何から言語化すればよいか分からなくなります。通常、いくつもの思考内容をすべて同時には言語化できません。会話でも文章でも、いろいろ頭のなかで考えたことを言葉や文字で表現する際には、順々に並べる必要があります。
その点をふまえないと、全情報が最重要と感じられ優先順位をつけられなくなる可能性があります。無理に言語化を試みても最初に何を伝えればよいか混乱し、言葉は出にくくなるでしょう。気持ちの言語化も同様であり、いろいろな思いをひとつの言葉や文章に詰め込めば上手に表現するのは難しくなると考えられています。
思考内容が十分に整理されていない
思考内容が十分に整理されていないケースも、気持ちが上手に言語化されない大きな要因です。通常、頭のなかで考えたことを整理せず思いつくまま言語化すると論理的に表現できません。言葉や文字は順序立てられず乱雑に並び、分かりにくくなるのが普通です。
気持ちを表現する際も、自分がどんな思いを抱えているか整理しないまま言語化すると、たいてい表現から論理性は失われます。とくに複雑な思いを整理せずに伝えれば、分かりにくさは増すでしょう。職場の電話対応に苦手意識があり気持ちを上手に言語化したいと考えるなら、その妨げとなる要因を取り除いてから表現する必要があると考えられます。
気持ちを上手に言語化するプロセス
ビジネスの場合、思考内容を言語化する際に多くの職場で重視されているプロセスは「事象の本質をつかむ」「頭のなかを整理する」「適切な言葉を選ぶ」の3つです。
プロセス1:事象の本質をつかむ
「事象の本質をつかむ」は、言語化の対象となる事象の共通点を見つけ抽象化するステップです。身の回りの事象には、さまざまな違いがあります。それでも、よく観察すれば共通点が見えてくるでしょう。それぞれの事象に共通する要素を理解すると、本質の把握につながります。
事象の本質がつかめた場合、抽象的な言葉で表せます。それぞれについて、具体的な言葉や文字をたくさん羅列する必要はありません。抽象的に言語化すれば表現は簡潔になり、分かりやすさが増すでしょう。気持ちを言語化する時もどんな共通点があるか観察し、本質を見抜いたうえで抽象化すれば分かりやすく上手に表現できると考えられます。
プロセス2:頭のなかを整理する
思考内容を論理的に順序立てて表現するには、頭のなかの整理が不可欠です。ひとつのテーマについて考えをめぐらす時、基本的に思考内容はさまざまな要素で構成されます。少なくとも、そのテーマに対する結論や根拠が含まれるでしょう。
思考を言語化する場合、結論や根拠をはっきり区別すると分かりやすく表現するのに効果的です。その際、まず結論を言語化すると先に根拠を長々と述べるより簡潔に表せることが多くなります。気持ちの言語化でも、自分の思いとその根拠を整理してから言葉に置き換えたほうが順序よく上手に表せると期待できます。
プロセス3:適切な言葉を選ぶ
思考内容の言語化は頭のなかの考えや思いを言葉に変換する手続きであり、言葉選びは重要です。仕事でもプライベートでも、適切な言葉を選ぶと表現内容は正しく伝わりやすくなります。とくにビジネスシーンでは、不適切な言葉による誤解やトラブルを防ぐのに有効です。
気持ちは具体的な形を持たないため、目に見える事物に比べると言葉に置き換えるのは難しくなるかもしれません。それでも適切な言葉を選べれば、自分の思いをより上手に表現できるでしょう。
職場の電話対応でも、気持ちの言語化スキルを高めたい時にこれら3つのプロセスは効果があると考えられます。とっさの場面でなかなか言葉が出ないと感じているなら、この機会に強く意識してみることをおすすめします。
気持ちの上手な言語化に役立つ方法
電話対応する際、とっさに気持ちを言語化するには上述の3つのプロセスを習慣化しておくことが大切です。速やかな頭の動きを習慣づけるなら、日頃から以下のトレーニングを繰り返すと役立ちます。
トレーニング1:1日1回は気持ちを言語化
気持ちの言語化を習慣づける場合、1日1回のペースでトレーニングすると効果的です。ひとつのスキルを高める時、日々のトレーニングでは反復練習が望まれます。仕事や日常生活で忙しいなかでは、一定のペースを守ることが練習を継続するコツです。
気持ちを言語化するプロセスは多少の時間を要するため、1日1回のペースくらいが大きな負担にならないと考えられます。練習相手は、家族や知人で問題ありません。実際の練習では、まず自分の気持ちを紙に書き出すと目に見えるので整理しやすくなるでしょう。
トレーニング2:結論1つにポイント3つ
気持ちの言語化を練習する時、結論1つに対しポイント3つでまとめる意識は重要です。会話でも文章でも、あまり思考内容を詰め込むと要点は見えにくくなります。少しでも分かりやすくするには、結論を1つに絞るとともにポイントは3つまでにとどめると効果があります。
言語化する順番は、1.最初に結論、2.次に3つのポイント、3.最後に再び結論を伝える流れです。まず結論を示すと初めからゴール地点が明確になり、会話の聞き手や文章の読み手はついていきやすくなります。とくに普段の話が長くて分かりにくいと指摘されている場合、この点を意識するのがよいと考えられます。
トレーニング3:タイムリミットは1分以内
少しでも簡潔に気持ちを言語化する場合、タイムリミットの目安は1分以内です。気持ちを言語化する時間に制限を設けると、簡潔な表現を心がけるのに有効といわれています。冗長な表現を避ける練習には、タイムリミットを守る方法がおすすめです。
制限時間の目安を1分以内に設定すると、ポイント1つあたりの時間は15~20秒ほどになります。あまり長く説明する余裕はないため、できるだけ手短に表現する必要があります。職場の会議やプレゼンテーションで発表時間をオーバーしがちなら、この練習は怠れないでしょう。
毎日、ペースを守りながら制限時間内で簡潔に気持ちを言語化する練習に努めれば、電話対応でも適切な言葉でスムーズに自分の気持ちを伝えるスキルは向上すると期待できます。
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