弁護士・認定司法書士に依頼できる任意整理とは

更新日:2023.03.17スタッフブログ

弁護士

債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産といった3つの手続きがあります。それぞれ借金に与える効果が異なり、自身の経済状況に合わせて適切な手続きを踏むことが大切です。今回は、債務整理の一種である任意整理の特徴と手続き方法、またメリットとデメリットについて解説します

任意整理とは?

任意整理とは、債務者または法律家が債権者と交渉し、借金を減額する手続きのことです。元金のみを3年〜5年程度で完済できるよう調整します。任意整理は「債務整理」の一種であり、年間300万〜500万人が利用しているとされています。

債権者との具体的な交渉内容は、以下の通りです。

・返済方法の見直し
・将来利息のカット
・遅延損害金のカット
・過払い金調査
・返済期間を3年〜5年程度に変更(債務者による)
・返済窓口の一本化

一般的に任意整理は、借金の支払いが困難な方に向けた手続きです。法律家が債務者の家計収支を調査したうえで、債務整理が可能か判断します。よって「利息を減らしたい」という要望や、明らかに支払い能力に欠ける場合は、利用できないことがあります。

任意整理と過払い金の関わり

任意整理と深い関わりにあるのが「過払い金」です。最近はテレビコマーシャルで目にする機会が増えましたが、その実態を理解している方は少数派でしょう。過払い金を理解するには、「グレーゾーン金利」について知っておかねばなりません。
2010年以前、貸金業者は一定の要件のもと、年利29.2%で貸し付けを認められていました。これは「貸金業法」による上限金利であり、現在一般的な「利息制限法」の金利とは異なります。

利息制限法は、10万円未満の借入に対して20%、10万円以上100万円未満なら18%、100万円以上では15%と、借入額によって利息に制限を設けています。それにもかかわらず、貸金業法の存在から年利29.2%の貸し付けが可能でした。たとえ借入額が10万円であっても、20%以上の利息を払うケースが出たのです。
グレーゾーン金利とは、利息制限法における上限金利(15%〜20%)と貸金業法の上限金利(29.2%)との間の金利をいいます。2010年以降は「改正貸金業法」と「出資法」によりグレーゾーン金利が撤廃され、利息制限法の上限金利に引き下げられました。しかし、債務者の大多数が上限金利の引き下げを知らず、そのまま返済を続けています。結果、過払い金が発生するわけです。

過払い金の有無は、弁護士や司法書士が任意整理の一環で調査します。もし過払い金があれば、残債務に充当するのが基本です。さらに過払い金だけで返済できる場合、余剰分を返還請求(過払い金請求)できます。

任意整理の手続き方法

任意整理の手続き方法と流れをご紹介します。個人による和解交渉も可能ですが、弁護士や司法書士などの法律家に頼むのが一般的です。

1.法律家に相談

まずは法律家に相談することからはじめます。一般的な弁護士事務所、司法書士法人は無料相談を行っており、この時点で費用は発生しません。担当する法律家が債務者の借入額・財産状況・収支・支出・取引期間などを確認し、任意整理が可能かを判断します。

2.任意整理契約の締結

担当弁護士(司法書士)との間で「任意整理契約」を結びます。着手金は事務所によって異なりますが、1社あたり3万円〜5万円が相場です。

3.受入通知の送付

債権者に受入通知を送付し、和解交渉の準備をはじめます。交渉終了まで借金の返済が止まり、一括請求や催促も行われなくなります。なお、受入通知と同時に取引履歴の開示請求も行います。

4.正確な返済総額の算出

貸金業者から提供された取引履歴を元に、引き直し計算を行います。このタイミングで過払い金の有無が確定します。もし取引履歴が開示されなかった場合、再申請するか、ほかの資料を参考に推定計算を行います。

5.貸金業者との和解交渉

担当弁護士(司法書士)が作成した和解案をもとに、和解交渉を行います。返済期間や利息・遅延損害金の免除額は、交渉する貸金業者によって異なります。交渉が上手くいかなかった場合、裁判に発展することもあります。

6.返済開始

今後の返済計画についての説明を受けた後、返済を開始します。一般的には弁護士・司法書士費用の支払いを済ませてから、債権者への返済に移ります。別途手数料が発生しますが、弁護士・司法書士が代理で支払いを行うことも可能です。返済方法についてもあらかじめ確認しておきましょう。

任意整理をする4つのメリット

ここでは、任意整理に踏み切るメリットをご紹介します。

メリット1.返済総額が減る

最大のメリットは、将来利息や遅延損害金の免除により返済額を減らせることです。上限金利の引き下げがあったとはいえ、現状においても15%〜20%の利息を支払うことになります。例えば、年利15%で100万円を借りたならば、3年間(36回払い)での利息額は25万円です。任意整理に踏み切るだけで、25万円分の利息を免除できます。また遅延損害金として、一般的な消費者金融では年20%の利息を加算します。どちらも任意整理により免除可能なので、借金の負担が軽くなるでしょう。

メリット2.元金が減額されることもある

過払い金は残債務に充当できるため、元金が減額される可能性があります。ただし、過払い金が発生するのは、2010年以前から借金をしている方のみです。2010年以降に借金をした方は、対象から外れるため注意しましょう。

メリット3.一括請求や催促が止まる

債務整理を弁護士や司法書士に依頼した場合、受入通知という書面を債権者に送付します。受入通知は、一括請求や催促を法律に基づいて止める効力を持ちます。日々の取り立てにストレスを感じている方には、ありがたいメリットといえるでしょう。

メリット4.借金返済のめどが立つ

任意整理により、借金返済のめどが立ちます。利息・遅延損害金を免除したうえで、3年〜5年の期間返済するため「いつ返済が終わるのか」が明確になります。これが任意整理をしなかった場合、返済期間が長ければ長いほど、返済総額も増えていきます。返済のモチベーションを高めるためにも、任意整理は有効です。

任意整理のデメリットは「ブラックリスト入り」

任意整理のデメリットはただひとつ、信用情報機関に「事故記録」として登録されることです。いわゆる“ブラックリスト入り状態”であり、最低でも5年間はクレジットカードの発行や各種ローンの申請に通らなくなります。

日本国内には3つの信用情報機関があります。消費者金融や銀行、クレジットカード会社は以下のいずれかに加盟しており、各機関で自己記録の情報提供・共有を行っています。

◇全国銀行個人信用情報センター(KSC):クレジットカード会社/信販会社
◇株式会社 日本信用情報機構(JICC):クレジットカード会社/消費者金融
◇株式会社シー・アイ・シー(CIC):銀行

ひとつの機関に事故記録が登録されると、ほか2機関に共有されます。これがクレジットカードの利用などが不可能になる仕組みです。なお、任意整理から5年経過後は、ブラックリストから外れる可能性があります。任意整理による事故情報は消去され、従来通りクレジットカードを発行したり、キャッシングローンを利用できたりします。債務整理には、今後の生活を左右するデメリットがあります。それを踏まえて利用するか否か、しっかりと考えることが大切です。

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