10月は最低賃金の改定月。自分の給料をしっかりチェックしよう

2019.10.15ビジネス豆知識
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労働者の生活を守るため、各都道府県には最低賃金が定められています。法定の金額が分からないと、不当な賃金で働かされたとしても気づくことができません。最低賃金については、金額に加えて制度についてもひと通り把握しておいたほうが安心でしょう。今回は、知っておきたい最低賃金の基本知識をご紹介します。

給料をチェックしようとするサラリーマン

最低賃金の基礎知識

労働者は、最低賃金法により、不当な賃金で働かされることから守られています。最低賃金とは、この法律が規定する給与の最低額です。

 

最低賃金法の目的と適用対象

最低賃金法が制定された目的は、労働者の生活の安定と労働力の向上です。人間らしい暮らしを送れるレベルの賃金を支給することで労働者の生活環境を安定させ、労働力の向上につなげようと考えました。

最低賃金が存在しないと、雇用主は独自に給与を減らせます。いつ労働に見合う賃金が対価として支払われなくなっても、不思議ではありません。ひどい場合には、非常に安い賃金で過酷な労働を強いられる可能性もあります。

一定以上の収入がなければ、労働者は人並みの生活を送れません。日々の生活に支障が出れば労働力の低下を招き、国力も衰えます。そういった事態を防ぐため、労働者の生活基準と労働力の保持につながる法律が制定されました。

法律の適用対象は、すべての労働者です。正社員、派遣社員、パート、アルバイトといった雇用形態は、関係ありません。最低賃金は時給単位で設定されており、給与形態が日給や月給なら労働時間から時給額を割り出します。

 

最低賃金の種類と制定の流れ

最低賃金の種類は、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」のふたつです、前者は都道府県ごとに、特定最低賃金は特定の産業に対して設定されます。特定産業に該当しない業種には地域別最低賃が適用されますが、特定産業にあたる業種であればふたつのうち金額の高いほうが適用されます。

最低賃金を制定する流れは、大きく分けて3段階です。最初に「中央最低賃金審議会」を開き、最低賃金を決めます。この審議会は、公益代表、労働者代表、使用者代表により構成される組織です。次に、各都道府県の「地方最低賃金審議委員会」で金額を審議します。最後は各都道府県の労務局長の判断にしたがい、正式な最低賃金が定まります。

 

最低賃金の具体的な金額

最低賃金の具体的な金額は、全国一律ではありません。2019年度10月以降における地域別の最低賃金は、以下の通りです(単位は円)。

北海道・・・861

東北

青森:790、岩手:790、宮城:824、秋田:790、山形:790、福島:798

関東

茨城:849、栃木:853、群馬:835、埼玉:926、千葉:923、東京:1,013、神奈川:1,011

北陸・甲信

新潟:830、富山:848、石川:832、福井:829

山梨:837、長野:848

東海

岐阜:851、静岡:885、愛知:926、三重:873

関西

滋賀:866、京都:909、大阪:964、兵庫:899、奈良:837、和歌山:830

中国・四国

鳥取:790、島根:790、岡山:833、広島:871、山口:829

徳島:793、香川:818、愛媛:790、高知:790

九州・沖縄

福岡:841、佐賀:790、長崎:790、熊本:790、大分:790、宮崎:790、鹿児島:790

沖縄:790

 

地域によって最低賃金が異なる理由

地域によって最低賃金が異なる理由として、まず物価が挙げられます。家賃が高ければ、賃金も多くないと住居の確保は難しくなります。ただ、ほとんどの物価は国内各地で均一であり、大きく影響するとは見なされていません。

物価以外には、経済の活性具合が最低賃金を左右すると考えられています。会社や労働人口が集中する地域では経済の活発化により会社の利益が増えやすく、それだけ労働者にも多くの給与を支給できると期待されるためです。

物価や経済状況を総合的に考慮しながら各地の最低賃金を検討することで、設定金額に地域差が生まれるといわれています。

 

最低賃金の確認は大切

働いている方は誰でも最低賃金を受け取る資格があります。給与がきちんと支払われているか確認するのは非常に大切です。自分で計算する方法を知っておいても無駄にはなりません。

 

最低賃金に含まれるもの

賃金はいくつもの項目から成り立っています。大きく分けると定期給与、臨時の賃金(結婚手当など)、賞与の3種類が賃金となります。定期給与には所定内給与と所定外給与があり、所定内給与のうち基本給と諸手当が最低賃金の対象です。

皆勤手当、通勤手当、家族手当は所定内給与に含まれますが、いずれも諸手当からは除外されます。時間外手当、休日手当、深夜手当はそもそも所定外給与であり、最低賃金の対象ではありません。

残業代やボーナスをもらった時には、これらの金額をトータルの賃金から差し引いた残りが最低賃金に達する必要があります。

 

自分で計算する方法

自分で計算する場合、時間あたりの基本給+諸手当が居住地域の最低賃金を上回るか確認して下さい。月給制なら、まず「(月々の基本給+諸手当)×12カ月=基本給+諸手当の年間総額」となります。さらに、「基本給+諸手当の年間総額÷年間の総所定労働時間=時間あたりの基本給+諸手当」です。

例として、以下のケースで計算してみましょう。

基本給:20万円、計算対象となる諸手当なし
1日の労働時間:7時間
年間の総所定労働日数:250日
1.基本給+諸手当の年間総額=20万円×12=240万円
2.年間の総所定労働時間(1日の労働時間×年間の総所定労働日数)=7×250=1,750時間
3.時間あたりの基本給+諸手当=240万円÷1,750時間=約1,372円

時給額が1,300円を上回るため、もっとも最低賃金の高い東京都在住としても問題ありません。月々の基本給が14万5000円になり他の条件が同じであれば、時給は145,000×12÷1750=約995円となり東京都の最低賃金を下回ります。

 

ペナルティ

基本給+諸手当を時給単位で算出し、支給額が規定の最低賃金に届いていなければ法律違反です。計算結果をふまえ、差額分は使用者側に請求できます。請求書の送付には、催告の意味を込められる内容証明郵便を用いるとよいでしょう。

手続きがスムーズに進まない場合には、労基局や弁護士をはじめとする専門家に相談するのが賢明です。

使用者は、最低賃金に満たない給与で従業員を働かせると、罰則として50万円以下の罰金が科されます。場合によっては、労働基準監督署から立ち入り調査も入ります。いずれにしても使用者側は、労働者に不足分を速やかに支払わなければいけません。

たいてい、毎年10月になったら最低賃金が値上がりします。低い給与で働いていた場合、改定後は最低賃金を下回ってしまう可能性があります。労働者も使用者も、トラブル回避のために、10月頃の法律改定に合わせて定期的な見直しを行いましょう。

 

特例が認められるケース

以下の場合は、都道府県の各労働局長により最低賃金の減額が許可されています。

1.精神的、身体的な障害により労働能力が著しく低くなる場合
2.雇用開始から一定期間が経過していない場合
3.一定範囲の職業訓練を受ける場合
4.従事する業務が軽易あるいは断続的である場合

給与に問題がないか確認する際は、これらの特例に該当するかどうかも考慮したうえで計算して下さい。

 

労働者が受け取れる最低賃金は、法律により定められています。今の支給額が条件を満たしているかは、自分でも確認可能です。雇用形態を問わず、時給換算した基本給+諸手当が最低賃金より不足していると分かれば、使用者側に差額を請求できます。法律が改定される10月には、一度、自分の給与が最低賃金を上回るか確かめてみることをおすすめします。

 

参考:

https://www.tencho-a55.jp/2016/06/757/

https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000537302.pdf

https://roudou-pro.com/columns/104/

https://baito.mynavi.jp/times/baito/20180727-3567/

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