「ホウレンソウ」より「かくれんぼう」?
更新日:2023.03.31ビジネス豆知識ビジネスパーソンの基本である報告・連絡・相談、いわゆる「ホウレンソウ」は、もう古いとの声も上がっていて、別のスキームも提案されています。社会人になりたてのころ、「ホウレンソウ」を常に心がけておくことといわれた方も多いのではないでしょうか。近年では、人材育成の観点から、確認・連絡・報告の「かくれんぼう」が注目されています。こちらでは、ホウレンソウの基本や問題点を説明しながら、新しく提唱されている「かくれんぼう」とはどの様なものなのかについて詳しくご紹介します。
改めて「ホウレンソウ」はなぜ必要?
報告・連絡・相談は、職場の上司をはじめ、仕事上で関わるすべての人と円滑にコミュニケーションを取り、よい関係を築きながら仕事を進めるためにとても大切なことです。報告・連絡・相談それぞれの目的や、どのように仕事に役立つのか、以下でご紹介します。
ホウレンソウとは?
ビジネスにおける「ホウレンソウ」とは、報告・連絡・相談のことです。それぞれの頭の文字を取って「報連相(ホウレンソウ)」といいますが、その内容は、大まかに説明すると以下のとおりです。
- 報告 部下が上司の指示のもと仕事に取り組み、経過などを報告すること。
- 連絡 自分の意見や憶測を抜きにして、その場の状況を関係者に伝えること。
- 相談 自分では判断できない様な局面に立たされた時、上司に意見を聞くこと。
いずれも、仕事上では非常に大切なことだということが分かるでしょう。
報告
ビジネスシーンにおける「報告」には、上司の管理コストを削減するという目的があります。仕事の進歩や成果、作業フローの変更点など、部下から上司へしっかり報告をすることで上司が部下に質問する時間をカットすることができるわけです。
ミスをしてしまった場合では、報告を先延ばしにしてしまいたくもなりますが、報告が遅れたことによって取り返しがつかなくなってしまう事態も発生します。上司や会社に多大な迷惑をかけてしまうことにつながるため、報告はしっかり行うようにしましょう。
【「報告」が必要とされる場面】
- 取引先からクレームを受けてしまった場合
- 上司に任されているプロジェクトの途中経過
- ミスが発覚した場合
連絡
「連絡」の目的は、関係者が周知しておくべき情報を関係者全体に共有することです。取り組んでいるプロジェクトの変更点や、会議の時間・場所など、部下や上司にかかわらずチーム全員が把握しておく必要がある情報ですから、忘れずにしっかりと行いましょう。情報共有する際は主観的な意見や曖昧な表現は避け、客観的な事実のみを伝えることが大切です。
連絡が行き届いていなかった場合、関係者全体で認識にずれが生じ、チーム内に混乱を招くことになってしまいます。また、その混乱を解消するために多大な時間が無駄になってしまうかもしれません。チーム内での信用も失ってしまう可能性もありますから、細やかでスピーディな連絡を心がけましょう。
【「連絡」が必要とされる場面】
- 会議の時間や場所が変更になった場合
- 何らかのトラブルで作業に変更が生じた場合
相談
仕事上での「相談」とは、仕事を進めるうちに問題にぶつかった際、自分では判断できないことなどについて、上司や同僚、部下に意見を聞いたり話し合ったりすることです。自分ひとりでは解決できない問題をよりはやく解決し、スムーズに仕事を進めることを目的としています。「ホウレンソウ」の中で唯一、質問するという性質を持っているのも特徴です。
問題に直面しているのに相談しないまま仕事を進めた場合、問題解決に時間がかかって納期に間に合わなかったり、ミスの発覚が遅れて二度手間になってしまったりする可能性もあります。相談は、問題の早期解決のほかにも、自分の考えを他人に聞いてもらう機会にもなりますから、チームメイトとの信頼関係を構築するためにも積極的に行いましょう。
【「相談」が必要とされる場面】
- 上司に任されているプロジェクトが行きづまってしまった時
- 営業成績が伸び悩んで解決策が分からない時
ホウレンソウの問題点
「ホウレンソウ」が仕事をするうえで大切なことだと語り継がれる一方で、「ホウレンソウ」では人が育たない可能性があるという考えもある様です。「ホウレンソウ」の問題点をいくつかご紹介しましょう。
まず、「報告」についてですが、日報の様にその日あった出来事を単純に報告すればよいわけではありません。中身のない一方的な報告は、かえって上司の時間を無駄にしてしまうことにつながります。管理コストの削減を目的としている「報告」に、余計な時間を取られてしまっては本末転倒ともいえるでしょう。
また、ミスが発覚した場合などに、責任を逃れるために問題点や改善点を考えもせず、ただミスしたという事実のみを報告する場合も問題といえます。「上司に怒られる前に報告しておこう」という考えが先行して報告に依存する様になってしまっては、いつまでも上司に甘えたままで自律心が育たないのではないかと考えられるわけです。
次に、「相談」で問題となるのは、行きづまるたびに「このような場合、どうしたらよいでしょうか?」という具合に、自分で考えず丸投げになってしまう場合です。大きなミスをされる前に聞いてくれることはありがたいことですし、経験のない新人のうちは大いに結構な質問です。しかし、これを続けていては自分で考えることもせずに、ただ指示を待つだけの人間になってしまうかもしれません。人材育成の観点から、危惧する声も上がっています。
かくれんぼうのメリット
「かくれんぼう」は、確認・連絡・報告の頭文字を取って「確連報(かくれんぼう)」といいます。「ホウレンソウ」にはなかった「確認」が最初にあって、「報告」は最後にきているのがポイントです。人材育成の観点で考えると、上司は部下に自分で考えて行動に移せる自立した部下になってほしいと考えるもの。まさに自立を促すための方法が、「かくれんぼう」です。
「かくれんぼう」の場合はまず、支持を受けた部下が事前に自らの考えをまとめ、「この様にしてみようと思いますが、この方向で進めてよろしいでしょうか?」と「確認」を取ることからスタートします。上司はその提案で問題なければそのまま進めてよいと指示し、問題がある場合はフィードバックするなどしてよりよい方向へ軌道修正するだけです。
プロジェクトの進行中、困ったことがあっても、「ホウレンソウ」では「これからどうしたらよいのでしょうか?」と指示を仰ぐだけの相談が許されていました。しかし、「かくれんぼう」の場合は、「ここで行き詰まってしまったので、次はこの方法を試してみようと思っています。意見を聞かせてください」という具合に、自分の考えで進めてよいか確認を取ることになります。
この様な点から、「かくれんぼう」の方が上司の管理コストが大幅に削減できるうえに、自主的に考えて行動できる、自立した部下が育つのではないかと考えられているのです。
「ホウレンソウ」はもう古いとの声もありますが、報告・連絡・相談はやはりビジネスシーンでは基本といえます。報告・連絡・相談は上司への自己アピールのチャンスでもあるため、これを機に伝える内容を見直してみてはいかがでしょうか。部下に自主的に行動してもらいたい、無駄のないスピーディな仕事がしたいと考えている役職の方は、「かくれんぼう」を取り入れることも検討してみてください。
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