公認会計士のキャリア|資格取得の費用や平均年収について

更新日:2024.03.25スタッフブログ

公認会計士のキャリア|資格取得の費用や平均年収について

公認会計士は、監査や会計に関わる業務を専門的に手がける職種です。平均年収は比較的に高額といわれますが、資格試験の難易度が高いとの声も多く聞かれます。これから試験に挑戦する予定なら、合格率・キャリア・年収などは気になるところでしょう。そこで今回は、公認会計士試験の概要・資格取得後のキャリアや近年の平均年収をご紹介します

公認会計士試験の概要

公認会計士試験の概要

公認会計士試験は、金融庁に設置された公認会計士・監査審査会が実施する資格試験です。以下では、この試験の概要をご紹介します

2024年(2023~2024年)の試験日程/試験の流れについて

公認会計士・監査審査会の発表によると、2023年から2024年にかけて実施される公認会計士試験の日程は、次の通りです。
第1回短答式試験
・申込期間:(郵送)2023年8月25日~9月8日・(ネット)同年8月25日~9月14日
・試験日:2023年12月10日
・合格発表:2024年1月19日
第2回短答式試験
・申込期間:(郵送)2024年2月5日~2月16日・(ネット)同年2月5日~2月26日
・試験日:2024年5月26日
・合格発表:2024年6月21日
論文式試験
・試験日:2024年8月16~8月18日
・合格発表:2024年11月15日
第1回・第2回短答式試験のいずれかを通過すると論文式試験に進み、論文式試験も通過すると公認会計士試験に合格となります。

公認会計士・監査審査会 「公認会計士試験 試験実施情報(お知らせ・スケジュール)」(参照2024-03-22)

合格率や難易度について

金融庁のデータを見ると、公認会計士試験の合格率はここ数年にわたり約1割です。過去5年間は、2018年11.1%・2019年10.7%・2020年10.1%・2021年9.6%・2022年7.7%と推移しています。合格基準は原則として短答式試験70%・論文式試験60%であり、2022年は18,789人が願書を提出し、1,456人が最終的に合格しました。一般的に、国家資格で合格率が1割ほどの試験は、難易度が高いといわれています

たとえば、国税庁の資料によれば税理士試験の合格率(2022年度)は19.5%、金融庁の調査報告によれば米国公認会計士試験の合格率(2009年度)は約50%でした。これらの数値をふまえた場合、公認会計士試験は2段階方式である影響もあり、他の資格に比べて1回の受験で合格するのは難しくなっていると考えられます。

金融庁 「令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について」(参照2024-03-22)
金融庁 「令和4年公認会計士試験 合格者調」(参照2024-03-22)
金融庁 「合格基準について」(参照2024-03-22)
国税庁 「令和4年度(第72回)税理士試験結果」(参照2024-03-22)
金融庁 「『主要国の公認会計士試験・資格制度に関する調査』報告書の公表について」(参照2024-03-22)

受験料や勉強にかかる費用について

金融庁の規定によると、公認会計士試験の受験手数料は19,500円です。試験勉強にかかる費用としては、主に予備校の受講料が挙げられます。1年間の費用相場は通信教育・通学ともに50万円以上、2年間コースは80万円前後が目安といわれています。また、独学の場合、1年間の相場とされる金額は10万円以上です。独学は、出費を抑えやすい勉強方法です。ただし、合格実績を考慮した場合、少し費用をかけても予備校などを利用すれば合格の可能性は高まると見られています。

公認会計士の仕事内容

公認会計士の仕事内容

公認会計士は、監査・会計の専門家です。これらの分野に関連した仕事が、基本的な業務範囲になります。以下では、公認会計士の主な仕事内容をご紹介します

監査業務

公認会計士の代表的な業務が監査です。監査は、公認会計士のみに許された独占業務です。弁護士や税理士など、他の士業であっても監査業務を行うことはできません。監査を行うのは、主に以下の2点についてです。

・企業が提出した財務諸表を確認し、重要事項に誤りや不備、不正などがないかを確認する
・内部統制報告書の内容が適正かチェックする

経営がうまくいっていない企業のなかには、不正をして損失や失敗を隠そうとするケースも見られます。利害関係者の多い上場会社や大企業がこれを行うと、社会的な混乱を招く可能性があります。そこで、一定規模以上の企業には公認会計士による監査を義務づけ、経営状況の報告に嘘がないことを証明しているのです。

税務

税の専門家といえば税理士をイメージしますが、公認会計士も税理士業務を行えます。公認会計士試験に合格すると、別途試験を受けることなく、税理士登録が可能なためです。税理士業務は個人事業主や中小企業をクライアントとすることが多く、独立した公認会計士が税理士としても活動するケースが多いようです。さまざまな税務のうち財務諸表の監査は、公認会計士の独占業務です。専門家の視点で書類の正確性・適切性を証明すれば投資家や債権者の信頼を得られるため、円滑な企業経営につながります。

コンサルティング

近年は起業の機運が高まっており、組織再編や企業買収なども活発に行われています。そこで、これらの分野に精通した公認会計士は、会計業務だけでなく、社内のコンサルティング業務を担うこともあります。今後公認会計士を目指す方は、周りとの差別化を図る必要があるでしょう。

税理士との業務内容の違いについて

公認会計士は、監査・会計とともに税理士の業務も扱える点が、主に税務を手がける税理士との大きな違いです。一般的に、公認会計士の資格があれば税理士として登録できるため、税理士業務に従事することが認められています。一方、税理士の資格だけでは、監査・会計に関わる業務を扱えません。公認会計士になると税理士の資格も得られますが、税理士の資格だけでは公認会計士として活動できないため、業務内容に違いが生じています。

資格取得後のキャリア

資格取得後のキャリア

公認会計士の有資格者としてキャリアを積むには、資格試験に合格後、所定の手続きを済ませることが必要です。以下では、試験合格後の資格取得に必要な手続きや資格取得後のキャリアをご紹介します

合格後資格を取得するまでに必要なこと

公認会計士の資格を取得するには、資格試験に合格したうえで、所定の実務経験と実務補習を修了する必要があります。実務経験については、業務補助などの期間が3年以上あることが条件です。さらに、実務補習を修了して日本公認会計士協会の考査をクリアし、内閣総理大臣の確認を受けると、資格取得が可能になります。試験の合格者は、以上の条件を満たし日本公認会計士協会の名簿に登録されれば、公認会計士として業務を開始できます。

公認会計士のキャリア

公認会計士の資格が生かせる職場は、監査法人をはじめ多彩です。

監査法人で働く

監査業務をメインとしているのが監査法人です。上場企業や大企業が受けなければならない法定監査は、規模が大きくなるため、複数の公認会計士が所属している監査法人に依頼します。監査法人として登記するには、5人以上の公認会計士が必要です。公認会計士のメイン業務である監査を担当したいのであれば、まずは監査法人で経験を積むのがおすすめです。

企業や地方公共団体の職員として働く

公認会計士のなかには、企業内会計士や地方公共団体の職員として働く方も少なくありません。財務や経理部門で働くのが一般的ですが、経営企画部門に所属する公認会計士もいます。会計や監査だけでなく、経営や企画に関する業務など、企業経営に深くかかわりたいのであれば、一般企業への就職がおすすめです。

コンサルティング会社で働く

内部統制やリスク管理に関する知識を有した公認会計士が、コンサルティング会社で活躍するケースも見られます。組織再編やM&Aなど、企業を裏から支援したいと考えている方におすすめです。

公認会計士の働き方

公認会計士の働き方

公認会計士の働き方は、一般的に会社勤務独立開業です。以下では、会社員として働いた場合や独立した時の平均年収などをご紹介します

会社員として働く

公認会計士が会社員として働いた場合、厚生労働省の情報によると、全国の平均年収は7,466,000円です。実際の金額は、年齢や企業規模によって異なります。政府が2021年に実施した賃金構造基本統計調査をふまえた場合、企業規模10人以上における年齢別の平均年収は次の通りです。以下は、「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」をもとに、「平均年収=きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額」の式で計算しています。

年齢 平均年収 (平均月収 × 月数 + 平均ボーナス)
20~24歳 218,800×12+353,200=2,978,800円
25~29歳 349,900×12+876,500=5,075,300円
30~34歳 431,300×12+1,334,200=6,509,800円
35~39歳 464,300×12+1,298,900=6,870,500円
40~44歳 443,400×12+1,136,300=6,457,100円
45~49歳 537,900×12+1,559,500=8,014,300円
50~54歳 469,400×12+1,663,200=7,296,000円
55~59歳 636,800×12+1,489,100=9,130,700円
60~64歳 419,900×12+1,008,100=6,046,900円
65~69歳 358,900×12+37,100=4,343,900円
70歳以上 267,000×12+53,900=3,257,900円

なお、上記の数値は政府の統計データから計算した平均額であり、実際の年収は勤務先によって変わってきます。

厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「公認会計士」(参照2024-03-22)

独立する

公認会計士が独立した場合、平均とされる年収は1,000万~3,000万円ほどです。会社に勤務した時の平均年収は700万円前後と見られ、独立すると、平均年収は大幅に増える可能性があります。そのため、独立開業は年収を増やす方法の代表例に挙げられるケースが少なくありません。ただし、独立後すぐに顧客を獲得できる保証はない点に注意する必要があります。多くの顧客を逃さないためには、業務依頼の電話を取りこぼさず、しっかり対応することが大切になるでしょう。

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