賃貸管理士のキャリア|資格取得の方法とメリット
更新日:2024.08.01ビジネス豆知識賃貸不動産経営管理士は、賃貸物件の経営・管理を専門とする資格です。2021年に国家資格となり、資格試験の受験者数は増える傾向にあります。これから受験を検討している場合、試験の難易度や資格取得者の就職状況は気になるところでしょう。そこで今回は、試験のスケジュールや近年の合格判定基準・合格率を解説し、資格取得後の流れや試験合格後のキャリア・仕事上のメリットをご紹介します。
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目次
試験の概要
賃貸不動産経営管理士は、賃貸物件の適切な管理・運営を主目的として設けられた国家資格です。同資格は、資格試験に合格すると取得できます。以下では、資格試験のスケジュール・試験時間や合格点・合格率をご紹介します。
スケジュール・試験時間
賃貸不動産経営管理士試験は、一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会が国土交通大臣による登録を受けて実施する資格試験です。2024年度のスケジュールについては、同協議会から次の通りに発表されています。
申込期間 | 2024年8月1日(木)~9月26日(木) 願書請求期間は2024年9月19日(木)PM12:00まで |
---|---|
試験日 | 2024年11月17日(日)13:00 ~ 15:00(120分間) |
合格発表 | 2024年12月26日(木) |
所定の申込手続きを済ませると、11月上旬に受験票が郵送されます。出題形式は四肢択一、問題数は50問を予定しています。ただし、2023年度・2024年度に試験が一部免除される講習を修了している場合、45問になります。
合格発表は賃貸不動産経営管理士協議会のホームページ上で行われ、合格者には合格通知書が送られます。また試験当日、受験者は、12時30分までに所定の席へ着くように求められています。
合格判定基準・合格率・難易度など
賃貸不動産経営管理士協議会の資料によれば、2023年度は全50問のうち34問以上正解で合格とされています。また、講習修了者の場合、全45問中29問以上正解で合格と示されています。試験の合格率は、全体で28.2%でした。具体的な人数を見ると、受験者28,299人のうち7,972人が合格しています。講習修了者に限ると、11,449人が受験するなか合格者は3,700人、合格率は32.3%となりました。
過去の発表データによると、2023年度は28.2%であり、ここ2年ほどの合格率は3割前後にとどまっています。不動産関連サイトの情報では、5年くらい前まで約5割は合格していたため、「最近、試験は難しくなった」との声が聞かれます。とはいえ、3~4人に1人は合格している計算であり、他の資格に比べて難易度が高いと懸念する必要はないでしょう。
賃貸不動産経営管理士協議会 令和5年度 賃貸不動産経営管理士試験の概要 (参照 2024-08)
他の資格との合格率比較(2023年度)
資格試験 | 合格率 |
---|---|
賃貸不動産経営管理士 | 28.2% |
宅地建物取引士 | 17.2% |
マンション管理士 | 10.1% |
資格取得後の流れ
資格試験の合格者が実際に賃貸不動産経営管理士として業務を進める時は、賃貸不動産経営管理士協議会が定める登録手続きを済ませることが必要です。以下では、登録時に求められる要件や申請手続きの流れをご紹介します。
登録時に求められる要件など
賃貸不動産経営管理士の資格登録に伴う要件は、次の2つのいずれかです。
- 管理業務に関わる実務経験が2年以上ある
- 2年以上の実務経験と同等以上の能力がある
これら2つのいずれかに該当すれば、資格登録の要件を満たせます。また、2年以上の実務経験と同等以上の能力が認められるケースは、賃貸住宅管理業務に関する実務講習を修了した場合などです。同講習は賃貸不動産経営管理士協議会が実施しており、資格試験の合格者と宅地建物取引士が受講できます。
他に、資格登録では、登録料(税込6,600円)が必要です。この登録料には、賃貸不動産経営管理士証の発行にかかる手数料(税込4,500円)が含まれます。なお、資格登録の有効期限は5年間です。有効期限内に更新手続きしなかった場合、賃貸不動産経営管理士として業務を進める資格は失効します。また、試験合格から資格登録まで1年以上が経過した時は、別途に登録講習を受ける必要があります。
申請手続きの基本的な流れ
資格登録の申請手続きは、年末に合格発表が行われた後、年明けの1~2月頃に済ませるケースが一般的でしょう。申請手続きを進める際は、事前に顔写真データおよび登録要件を満たしたと証明する書面データを揃えておきます。顔写真データは、登録申請する前の6カ月以内に撮影したものなら使用可能です。
書面データは、管理業務に関する2年以上の実務経験を証明する書類、または賃貸住宅管理業務に関する実務講習の修了証を用意します。前者については、賃貸不動産経営管理士協議会が「賃貸住宅管理業務実務経験証明書」をネットに提示しています。
以上のデータを用意したら、賃貸不動産経営管理士協議会が設定した資格登録ページにアクセスして申請手続きを進めます。指定箇所にメールアドレスを入力して必要項目をチェックすると、資格登録用のマイページを作成する画面へ移れます。※マイページの詳細は、実際に登録申請する時にご確認ください。
以上の申請手続きが一通り終われば、資格登録は基本的に完了です。合格発表に続いて速やかに資格登録した場合、賃貸不動産経営管理士として業務を行う資格が4月1日に付与されます。
賃貸管理士合格後のキャリアや働く上でのメリットなど
賃貸不動産経営管理士が力を発揮できる業種は、不動産業をはじめ一般企業や金融業など多彩です。資格試験に合格した後は、業務の幅が広がると期待できます。以下では、この資格が活かせる業務分野や仕事上で得られるメリットをご紹介します。
資格が活かせる業務分野
賃貸不動産経営管理士の資格が活かせる業務分野は、不動産業のうちでも賃貸管理業が代表的です。賃貸管理業では、賃貸物件の適切な経営・管理が求められます。この業務について賃貸不動産経営管理士は体系的な知識・技術があり、オーナー・管理会社・借主の間で良好な関係を築く時に専門能力が役立つといわれています。
一般企業に就職した場合、賃貸不動産経営管理士の資格があると、企業が所持する不動産や賃貸物件の管理に活かせるでしょう。所有物件でトラブルが発生した際、迅速かつ的確に対応できると考えられます。金融業は、不動産のオーナーに融資する場合、対象物件の資産価値を正しく評価することが重要です。
その際、賃貸不動産経営管理士は、不動産価値や空き室状況に関する情報から適切な担保額を検討できるでしょう。また、不動産情報に通じているとハウスメーカーで顧客ニーズに合ったアイデアを提案できるなど、有資格者が重宝される業務分野は多岐にわたると見られています。
仕事上で得られるメリット
賃貸不動産経営管理士の資格は、不動産業界に就職・転職するうえで有利です。現在、賃貸住宅の管理業者は、管理戸数が「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の規定以上になると、事務所に「業務管理者」を設置する必要があります。賃貸不動産経営管理士は業務管理者の要件を満たすため、就職に役立つと見込めます。
不動産業界に就職した場合、賃貸物件の経営・管理に関する専門的な知識・技術があれば、即戦力として活躍できるでしょう。幅広い業務を任される可能性は高く、キャリアアップの足がかりになるといわれています。
一般企業や金融業でも、賃貸不動産経営管理士の能力を発揮すると、様々な業務を担当できるかもしれません。そのため、この資格を取得すれば、仕事の幅が広がるメリットを期待できます。なお、不動産関係の事務所などで電話対応に手が回らず悩まれている時は、着信時の一次対応を任せられる電話代行の活用をご検討ください。
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