【2023年10月】ふるさと納税改正のポイント

更新日:2023.10.11スタッフブログ

近年、ふるさと納税は、返礼品を楽しみに利用されるケースが増えています。ただし、現行法の問題点を指摘する声もあり、法改正が進められてきました。そのため、今後も納税を続けたい、また将来的に納税したいと考えている場合、2023年10月施行の改正法で何が変わるか気になるところでしょう。そこで今回は、ふるさと納税の法改正に伴う変更点を解説し、利用者への影響や改正後に利用する場合の注意点をご紹介します

2023年10月ふるさと納税に関する法改正について

2023年10月ふるさと納税に関する法改正について

ふるさと納税について、2023年10月施行の改正法で変わる部分は、募集適正基準と地場産品基準の2点です。以下では、これらの基準において何が変更されるか具体的に解説いたします

募集適正基準の変更点

2023年10月の法改正に伴う募集適正基準の変更点は、寄付金の募集にかかる必要経費の中身です。総務省の資料を見ると、現行法は、募集適正基準について寄付金の募集に要する費用の合計額を寄付金額の5割以下と定めています。それに対し、改正法は、ワントップ特例事務や寄付金受領証の発行にかかる費用も必要経費に含むと明記しています

必要経費の中身が細かく示された要因は、ふるさと納税の現状に問題があると認識されたためです。具体的には、改正法で明記された費用が、寄付募集の必要経費に含まれないまま寄付金控除を受けていたケースが挙げられます。今回の法改正は、主な目的として、必要経費の厳格化による現行法の是正を目指しています。

地場産品基準

地場産品基準に関する変更点は、返礼品と認められる範囲です。これまでは、それぞれの地域で生産された産物に加えて、製造・加工工程の主要部分を担った時にも地場産の返礼品として提供できました。また、流通機構の関係で近隣の生産品が混ざるケースも、容認されています。

改正法は、加工品のうち熟成肉と精米について、返礼品と認められるケースを原材料が当該地域で生産された場合に限りました。適用対象は一部の肉・米のみですが、ふるさと納税の返礼品として認可される範囲は厳しくなったといえるでしょう。本来、ふるさと納税は地域応援が主な目的であり、当該地域の産物がもらいやすくなる改正は望ましいと評価されています。

参照:総務省「ふるさと納税の次期指定に向けた見直し」(参照2023-10-016).

利用者への影響

利用者への影響

今回の法改正については、現行法が抱える問題の改善につながると評価する声が多く聞かれます。ただし、利用者のデメリットを指摘する意見も少なくありません。以下では、法改正で懸念される利用者への影響をご紹介します

還元率や返礼品の金額に関する問題

利用者のデメリットが予想される問題は、納税金の還元率や返礼品の金額が低下する事態です。法改正で必要経費に含まれる費用が増えた場合、寄付金から経費に回せる割合は変わらないため、各種の出費を抑える必要が出てきます。

1万円の寄付を受け取った時、これまで除外されていた費用も合わせて5千円以下にとどめなければなりません。改正前に1万円の寄付で米1kgを提供していた地域は、資金不足で米の量を減らす可能性があります。同じ寄付金額で返礼品の数量が少なくなれば還元率の低下であり、利用者にとってはデメリットです。

また、返礼品にかける金額が下がる可能性もあるといわれています。必要経費の中身が増える影響で事務費などが多くなれば、返礼品の調達費を削る必要性も出てくるためです。さまざまな費用が削減され返礼品のクオリティが下がった時も、利用者は残念に感じるでしょう。そのため、今回の改正に伴う必要経費の変更は、必ずしも歓迎できないと指摘されています。

返礼品の産地限定による影響

返礼品の産地限定で危惧される影響は、地域によっては熟成肉や精米を返礼品として提供できなくなる問題です。これまで熟成肉や精米を返礼品に掲げていた地域は、すべてが原材料を現地生産していたわけではありません。一部の地域では、必要な素材を他所から調達するケースも見られたといわれています。

生産プロセスの主要な製造ラインのみ担当していた場合、今後は返礼品としての提供は難しくなるかもしれません。改正法の地場産品基準を満たせなければ、2023年10月以降に返礼品の内容が変わる可能性もあります。利用者が応援する地域の肉・米を楽しみにしている時は、地場産品基準の厳格化による返礼品の内容変更はマイナスと見なされるでしょう。また、返礼品の魅力が減る可能性は高いとの声も聞かれます。

これらに加えて不安視される問題は、寄付金の増額です。改正前と変わらず返礼品を提供するには、これまで以上に費用が必要になると予想されます。その場合、資金調達に苦慮している地域は、寄付額の増加を避けられなくなる可能性があります。

寄付金額の増加は、利用者の負担が重くなる事態です。ふるさと納税で応援したい地域があっても、税金面の負担増は好ましくないでしょう。利用者の税負担が増える可能性も含めて、今回の法改正は利用者にとってデメリットになるリスクがあると指摘を受けています。

利用する場合の注意点など

ふるさと納税を法改正後に利用する場合も、改正前と同じく税控除の限度額やワンストップ特例について注意が必要です。以下では、これから納税する時にも気をつけたい点などをご紹介します

税控除の限度額

今後、ふるさと納税を利用する場合、税金が控除される限度額を確認しておくことが大切です。ふるさと納税は、利用者の所得税・住民税が控除される仕組みになっています。この仕組みを使って特定地域に寄付金を納めると、納税者は寄付した年の所得税と翌年の住民税について控除を受けられます。

ただし、控除額には上限が設けられているため、税負担の軽減も考えて利用するなら限度額の事前確認は重要です。具体的な限度額は、年間の給与収入や家族構成に応じて変わってきます。また、所得税・住民税ともに、寄付金額に関係なく2000円は自己負担になる点も注意する必要があります

ワンストップ特例の適用範囲

ワンストップ特例については、適用されないケースに関する理解が不可欠でしょう。この特例は、確定申告などの手間を省くため2015年から導入されました。寄付の対象が5つの自治体までなら、特例措置として、ふるさと納税を利用するための確定申告は不要です。注意したいケースは、別の理由で確定申告が必要になった場合です。

医療費控除などを受ける目的で確定申告すると、ワンストップ特例は適用されません。ふるさと納税の寄付については、申告がなかったと見なされます。そのまま放置すると、ふるさと納税の税金を控除する仕組みも適用外になり、納税額に応じた所得税・住民税の控除も受けられなくなります。

返礼品は課税対象など

ふるさと納税で受け取った返礼品は、課税対象と見なされる点に要注意です。通常、ふるさと納税の返礼品は、所得税法において福引の賞品や保険の返戻金と同じ一時所得に該当するといわれています。法律上は非課税でなく、気をつける必要があると考えられます。とはいえ、一時所得は、年間50万円まで特別控除の適用対象です。寄付金が数万円くらいであれば、ふるさと納税の返礼品はすべて控除となり、一般的に課税されないと見られています

ただし、高額の寄付を行うと返礼品は控除額を上回る可能性があるため、どれくらい課税されるか確認しておくとよいでしょう。なお、基本的に返礼品の金額は公表されていませんが、寄付金の3割相当で計算するケースが多く見られます。そのため、返礼品について納税の必要が生じた時は、寄付額の3割を目安に課税額を算出するのが適切と考えられます。

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