『2018年度 コールセンター企業 実態調査』から見えること

2019.10.23業界関連情報
Pocket

取り次ぎ業務だけでなく、新規顧客や既存のお客様との窓口にもなり得るコールセンター。現在は多くのコールセンター企業があり、サービスの質や付加価値の有無などで差別化を図っています。今回は、「2018年度 コールセンター企業 実態調査」の結果から、コールセンター企業が現在抱えている問題点や、普段勘違いされがちな点などをご紹介します。

実態調査

「コールセンター企業 実態調査」とは

「コールセンター企業 実態調査」とは、一般社団法人日本コールセンター協会(CCAJ)が毎年実施しているもので、コールセンター業界の基礎データ収集を目的として行われています。CCAJエージェンシー会員を対象に調査しており、回答企業はホームページで名称が公表されています。

2017年度までは「テレマーケティング・アウトソーシング企業 実態調査」という名称でしたが、2018年度から「コールセンター企業 実態調査」に変更されました。

2018年度の調査では、対象企業が103社。実際に回答した企業は53社(回答率51.5%)でした。

 

調査結果の概要

まずは、「2018年度 コールセンター企業 実態調査」について、お金・人・事業内容それぞれの視点で概要を確認します。コールセンターは、近年顕著な職種の多様化の中で、どの様な変化をしているのでしょうか。

 

お金に関する調査結果

「2018年度 コールセンター企業 実態調査」では、お金に関して年間売上高やその分布について調査が行われました。

全体の売上高を確認すると、2017年度が772,556百万円なのに対して、2018年度が1,007,573百万円と約22.9%(1,875億7千万円)増加しました。

売上高の分布も、2016年度や2017年度の調査では「1億円未満」と回答した企業があったのに対して、2018年度の調査ではありませんでした。加えて、「300億円~500億円未満」と回答する企業が増えるなど、コールセンター事業全体が上向きであることがうかがえます。

 

人に関する調査結果

「2018年度 コールセンター企業 実態調査」では、お金に関する事項と比べて人に関する事項が多く調査されています。例えば、スーパーバイザーの配置や専任トレーナーの有無、在宅テレコミュニケーターの有無など多岐にわたります。

この中で特に注目したいのが、正規社員の数と全従業員に占める正規社員の割合です。コールセンター業界では、非正規雇用が主流となっていて、その分人材の流出も激しいといわれています。

実際、今回の調査でも全体に占める正規社員の数について「5割未満」と回答した企業は75%にも上りました。ただ、5割以上と回答した企業も倍増しており、徐々に改善の兆しが見えているのかもしれません。

 

事業内容に関する調査結果

「2018年度 コールセンター企業 実態調査」では、各コールセンター企業の事業内容や現状についても調査が行われています。例えば、年間コール数におけるインバウンドとアウトバウンドの割合、対応業務の幅、外国語対応などが挙げられます。

この中で特に注目したいのが、クライアントの業種です。2017年以前の調査では、サービス業・通信販売業・小売業の様に、一般的に電話代行業務を依頼することがイメージしやすい業界が多くを占めていました。

しかし、今回の調査では上記の業種に加えてインフラ関係・マスコミ関係・建設業界・旅行業などが大きく数を伸ばしており、コールセンター業務のニーズが多様化していることが分かります。

 

コールセンター業界の問題点

調査結果からも分かるとおり、近年その重要性が高まっているコールセンター事業。しかし、需要が高まったからこそ浮き彫りになっているのがコールセンター業界の問題点です。ここでは、コールセンター業界が抱える問題をいくつか列挙します。

 

人手不足の深刻化

コールセンター業界が抱える最大の問題点が人手不足です。大手の企業になればなるほど、コールセンターの規模も大きくなります。お客様が増え、その対応に迫られるためです。

しかし、コールセンターで対応するのは、取り次ぎの様な簡単に終えられる業務ばかりではありません。内容によっては担当部署に確認し、こちらから折り返さなければいけないケースもあります。また、小売業であれば新製品の発表や商品の改良も日々行われます。そのたびに電話対応しなければならないお客様は増え、コールセンターが必要となる場面は後を絶ちません。

本来であれば、企業の発展に合わせて新しい従業員を補充しなければなりませんが、追い付いていないのが現状です。

 

人材選びの難航

人手不足は深刻ですが、「誰でもいい」わけではありません。コールセンターは、お客様と企業をつなぐ窓口でもあるため、適切に対応するスキルがなければ信頼を損ないかねないのです。それ以外にも、外国語対応が求められるケースが増えていることも今回の調査から分かっています。

しかし、優秀な人材の確保は簡単なことではありません。コールセンターは人数が必要なため、選抜しすぎては現場が回りません。しかし、能力が不足している方を多く採用しても、現場は混乱するだけでしょう。教育するにも時間と費用が必要です。

それなりに優秀な人材を、時間をかけずにいかに多く集めるかが今後のコールセンター業界の大きな課題です。

 

オペレーターを育てる環境構築が不十分

上述の理由から、オペレーター経験のない方がスタッフとして働くことは珍しくありません。しかし、一人前のオペレーターを育てる環境が整っていないのも事実です。実際、今回の調査でも専任トレーナーの有無について「いる」と回答したのは41.5%の会員のみでした。

サービスの質を向上させるためには、まずはオペレーターの育成環境を整え、優秀なオペレーターを育て続けるシステムを構築することが必要不可欠でしょう。

 

離職率が高い

コールセンター業界は、常々「離職率が高い」といわれてきました。コールセンターでは、顔が見えない分お客様に不快な思いをさせない様、さまざまな工夫や対策を施しています。

時には理不尽な相手の態度にも、自分の感情を押し殺して接することがあります。当然、オペレーターにかかる心理的な負担は大きくなり、ストレスで仕事を辞める方も珍しくありません。

オペレーターが安心して働き続けられる職場にするためには、お客様だけでなく働く側の気持ちになって考える必要もあるでしょう。

 

調査結果から見えること

最後に、「2018年度 コールセンター企業 実態調査」から見えることを2点ご紹介します。

 

在宅テレコミュニケーターとコールセンターオペレーター

自宅にいながらコールセンターの仕事をする方を「在宅テレコミュニケーター」と呼びます。コールセンター業務は、基本的に電話があれば行えるため、自宅でも可能と考える方が多いでしょう。

しかし、調査結果では在宅テレコミュニケーターについて採用の「予定なし」と回答した企業が85.0%でした。理由として「セキュリティ上の問題」「労務管理上の問題」「品質管理上の問題」などが挙げられています。

オフィスでオペレーター業務に従事するコールセンターオペレーターが主流となっている現在では、在宅テレコミュニケーターはあまり浸透しないかもしれません。

 

業務幅の拡大が今後のカギ?

「2018年度 コールセンター企業 実態調査」では、会員の業務内容に関する対応チャネルについて質問しています。その結果、電話業務は全企業が対応しており、FAX業務やEメール業務も8以上の企業が対応していることが分かりました。

しかし、ソーシャルメディア業務やチャット業務は半数以上の企業が行っておらず、まだまだ手の回っていない分野といえます。今後ほかの企業と差別化を図るには、従来の業務だけでなくインターネットを駆使した幅広い分野への対応が求められるかもしれません。

製品やサービスの質が向上するにつれて、電話対応を自社のみで行うのが難しくなり、外注化の流れが一般化しました。ただ、コールセンター業界はまだまだ発展途上で、課題が山積しているのも事実です。毎年発表される「コールセンター企業 実態調査」に目を通し、今業界に求められていることや足りない点を確認するのが良いでしょう。

Pocket

The following two tabs change content below.

電話代行サービス株式会社広報部

お問い合わせ