災害時は大丈夫?企業の停電対策

更新日:2023.03.16ビジネス豆知識

ろうそく

地震・大雨・台風といった自然災害は予測が難しく、時には大きな被害をもたらすことがあります。これらは日常生活のみならず、ビジネスにも大きなダメージを与えるものです。とりわけ近年は、企業数の多い首都圏における自然災害が増えたことにより、その対策が急務となっています。今回は、企業防災における停電対策について解説します

停電によるリスクとは?ビジネスに与える影響

日本は世界的に見ても電気の品質が高く、日常生活において停電が起こることはほとんどありません。ビジネスにおいても電気への依存度が高くなっています。業務における生命線といっても過言ではないでしょう。一方で、自然災害を原因とする大規模停電は、数年ごとに発生しています。停電がきっかけで事業継続が困難となり、復旧に時間がかかった企業も少なくありません。改めて、停電によるビジネスへの影響やリスクを整理しましょう。

停電が企業に与える影響は?

現代社会は、電気への依存度が非常に高くなっています。製造業では多くの機械が電気によって動いているほか、デスクワークにおいても、パソコンなどの電子機器は欠かせません。停電によって電気が使えなくなれば、工場の生産ラインを停止せざるを得なくなります。またシステムサーバーが強制的にシャットダウンされると、ハードウェアが故障する可能性もあります。

ハードウェアは代替できますが、機密情報などのデータは替えが効きません。一時的に取り出せなくなったり、破損したりする可能性があります。ビジネスシーンにおいて、情報は武器です。停電が企業にもたらす損害は、計り知れません。セキュリティ関係のシステムにトラブルが発生し、データが流出するリスクもあります。機密情報はもちろんのこと、個人情報が流出する可能性は否定できません。企業の信用失墜につながるほか、莫大な損害賠償請求を受ける可能性もあります。

あらゆる業務が電子化されている今日において、停電は企業の天敵です。電気復旧後の「通電火災」をはじめ、想定していなかったトラブルが発生することも少なくありません。

停電だけでなく「瞬間電圧低下」に注意!

自然災害による電気関係のトラブルは、第一に停電です。それに加え、一時的に電圧が低下する「瞬間電圧低下」も多くの影響を及ぼす可能性があります。これは電線と地面などを絶縁する碍子(がいし)という器具の破損によって生じます。わずか一瞬のため、それほど大きな問題とは考えない方も多いようです。

しかし、実際は異なります。たとえ一瞬であっても、電圧が下がれば電子機器やデータの破損、停止・誤作動などが起こりかねません。瞬間電圧低下によって、大規模な生産ラインや設備の停止が起こった実例もあるため、注意が必要です。企業防災においては、瞬間電圧低下も視野に入れた対策が不可欠といえます。

企業に求められる停電リスクへの対策とは?

2019年に政府が行った「企業の大規模停電(ブラックアウト)対策に関する意識調査」によると、自家発電や近隣企業との連携など、本格的な停電対策を行っていると回答した国内企業は、わずか2%でした。対して「検討したいが、できていない」と回答した企業は48%に及んでいます

この数字が、企業防災における停電対策の意識の低さを物語っています。対策が不十分だからこそ、自然災害による停電で多くのトラブルが発生しているわけです。災害はいつ発生するか分からず、その対策も後手に回りがちです。しかし、実際に被害を受けてからでは遅いのも、また事実でしょう。ここからは、企業に求められる停電対策についてご紹介します。

停電は「いつか発生するもの」という前提で対策

企業防災において、停電は「いつか発生するもの」という前提で対策します。停電による被害は、一度経験しなければ実感が湧きません。いずれ企業全体の問題意識が低下し、その“怠り”が大きな被害をもたらす原因となります。「次の瞬間に停電が起きるかもしれない」と考え、強い危機意識を持つ様にして下さい。それこそが、企業における停電対策の第一歩です。

通信手段のための電源確保

自家発電により、事業継続に必要な電力をすべて賄うのが理想です。しかし企業の規模によっては、現実的な方法とはいえません。ポイントとなるのは、重要業務に関わる設備・機器の電力をカバーすることです。小規模発電やバッテリーによるわずかな電力で、いかに業務を継続・復旧できるかが鍵となります。

すべての機器を稼働させられない場合、優先順位の高いものから電気を供給します。業種や状況によって優先順位は変わりますが、第一に考えなければならないのが通信手段の維持です。停電における混乱の最中、真っ先に着手すべきは状況把握です。社内の通信手段が維持されていれば、状況把握と情報共有が迅速になるでしょう。

「社用電話でも良いのでは?」と思うかもしれませんが、災害時には役立たないことが大半です。回線がつながりにくく、確実な通信手段とはいえません。そのため、ネット回線を用いた通信手段は、最優先で確保しましょう。またパソコンやスマートフォンの充電が可能な予備電源も用意したいところです。最低でも1週間は使用できる電源を確保しましょう。

保安器や雷サージ対応の電源タップを用意

停電を招く要因のひとつに、落雷があります。落雷をきっかけに電子機器がショートし、使用不可となる可能性もあります。落雷対策として、雷から電子機器を守る保護器の設置、雷サージ(異常大電流)を回避する電源タップを用意しましょう。電源タップに関しては、すぐに電源を切れるスイッチ式がおすすめです。

もし余裕があれば、ポータブル発電機を複数個用意して下さい。長時間の停電となった場合にも、必要最低限の電力を確保できます。今一度、オフィス内の電源周りを確認してみましょう。

ドアロックシステムの挙動チェック

電気錠によるドアロックシステムは、停電時に機能しません。当然ドアが開閉しなくなるため、オフィス内に閉じ込められるケースが考えられます。一般的にドアロックシステムには、何らかの救済措置が備わっています。停電時の挙動を踏まえ、日頃から点検しておきましょう。

無停電電源装置(UPS)でデータ破損を防ぐ

今日ではあらゆる情報がデータ化され、パソコンやサーバーなどに保存されています。大切なデータを守るためにも、日頃からバックアップを行いましょう。データセンターを筆頭に、社外にもデータをバックアップすることが大切です。社内のパソコンやサーバーが使用できなくても、別の端末からデータを取り出し、閲覧・編集が行えます。またサーバーの強制シャットダウンは、データ破損のきっかけとなります。

予備電源でわずかな時間でもサーバーが稼働すれば、その間に作業中・編集中のデータを保存可能です。適切な手順でシャットダウンすることで、データ破損を防げるでしょう。今日では、システムサーバーを停電などの電源トラブルから守る「無停電電源装置(UPS)」の普及が進んでいます。万が一に備え、導入を検討してみましょう。

電気への依存度が高い現代社会において、停電はリスク要因のひとつです。実際に大規模災害によって長期間の停電が発生し、多大な被害が発生する企業は数え切れません。停電を完全に防ぐことはできませんが、被害を最小限に留める対策は可能です。停電によって大きな被害が発生する前に、企業としての対策を進めていきましょう。

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