ホールパート法で電話での話を分かりやすく!
更新日:2024.06.12電話代行近年、職場でのコミュニケーションや電話対応を苦手に感じているとの声は少なくありません。仕事上の電話対応などに苦手意識があり「説明が上手になりたい」と考えている場合、ホールパート法はおすすめの話法です。ホールパート法を理解し、スムーズに会話を進められるようになれば、電話での説明を分かりやすくするのにも役立つでしょう。そこで今回は、ホールパート法の概要・メリット・活用方法などをご紹介します。
目次
ホールパート法の概要
ホールパート法は、最初に話の全体像を示すコミュニケーションの手法です。会話の冒頭でこれから話す内容の全体的な枠組みを伝えるため、その後の詳しい説明が分かりやすくなると期待できます。以下では、この話し方の概要をご紹介します。
ホールパート法の仕組み
ホールパート法は、話の全体像と各部分の詳しい説明の2つの要素で構成される仕組みです。もともと「ホールパート」は、「ホール」と「パート」が組み合わさり誕生した造語といわれています。「ホール:whole」には「全体」や「全部」、「パート:part」には「部分」や「一部」の意味があります。
これらの言葉の意味通り、ホールパート法は全体から始まり部分へ進む流れです。会話の導入時に話の大枠を簡潔に提示してから細部の説明に入る話法であり、聞き手にとっては細かい説明が分かりやすくなる効果があります。最後に結論として再び全体をまとめるため、「ホール・パート・ホール」法とも呼ばれています。
PREP法・SDS法との違い
PREP法とSDS法も、ホールパート法とともに会話の内容を分かりやすくする効果がある話法です。ただし、それぞれ話の構成要素や進め方に違いが見られます。
PREP法は、「Point:要点」「Reason:理由」「Example:具体例」「Point:要点」の4要素で構成される話し方です。最初と最後に話の全体像でなく要点を伝え、その間で理由と具体例を説明する点がホールパート法と異なります。この話法は要点の詳しい説明に理由や具体例を添えるため、会話内容の説得力を増すのに有効です。ただし、理由や具体例の説明は長くなる傾向にあり、短時間で分かりやすく伝えるのは難しくなると考えられています。
SDS法を構成する基本要素は、「Summary:要約」「Details:詳細」「Summary:要約」の3つです。話の構成要素や進め方は、「全体」が「部分」を挟むホールパート法に類似しています。ただしSDS法の場合、各部分の説明は「Details」と表現される通りホールパート法より詳細になるところが特徴的です。その分だけ話は長くなりやすく、PREP法と同様に短時間で話をまとめるのは簡単でないといわれています。
以上の特徴をふまえた場合、少ない時間のなかで手短に会話を済ませる必要がある時はホールパート法が適していると考えられます。
ホールパート法のメリット
ホールパート法がもたらす主なメリットは、話の内容を短時間で分かりやすく伝えられる点です。全体説明を最初と最後で繰り返すため、自分の考えを強調できる利点もあります。以下では、これらのメリットについて具体的に解説します。
短時間で伝えられる
会話の内容を短時間で伝えられるところは、ホールパート法に見込まれる代表的なメリットです。ホールパート法は、PREP法と異なり最初に示した全体像の中身を各部分で説明する時に理由や具体例は省かれます。また、各部分の内容はSDS法に比べると詳しく説明されません。
ホールパート法は最初と最後の全体像だけでなく各部分も簡潔に示される傾向があり、会話全体を手短に終えられるケースが多く見られます。そのため、ビジネスシーンで急ぎの用件を伝える時などに適しているといわれています。
聞き手にとって分かりやすい
聞き手にとっての会話の分かりやすさも、ホールパート法に期待できるメリットの一つです。ホールパート法では話の導入時点で全体の枠組みが示され、聞き手は最初に会話の概要を把握できます。あらかじめ結論が大まかに分かっているため、細かい説明を聞いても話の方向性を見失わずに済みます。
また、最初の全体説明は聞き手が各部分の理解を深めるのにも効果的です。先に大枠が示されていれば、その後の会話がどの部分を詳しく説明しているか分かりやすくなります。さらにホールパート法は最後も全体像を繰り返し提示するため、聞き手が会話の内容を正しく理解できたか確認するのにも有効です。
自分の考えを強調できる
ホールパート法は、最初と最後に話の全体像を伝えることで話し手が自分の考えを強調できるメリットもあります。この話法は、最初に話の全体像を示してから最後に全体説明を繰り返すまでが1セットになる話し方です。話し手は会話の結論を2回にわたり伝えられるため、自分の考えを強調できます。
また、話し手が会話の最初と最後で自分の考えを強調した場合、聞き手の記憶は定着しやすくなります。さらに、各部分の説明が長引いた時も、最後に改めて全体説明すると話し手が伝えたかったことを聞き手に思い出してもらうのに効果的です。これらのメリットから、ホールパート法は商談などで自社商品の魅力をアピールする時などにも役立つと考えられています。
ホールパート法の活用方法
ビジネスでホールパート法が実際に活用されているシーンは、業務関係の報告事項や商品のアピールポイントが複数ある場合です。以下では、各シーンごとにホールパート法の効果的な活用方法をご紹介します。
業務関係の報告事項が複数ある場合
業務関係の報告事項が複数ある場合、最初に報告内容の項目数を伝えるとスムーズに会話を進めるのに効果的です。最初に報告内容の項目数を伝えると、聞き手はいくつの用件について話を聞けばよいか分かり、会話に要する時間を予測できます。話し手はいつまで話が続くか不安に思われずに済むため、最後まで円滑に会話を進めやすくなります。
報告する項目数を伝えた後は、各々の概要を示すことも会話をスムーズに進めるうえで大切です。あらかじめ各項目の概要を提示しておくと、いきなり詳しい説明を始めるより会話の内容が分かりやすくなります。最初に報告事項の項目数と各項目の概要を示すと、少ない時間のなかでも複数の事項についてスムーズに伝えやすくなります。
商品のアピールポイントが複数ある場合
商品のアピールポイントが複数ある場合、いくつ魅力があるか最初に伝えると聞き手の理解を深めるのに効果的です。会社のプレゼンあるいは電話で顧客に新商品の魅力を説明する際、アピールポイントが1つだけとは限りません。複数のアピールポイントを長々と話していると、聞き手の記憶には残りにくくなる可能性があります。
その場合、最初に魅力が何点あるか示すと、聞き手はアピールポイントの数を把握したうえで個々の説明に耳を傾けられます。さらに会話の終わりで何点の魅力があるか繰り返せば、アピールポイントの数について聞き手の記憶は明確になるでしょう。商品の魅力に関する具体的な数が記憶に残れば、それを手がかりとして個々のアピール内容についても思い出しやすくなると考えられます。
これらのケースが示す通り、ホールパート法は複数の事柄を分かりやすく説明するのに適した話法です。最初に用件の数を伝えれば、その後は1つ目の用件から順々に説明を進められます。そのため、普段の電話対応などで複数の用件を伝える時に分かりにくくなっている場合、ホールパート法はおすすめです。
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