もし今、関東大震災が起きたら想定される被害は?

更新日:2023.08.31スタッフブログ

もし、今関東大震災が起きたら想定される被害は?

2023年は、大正時代に起きた関東大震災から100年になる節目の年です。また、近い将来、関東圏で大規模地震が発生する可能性は約70%ともいわれています。大規模地震の発生時に慌てないため、防災意識を高めることは大切でしょう。今後の地震に備えるうえで、過去の被害状況や将来的に想定される被害規模の確認も重要と考えられます。そこで今回は、関東大震災などの被害状況・首都直下地震の被害想定・被災時に使える情報サイトなどをご紹介します

※関連記事「南海トラフ地震への備えや対策のポイントとは」はこちらから

関東大震災など大規模地震における被害状況

かつて、関東大震災が起きた時、人々は大きな被害を受けました。被災地域は広範囲に及び、多くの命が失われています。以下では、防災意識を高める一助として、関東大震災を含めた過去の大規模地震における被害状況などをご紹介します

関東大震災の発生・被害状況

関東大震災は、1923(大正12)9月1日11時58分、神奈川県から千葉県南部を中心に発生した大規模地震です。震源は相模湾北西部の相模トラフであり、地殻プレートの境界付近で起きる海溝型地震に分類されています。当時の記録などからマグニチュードは7.9と推定され、東京都と千葉・埼玉・神奈川・山梨の各県は震度6を観測しています

さらに、北海道から中国・四国地方まで、広い地域で揺れが確認されました。倒壊した家屋は10万棟を超え、全壊・全焼は約29万棟、これらを含めて被災した建物は37万棟に達したといわれています。また、昼食時に発生したため食事の準備で火を使っていた家庭が多く、火災による被害が広がりました。死者・行方不明者は約10万5,000人に及ぶと伝えられています。

近年の大規模地震における発生・被害状況

近年に起きた大規模地震の発生・被害状況を見直すことも、今後の大規模地震に対する備え方を考えるうえで重要でしょう。様々な大規模地震のうち阪神・淡路大震災と東日本大震災について、発生・被害状況を示すと次の通りです。なお、以下の情報は、内閣府の防災担当が作成した資料にもとづいています。

阪神・淡路大震災

発生日時:1995(平成7)年1月17日5時46分
マグニチュード:7.3
全壊・全焼家屋:約11万棟
死者・行方不明者:6,400人(うち関連死:約900人)

東日本大震災

発生日時:2011(平成23)年3月11日14時46分
モーメントマグニチュード:9.0
全壊・全焼家屋:約12万棟
死者・行方不明者:約2万1,800人(うち関連死:3,800人)

いずれも被害は甚大であり、具体的な数値を見ても、関東大震災や近年の大規模地震では多大な家屋そして尊い命が犠牲になったと分かります。今後、関東圏を中心に直下型の地震が起きる可能性は高いといわれています。過去の大規模地震における被害状況をふまえた場合、家庭や職場を問わず防災意識の向上は欠かせないでしょう。

いま関東大震災が起きた時に想定される被害規模

いま関東大震災が起きた時に想定される被害規模

内閣府と東京都は、これから首都直下地震が起きた時に想定される被害規模について報告しています。それぞれの資料では、関東圏もしくは東京都における被害想定や対策が示されました。以下では、内閣府・東京都が想定する被害規模などをご紹介します

内閣府が想定する関東圏の被害規模

内閣府は、2014年春号の広報誌「ぼうさい」で首都直下地震の被害想定や対策について特集しています。この特集で示された被害規模は、首都直下地震対策検討ワーキンググループにより、最新の科学的知見にもとづいて検討されました。検討対象は、相模トラフ沿いの大規模地震を含めた各種の地震です。同グループによる検討データのうち、都心南部直下地震が起きた時に想定される被害規模は次の通りです

地震の揺れによる被害(最大)

全壊家屋:約 17万5,000棟
建物の倒壊による死者:約1万1,000人
建物被災に伴う要救助者:約7万2,000人

市街地火災・延焼による被害(最大)

家屋焼失:約 41万2,000棟
死者:1万6,000人

インフラ・ライフライン関係の被害

電力:(被災直後)約5割の地域で停電、完全復旧まで1週間以上必要
上下水道:都区部の約5割で断水、下水道は約1割で使用不可
通信:1日以上の通話規制が9割に及ぶ、メール遅配も起きる
鉄道:開通までに地下鉄は約1週間、私鉄と在来線は約1カ月必要
道路:主要路線は開通までに1~2日必要、一般道は深刻な交通麻痺に陥る
港湾:非耐震岸壁で多くの施設が機能不全、復旧に数カ月必要
燃料供給:輸送手段の不足や交通渋滞で消費者への供給は難しくなる

経済面の被害

建物などの物的な直接被害:約47兆円
生産・サービス低下に伴う被害:約48兆円

また、以上の想定をふまえ、政治・経済に関わる首都の中枢機能も大きな打撃を受けるとの見解が示されています。

内閣府「特集 首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」
https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h25/74/special_01.html
(参照2023-08-18).

東京都が想定する都内の被害規模

東京都は、2012年に公表した「首都直下地震等による東京の被害想定」を2022年に見直し、東京都防災ホームページで報告しています。この見直し作業は、東京都防災会議のもとに設置された地震部会が実施しました。また、被害想定が見直された理由には、2012以降の10年間にわたる安全対策の進展や都内の人口・世帯構成の変化が挙げられています。

以下は、2022年に改めて公表された「首都直下地震等による東京の被害想定」の概要です。ここでも、内閣府と同様に、都心南部直下地震が起きた時の被害規模が想定されています。なお、次に示すデータは、冬の夕方(風速8m/s)に地震が発生したと想定する場合の被害規模です。

地震の規模

マグニチュード:7.3
震度6以上の範囲:区部の約6割

建物・人的被害

全壊・焼失:19万4,431棟
死者:6,148人
負傷者:9万3,435人

ライフラインの被災割合

電力:停電率11.9%
上水道:断水率26.4%
下水道:被害率4.0%
ガス:供給停止率24.3%
通信:不通回線率:4.0%

交通関係の被災割合

道路:橋脚・橋梁被害率(最大)9.4%
鉄道:橋脚・橋梁被害率1.9%
港湾:岸壁被害率71.2%

他に、避難者や帰宅困難者も多数にのぼると見られています。以上の想定をふまえた場合、建物やライフラインの耐震化が進んだ現時点で首都直下地震が起きても、大規模な被害を避けることは難しいと考えられます。

東京都防災会議「首都直下地震等による東京の被害想定報告書」
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/021/571/20220525/n/002n.pdf
(参照2023-08-18).

大規模地震の発生時に使える情報サイト

大規模地震が発生した時には、国土交通省や自治体が運営する防災関係のサイトを活用することがおすすめです。以下では、これらのサイトで地震発生時に確認できる情報などをご紹介します

国土交通省の情報サイト

国土交通省が防災関係で情報提供しているサイトには、「国土交通省 防災情報提供センター」や「国土交通省 防災ポータル」などがあります。防災情報提供センターは、地震関係とともに気象・台風・河川洪水・土砂災害・津波などに関する情報を幅広く提供しています。

また、防災ポータルサイトは、地震・気象情報に加えて日頃から役立つ防災情報も確認可能です。これらを被災時に活用すれば、各地の被害状況や交通機関の運行状況について有用な情報を得られるでしょう。

参考:国土交通省 防災情報提供センター
https://www.mlit.go.jp/saigai/bosaijoho/index.html
(参照2023-08-18).

参考:国土交通省 防災ポータル
https://www.mlit.go.jp/river/bousai/olympic/index.html
(参照2023-08-18).

自治体が運営するサイト

地震発生時には、47都道府県が各々で運営している防災ポータルサイトも、有用な情報源です。現在、各自治体は、それぞれの防災ポータルサイトで地震や洪水・火山・土砂災害などの情報を随時更新しています。たとえば、東京都の場合は「東京都防災ホームページ」にて災害関連の情報を紹介しています。

これらのサイトにアクセスすれば、災害発生時における全国の発生状況や被災規模を確かめられるでしょう。お住まいの自治体の運営するサイトを調べておくことがおすすめです。ただし、大規模地震が起きた時は、インターネットの利用数が急増して各サイトにアクセスしにくくなるかもしれません。

その場合、災害時に無料で開放される公衆無線LANサービス「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」も活用することをおすすめします

参考:東京都防災ホームページ
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/
(参照2023-08-18).

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