コロナ禍で日本の環境問題への意識変化はあった?

更新日:2023.06.19スタッフブログ

コロナ禍で日本の環境問題への意識変化はあった?

近年、環境問題は深刻化していますが、日本の取組みは低く評価される傾向があります。それでも、環境問題に対する国内の意識は、コロナ禍で変化したといわれています。この機会に、身近な取組みを知っておけば、環境保護につながる行動を実践しやすくなるでしょう。そこで今回は、環境問題に対する日本の現状やコロナ禍における意識変化について解説し、普段から実践できる取組みをご紹介します

環境問題に対する日本の現状

環境問題に対する日本の現状

環境問題に対する日本の現状は、世界ランキングで見ると比較的に低い順位です。以下では、近年の世界ランキングにおける評価やパリ協定にもとづき国内で進められている取組みをご紹介します

近年の世界ランキングなどにおける評価

2021年発表の世界ランキングで、日本の温暖化対策は、64カ国のうち45位と評価されました。この順位は同年、英国グラスゴー開催のCOP26で示されたランキング結果です。国際環境NGOであるドイツのジャーマンウォッチが、温室効果ガスを排出している国々について温暖化対策を総合的に採点・評価したといわれています。

同NGOは、日本の温暖化対策のうち温室効果ガスの削減目標は評価できると説明しています。ただし、目標達成に向けた方針や計画が具体的に提示されていないことを問題点に挙げました。2021年の結果は、前年と変わらず2年連続の45位です。

また、国内では、「日本の温暖化対策は、他国に比べると遅い」「世界的に見て、不十分である」など、批判的な声が少なくありません。世界ランキングの順位や国内の声をふまえた場合、日本の温暖化対策に関する国内外の評価は高くないと理解できます

Climate Change Performance Index 2022.CCPI .
https://newclimate.org/resources/publications/the-climate-change-performance-index-2022
(参照2023-06-16).

パリ協定にもとづき国内で進められている取組み

現在、国内では、パリ協定にもとづき温室効果ガスの削減を目指す取組みが進められています。パリ協定は、2016年11月に発効された国際的な協定です。1997年制定の京都議定書を引き継ぐ温暖化対策の枠組みとして、2015年にパリで開催されたCOP21において合意されました。日本は、パリ協定で温室効果ガスの削減が目標に掲げられたことを受け、「2030年度に2013年度比46%減」の目標を設定しました

また、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」で脱炭素社会を今世紀後半までに実現するとの見解も示しました。温室効果ガスの排出量ゼロを目指す取組みとしては、法律の改正や温暖化対策計画の見直しが挙げられます。これらの取組みの主な目的は、国と民間の連携強化による脱炭素社会の実現に向けた活動の推進です。

さらに、主力の電力源を既存のエネルギーから再生可能エネルギーに転換する取組みも進められています。再生可能エネルギーを普及するため、2012年には再生可能エネルギーから生成された電気を国で買い取る制度が定められました。日本は、脱炭素社会の実現や再生可能エネルギーの比率増加に向けた取組みを進めながら、温室効果ガスの排出量ゼロを目指しています。

コロナ禍における意識の変化

コロナ禍における意識の変化

コロナ禍の発生以降、環境問題に対する国内の関心は高まったと見られています。実際、意識の変化は、公益財団法人が発表したデータに表れました。以下では、環境問題に対する意識の変化を示すデータや国内の意識が変わった背景をご紹介します

意識の変化を示すデータ

環境問題に対する意識の変化を示すデータとしては、2020年から実施されている調査が挙げられます。同調査は、内閣府を主務官庁とする公益財団法人により2020年に開始されました。この年に実施された調査の概要は、次の通りです。

調査目的:日本国内の一般生活者の環境問題に対する意識や行動の実態把握
調査対象:全国の男女1,092名(18~24歳519名、25~69歳573名)
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2020年8月1日・2日

同年9月発表の結果を見ると、2020年1月以降に環境問題への意識や行動が「前向きに変化した」と理解される回答は、43.0%に達しました

具体的な回答のうち最多を占めた声は、「食品ロスが出ないように気をつけるようになった」(14.3%)です。次に、「省エネに気をつけるようになった」(13.5%)が続いています。他には、「環境問題のニュースなど気にかけるようになった」(12.7%)との結果もあり、国内では幅広い生活場面で環境問題への関心が高まったと理解できます。

日本人の環境危機意識調査(2020).公益財団法人 旭硝子財団 .
https://bit.ly/3KtbHLN
(参照2023-06-16).

国内の意識が変わった背景

コロナ禍のなか、環境問題に対する国内の意識が変わった大きな要因は、レジ袋の有料化です。日本のレジ袋有料化は、新型コロナウィルスが猛威を振るっていた2020年の7月1日から開始されました。上記の調査では、レジ袋有料化に伴い環境問題に対する意識や行動に「変化があった」との回答は74.3%に達しています。

具体的な変化のうち、「マイバッグを持ち歩くようになった」は60.7%を占め、最多の割合でした。次いで、「非有料化店でもレジ袋を辞退するようになった」は23.4%に及んでいます。その後は、「ゴミの分別を意識するようになった」(13.9%)、「マイボトルを持ち歩くようになった」(12.7%)と続いています。また、「リサイクルにより積極的に取り組むようになった」(9.9%)との結果も得られました。

以上の結果をふまえた場合、レジ袋の有料化は、環境問題に対する国内の意識や行動を変えるうえで大きな役割を果たしたと認識できます。

普段から実践できる身近な取組み

普段から実践できる身近な取組み

日常生活を送るなかで実践できる身近な取組みは、プラスチックゴミの削減をはじめ多岐にわたります。以下では、多くの手間をかけず着手できる取組みの代表例をご紹介します

プラスチックゴミの削減

環境問題への対策として、プラスチックゴミの削減は重要です。現在、プラスチックゴミは、海に流出した大量の細片が海洋生物に摂取されているとの指摘を受けています。プラスチックに含まれる有害物質は魚などの健康を害する危険があり、世界的な問題になっています。

プラスチックゴミが削減され海への流出量が減れば、海洋環境や自然生態系を守るのに効果的です。日々の買い物では、マイバッグの持参によりレジ袋を辞退するとプラスチックゴミの削減につながるとされます。レジ袋の辞退に手間はかからないため、環境問題への対策として実践しやすい取組みと考えられます。

無駄な食料の削減

無駄な食料の削減も、積極的に進める必要がある取組みです。食料を生産・流通する時は、工場の機械や配送車を動かすなかで大量のエネルギーが消費されています。販売店に並んだ食料が購入・消費されず廃棄されると、生産時や流通時に消費されたエネルギーは無駄になります。

食材・食品の無駄を出すことは、勿体ないだけでなくエネルギー資源を浪費している意味でも問題です。すぐに消費する食料は、消費・賞味期限の近いものから購入すると、売れ残った商品が期限切れになり廃棄される事態を防ぎやすくなります。飲食店で食べ残した料理も廃棄されますが、食品類の購入時や外食時に無駄な食料の削減を心がければ、食材・食品が廃棄される量は減らせるでしょう。

さらに、購入品の過剰包装を避ける・家電製品を省エネ型に変更する・環境に優しい製品を選ぶなどの取組みも、環境問題の解決につながる対策です。これらは、普段から実践できる取組みの一部に過ぎません。他にも、環境問題の解決に向けた身近な取組みは多く知られているため、無理せず実践できるものから行動に移すことをおすすめします。

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