【2024年4月施行】労働基準法施行規則改正について

更新日:2024.03.11ビジネス豆知識

【2024年4月施行】労働基準法施行規則改正について

2024年4月から、労働基準法施行規則における労働条件明示のルールが改正されます。現行法で義務化されていない事項を明示する必要が生じるため、何が変わるか確認しておくと、改正法の施行後に慌てなくて済むでしょう。また、改正法について理解を深めれば、企業が働き方改革を進めるうえでも役立つと考えられます。そこで今回は、労働基準法施行規則改正の背景を解説し、労働条件明示改正で企業がすべき対応などをご紹介します

労働基準法施行規則改正の背景

労働基準法施行規則改正の背景

労働基準法施行規則のうち、労働条件として明示する事項などのルールが変わる改正法は、2024年4月1日に施行開始されます。近年は多様な働き方が広まり働き方改革が推進されているものの、ビジネスの場には長時間労働や過労死などの問題があり、労働環境の改善が求められています

ルール改正の目的

労働条件明示について、ルール改正の背景にあるとされる主な目的は、無期転換ルールの見直しと正社員の雇用ルールの明確化です

無期転換ルールは、パートやアルバイトなどの有期契約労働者に適用される契約関係の規定です。この規定は、有期契約労働者の雇用が通算5年を超えた場合、労働者側から希望があれば無期契約に転換する仕組みを指します。雇止めに対する有期労働者の不安を解消し、雇用面の処遇を改善するため、無期転換ルールは改正労働契約法で導入されていました。

ただし、認知度が低く、ルールの見直しが必要になったといわれています。正社員の雇用ルールの明確化は、正社員の雇用状況が主な検討対象です。正社員については勤務地限定や職務限定をはじめ雇用方法が多様化し、2019年、規制改革実施計画のなかで雇用ルールの明確化が定められました。

ただし、実態調査などをふまえ、正社員の雇用ルールの明確化についても議論する必要が出てきたと見られています。以上の流れから、これらのルールについて再検討する場が設けられ、労働条件明示のルール改正へつながります。

ルール改正の経緯

労働条件明示のルール改正については、「多様化する労働契約のルールに関する検討会」において議論が進められてきました。厚生労働省の資料によれば、この検討会は、2021年3月24日から2022年3月17日まで13回にわたり開催されています。最初に現行の法制度や実状について報告され、続いて企業・労働組合や有識者からのヒアリングが進められました。

第5回の検討会で実態調査の報告があり、その後、論点が明らかにされ議論が重ねられていきます。議論の結果は、2022年3月30日、最終的に「多様化する労働契約のルールに関する検討会報告書」としてまとめられました。同報告書の概要では、無期転換ルールの認知度に労使とも課題があると指摘されています。また、労働契約が多様化するなか、契約関係の明確化を検討することが適当である旨も記されました。

さらに、労働契約関係の明確化について、現行の労働基準法は勤務場所や業務内容の変更範囲まで明示を求めていない点に言及しています。そのうえで、今後は労働基準法15条の労働条件明示で、就業場所・業務の変更の範囲を明示対象に追加することが望ましいとの見解が示されました

参照:厚生労働省 多様化する労働契約のルールに関する検討会報告書 (参照 2024-03)

労働条件明示改正で企業がすべき対応

労働条件明示改正で企業がすべき対応

労働条件明示に関するルールの改正に備え、企業の人事担当者などは適切に対応する必要があるでしょう

労働条件明示事項の変更への対応

労働基準法施行規則の改正法では労働条件明示事項が変わるため、変更点への対応は必須と考えられます。労働条件明示の新ルールで追加される明示事項は、「就業場所・業務の変更の範囲」「更新上限の有無と内容」「無期転換申込機会・無期転換後の労働条件」です。企業は、それぞれの事項について見直す必要が出てきます。

就業場所・業務の変更の範囲

就業場所・業務の変更の範囲について、ルール改正で事業主による明示が必要になる対象は、正社員だけでなくパートやアルバイトを含めた全労働者です。ここでの就業場所・業務は、労働者が通常勤務で就業する場所、および勤務中に従事する担当業務を指します。それぞれ、今後の配置転換や在籍型出向に伴い、新たな勤務先・担当業務になる職場や仕事内容まで含まれます。

更新上限の有無と内容

ルール改正後、労働契約で更新上限の明示が求められる対象は、パート・アルバイトをはじめとする有期契約労働者です。事業主が有期契約労働者と労働契約を結ぶ場合、契約の締結時か更新時に、更新上限の具体的な内容を明示する必要があります。更新上限は、通算の契約期間や更新する回数の上限を指します。

無期転換申込機会・無期転換後の労働条件

無期転換申込について書面による明示が求められるケースは、有期契約労働者に無期転換申込の権利が発生する場合です。有期契約労働者が通算5年以上にわたり勤務し、無期転換申込権が生じた場合、事業主は該当者に無期転換を申し込めると明示する必要があります。また、該当者が無期転換申込権を行使できる時期は、契約期間の初日から満了日までです。

時間外労働の上限規制の適用拡大への対応

時間外労働の上限規制は、働き方改革の一環として、2019年4月から適用が開始されています。ただし、一部の事業・業務は、5年の猶予期間が設けられました。現在、5年間猶予の対象となっている分野は、工作物の建設事業・自動車運転の業務・医療に従事する医師や鹿児島県・沖縄県の砂糖製造事業です

これらの分野も、2024年4月以降は猶予期間が終了し、時間外労働の上限規制が適用されます。原則として月に45時間・年間360時間の上限が設けられるため、具体的な規制内容をふまえた対応が求められます。

参照:厚生労働省 時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務 (参照 2024-03)

裁量労働制の見直しへの対応

裁量労働制も、2024年4月1日から改正法が施行となる制度です。この制度を企業が継続・新規で導入する時は、いずれの場合も、次の2点を満たして労働基準監督署に協定届・決議届を提出する必要があります。

  1. 専門業務型裁量労働制の労使協定に、「本人の同意を得る・同意の撤回の手続きを定める」の事項を追加
  2. 企画業務型裁量労働制の労働委員会の運営規定に、以下の3事項を追加
    • 労使委員会に賃金・評価制度を説明する
    • 労使委員会は制度の実施状況の把握と運用改善を行
    • 労使委員会は6カ月以内ごとに1回開催する

さらに2の決議は、上記事項のうち「本人の同意を得る・同意の撤回の手続きを定める」と「労使委員会に賃金・評価制度を説明する」の追加が必要です。同制度を企業で継続導入する場合、2024年3月末が届出手続きの期日になります。

その他

労働条件明示事項の変更・時間外労働の上限規制の適用拡大と裁量労働制の改正に合わせ、社内規定・社内研修や管理体制の見直しや強化も求められるでしょう。具体的には、雇用契約で就業場所・業務の変更範囲や更新上限・無期転換申込機会を明示し、長時間労働の規制を徹底するといった対応が必要になると考えられます。

有期雇用契約者側が今回の改正で気をつけるべきこと

有期雇用契約者側が今回の改正で気をつけるべきこと

今回の法改正で有期契約労働者が気をつけたいことは、更新上限・契約内容や更新関係の説明義務についてです

更新上限や契約内容の確認

労働基準法施行規則の改正法では、事業主が有期契約で労働者を雇う場合、更新上限の有無と具体的な内容の明示が不可欠になります。ただし、有期契約の労働者が確認を怠ると、いつ契約が終わるか分からず常に不安を感じてしまうかもしれません。

いつでも雇止めの不安を抱えていると、業務に集中しにくくなるでしょう。そんな事態を避けるうえで、有期契約労働者が雇用契約の締結時や更新時に更新上限や契約内容を正しく理解しておくことは大切です。

更新理由の説明義務

労働基準法施行規則の改正法が施行されると、事業主が更新上限を新設・短縮する場合、その理由について対象者に理由を説明する義務が生じます。具体的には、通算契約期間に新しく上限を設ける時や契約期間の上限・更新回数を短縮するケースで、事業主による理由説明が必要です

この点を労働者側が把握していないと、理由説明なしに更新回数が減っても受け入れてしまう可能性があります。更新上限の新設・短縮に納得できない場合、労働者に、理由を聞く権利があると認識しておくことは重要です。

無期転換申込権の行使の検討

有期契約労働者は、勤務期間について所定の条件を満たせば、無期転換申込権を取得できます。これまでは認知度が高くなかったため、改正法の施行後は、事業主から書面で明示してもらえます。ただし、有期契約労働者が無期転換申込権を使える時期は、契約期間の満了日が期日です。

契約を満了すると再契約するまで権利は失われるため、無期転換申込権を行使するかどうかは、契約期間中に検討する姿勢が望まれます。

企業が対応するために必要な準備

企業が対応するために必要な準備

企業が労働基準法施行規則の改正法に対応するため必要となる準備は、就業規則の見直しなどです。労働条件通知書を改める場合、改正法で使用できるモデルは、この章の最後にあるURLより確認ください。

就業規則の見直し

。就業規則の見直しは、企業が今回の法改正をふまえて働き方改革を進めるうえで、重要な準備といえるでしょう。日頃、従業員が長時間にわたり働いている場合、就業規則で残業や休日出勤を制限する必要があると考えられます。また、従業員の負担を軽減するには、仕事と私生活が両立しやすくなるような規則の改善も求められてきます。

労務管理体制の整備

快適な職場環境を実現する場合、労務管理体制の整備も大切です。従業員がサービス残業していると懸念される時は、適切に対価が支払われているか労務管理の状況をチェックする必要があると考えられます。また、長時間労働による過労死を防ぐには、福利厚生の充実や健康面の対策も欠かせなくなります。

社員への周知徹底

改正法の認知度を高めるうえでは、社員への周知徹底が不可欠でしょう。労働条件明示の改正内容を従業員に正しく理解してもらえば、就業場所・業務の変更範囲や更新上限に関するトラブルを避けやすくなると期待できます。実際に改正法を周知徹底する方法としては、社内研修や社内報による通知が挙げられます

外部機関の活用

企業がスムーズに働き方改革を推進するなら、外部機関を活用する方法は有効です。就業規則や労務管理体制を見直す際、法律事務所や経営コンサルタントに意見を求めれば、有益な助言を得られるでしょう。

また、電話対応をはじめ事務的な作業を社外に委託すると、従業員の業務負担を軽減するのに役立ちます。改正法の施行に向けて必要な準備を済ませれば、就労環境の改善は、新しい経営体制のもとで進めやすくなると考えられます。

参照:厚生労働省 令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます「モデル労働条件通知書」 (参照 2024-03)

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