ストライキとは?法律や実施の注意点を解説

更新日:2023.10.20スタッフブログ

近年、日本ではストライキが減少しています。このこともあり、西武池袋本店が2023年8月31日にストを実施した時は注目を集めました。ただし、ストライキに馴染みがない場合、何を行ったのか疑問に感じたかもしれません。また、どのような手続きが必要になるか考えた人もいるでしょう。そこで今回は、ストライキの仕組みや種類を解説し、日本で実施する時のルールや注意点をご紹介します

ストライキとは

ストライキとは

ストライキは、労働者が雇用主に対する要求を通すため、労働活動を集団で拒否する争議行為の一種です。以下では、ストライキの仕組み・種類や言葉の由来、ボイコットやサボタージュとの違いをご紹介します

ストライキの仕組み

ストライキは、労働条件について労働者と雇用主の意見が一致しなかった時に実施される集団的な抗議行動のひとつです。多くの企業では、労働者が労働条件について不満を抱いた場合、労働組合が雇用主と交渉します。ただし、労働者の要求内容によっては、労働組合と雇用主が合意できるとは限りません。

交渉がまとまらなかった時、労働者の要求を実現するために労働組合で検討する手段がストライキです。ストライキを実施するかどうかは組合員の投票で決定し、実施が決まると組合員全体で労働活動を停止します。労働活動の停止により雇用主が業績面で打撃を受け、再交渉の場が設けられると、ストライキは終了します。

ストライキの種類

ストライキの種類は、大きく分けると全面スト・部分スト・指名スト・一部ストの4つです。全面ストは、労働組合の全組合員が参加するタイプを指します。それに対し、組合員の一部のみ参加するケースが部分ストです。指名ストは部分ストの一形態であり、特定の組合員が労働組合からストライキの実施を指名されます。また、一部ストは、一部の従業員で構成される労働組合が実施するストライキを意味します。

言葉の由来

ストライキの由来は、かつて商船で発生した船員による労働拒否です。18世紀、イギリスの港で商船の船員は賃金面の待遇に不満を感じ、抗議行動を起こしたとの話が残っています。実際には、抗議の意思を示すため、船員数千人で船の帆を下ろして労働を拒否したとのことです。

英語で「strike」には「帆や旗を降ろす」の意味があり、商船の船員が抗議として帆を下ろしたことから集団による労働拒否も指すようになったといわれています

ボイコット・サボタージュとの違い

ストライキ・ボイコット・サボタージュは、いずれも争議行為に含まれる集団的な抗議行動です。ただし、具体的な方法に違いがあります。ボイコットは、特定の集団が、自分たちの主張・要望を実現する目的で国や企業に抗議する手法です。労働者が雇用主に不満を訴えるため、消費者に不買運動を呼びかけるケースも見られます。

一方、サボタージュは、労働者が仕事のレベルを下げる方式です。通常より業務の進捗を遅らせ、あるいは商品・サービスの品質を落とし、雇用主に不満・抗議の意思を示します。いずれも、要求の実現を目指している点は共通ですが、労働活動を全面的に停止しないところがストライキと異なります。

日本におけるストライキのルール

日本においてストライキは、法律で保護されている権利です。雇用主に損害を与えますが、適切な手続きを経ていれば違法にはなりません。以下では、法的な免責事項やストライキに求められるルールをご紹介します

法的な免責事項

正当なストライキに対して日本の法律で認められている免責事項は、刑事免責と民事免責の2つです。そもそもストライキは、憲法28条で保護されている労働者の権利(労働三権)に含まれます。憲法の規定を裏付けるため、労働組合法の第1条により刑事免責、また同法第8条により民事免責が与えられています。

刑事免責は、ストライキが適法である場合、刑法に抵触するような行為も罰則対象にならないとする規定です。また、民事免責は、正当なストライキにより雇用主に損害が生じても労働者に賠償請求できないと定めています。そのため、ストライキの違法性が認められない限り、企業の業績が下がっても従業員は責任を問われないといわれています。

ストライキに求められるルール

ストライキが法的な正当性を認められるには、適切に実施することが必要です。抗議行動の主体は、労働者の代表として雇用主と交渉する立場にある組織でなければなりません。合法的にストライキを実施する場合、事前に労働組合など正当な組織をつくる必要があります

また、ストライキを実施するまでに、労働者の代表は雇用主と十分に交渉する努力を欠かせません。協議を尽くさず抗議行動に訴えた場合、違法性を問われる可能性があります。協議を尽くしたうえでストライキを検討する時は、法規定や過去の事例をふまえ、適法かどうか確認することが不可欠です。

同時に、労働環境や労働条件の維持・改善を目的に掲げる必要もあります。労働組合の場合、ストライキを実施するか組合員の選挙により決議しなければなりません。また、実施が決まった時は、雇用主への事前通告および労働委員会か都道府県知事に向けた争議予告通知が必要です

さらに、ストライキでは、平和的な手段・態様が求められています。労働組合法において、暴力の行使は許されていません。労働組合と企業との間で労働協約が成立している時は、協約内容に示された要件や方法を守る必要があります。日本のストライキは、抗議主体・交渉の経緯・目的や方法についてルールを遵守している場合に限り、法的に正当であると認められます。

ストライキに関する注意点

ストライキに関する注意点

ストライキは法的に適切でないと判断されるケースもあるため、実施する時は抗議行動の是非について注意が必要です。以下では、法的規定をふまえ、気をつけたい注意点をご紹介します

1人では実施不可

1人だけのストライキは、日本の現行法において実施不可です。現在、日本の法規定を見ると、ストライキを含めた争議行為は団体で実施することが前提条件になっています。労働条件に不満があり1人で仕事を放棄しても、ストライキとは認識されません。

社内に労働組合がない場合、合同労組(ユニオン)に加入する方法があります。最近は社内に労働組合のない企業が増える傾向にあり、合同労組が雇用主と団体交渉するケースが多くなってきました。労働環境・労働条件について改善を求めたい場合、合同労組に加入すれば正式に団体交渉を実施できます

公務員はスト禁止

日本の国家公務員法では、公務員による争議行為の実施は禁止です。争議行為の禁止規定は、公務員の労働条件を決める権利は国民にあるとの考え方にもとづき、設けられています。この理念から、公務員自身によるストライキの実施は妥当でないと認識されています。

実際、かつて農林省の職員がデモへの参加を呼びかけられた際、国家公務員法の規定に違反するとの主張が裁判で合法と判断されました。ただし、公務員のストライキを禁止する規定は、憲法28条と矛盾する可能性があると疑問視する声もあります。この問題に対処するため、公務員の労働条件については、国会と内閣に勧告する中立機関が設置されています

賃金カットは正当

労働者がストライキに参加した場合、労働拒否に伴う賃金カットは正当です。賃金は、原則的に労働の対価として雇用主から労働者へ支払われます。労働者はストライキを実施した時に働いていないため、労働拒否があった時間について雇用主が賃金をカットしても問題ありません

ただし、ストライキが適法と認められる場合、スト参加を理由とする減給・解雇は不当です。労働拒否に対する賃金カットは、月々の給与額が少なくなる減給とは異なるため、混同しないように注意する必要があるでしょう。

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