人材定着に効果的なリテンションマネジメントとは

更新日:2022.11.30ビジネス豆知識

人材定着に効果的なリテンションマネジメントとは

ビジネスシーンにおける人事分野のリテンションとは、職場で従業員を維持・確保することです。昨今は新入社員や転職者の早期退職などが問題視されていることもあり、さまざまな企業でリテンションの注目度が上がりました。今回は、リテンションの本来の意味やビジネスで注目が集まった背景、また具体的な種類や人材定着の効果が見込める対策などをご紹介します

リテンションとは?

リテンションとは?

もともとリテンション(retention)は、「保持・保有」「維持」「記憶(力)」などの意味がある言葉です。ビジネスシーンでは、人事やマーケティングの分野で使用するケースが広く知られます。

人事の分野におけるリテンション

人事の分野におけるリテンションは、社内からの人材の流出を防ぐことです。職場では、よく「リテンション戦略」や「リテンションマネジメント」と表現されます。実際にマネジメントする対象は、新人から即戦力に育った中堅、さらに経験豊富なやベテランまで広範囲に及びます。人によっては「優れた人材を定着させる方法」とも説明されていますが、必ずしも解釈は定まっていません。

とくに近年は多くの職場で幅広いスキルが求められる時代になり、あらゆる人材について貴重な存在と考える傾向は強まっています。そんな現状をふまえた場合、人事におけるリテンションの目的は広い意味での人材確保といえるでしょう。現在、各組織では具体的なリテンションマネジメントとして、さまざまな働き方に合わせた社内環境の整備が進められています。

マーケティング分野との違い

リテンションの用語はマーケティングの分野でも使われますが、維持・確保や流出防止の対象に大きな違いがあります。まず人事分野を改めて見直すと、あくまで企業にとってのマネジメント対象は社内で働く人材です。昨今は以前と異なり終身雇用が一般的でなくなり、新人や転職者の早期退職を防ぐ対策も含まれています。

それに対しマーケティング分野におけるリテンションは、既存顧客がメインターゲットです。新規顧客の獲得はコストがかかりやすく、より効率的にリピーターを増やすため、さまざまな方法で既存顧客との関係維持を目指します。両者を比較するとリテンションの対象が明確に違い、具体的な対策方法にも大きな差異が生まれます。

ビジネスで注目される背景

近年、人事分野のリテンションがビジネスシーンで注目される背景には、国内の少子化傾向をはじめ多くの要因があります。とくに各方面で企業を悩ます問題は、全国的な労働人口の減少です。数十年にわたり少子化の流れは止まらず、各地で人材確保が難しくなっています。この状況は今後も簡単には変わらないと見られ、ほとんどの職場は危機感を抱いています

同時に、離職率の高さも見過ごせない問題のひとつです。厚生労働省が示したデータによると、数年前も離職者は1年間で14.6%に達しています。かつてのピーク時よりは低下したものの、約7人に1人が職場を去っている事態は楽観視できないでしょう。入社後のミスマッチも問題視されますが、出産・育児・介護など家庭の事情で離職するケースも多いため、リテンションによる働きやすい職場づくりは急がれています。

リテンションの具体的な種類

リテンションの具体的な種類

人事分野におけるリテンションの具体的な種類は、大まかに「金銭的報酬」と「非金銭的報酬」の2つです。

金銭的報酬

2タイプのリテンションのうち金銭的報酬は、金銭面に関わる雇用条件や社内規定について改める対策を指します。金銭的報酬の代表例は、給与条件の改善です。通常、時給や月収をアップする方法が挙げられます。加えて、福利厚生の充実も、このタイプのリテンションを代表する方法の一例です。交通費や住宅手当の支給は任意の福利厚生に含まれますが、社内で導入すれば従業員のモチベーション向上を望めるでしょう。

非金銭的報酬

非金銭的報酬は、給与アップなど金銭の支給条件を改善する以外の方法で従業員のニーズに応えるリテンションです。最近、多くの企業は誰にとっても働きやすい社内環境の整備あるいは仕事と私生活のバランスが取れる職場づくりに力を入れています。他には、魅力的な企業風土の醸成を推進する事例も知られます。

ここ十数年、国内外の経済情勢が著しく変動した影響もあり、労働者の働き方は以前に比べると多様化しました。同時に仕事を最優先に考えず、プライベートの充実を求める声も高まりつつあります。これらの社会的な変化を受け、さまざまなジャンルの企業は非金銭的報酬の重要性を認識し始めています。

金銭的報酬の限界

金銭的報酬は従業員の能力や成果に対する評価を明確に示せますが、限界もあると指摘されています。現在のビジネスシーンは従来型の年功序列を採用する職場が減り、成果主義にもとづく人事評価が主流です。この場合、従業員の評価は能力給や成果給に反映されるケースが目立ちます。

主な問題点は、より好条件での職場待遇を他社が提案すると人材流出につながるところです。すべての職場が給与を大幅アップできるわけではなく、金銭的報酬だけで従業員を引き止めることは難しいと考えられています。そのため近年のリテンションは、非金銭的報酬により得られる効果への期待が大きくなる傾向にあります

人材定着に効果的な対策

人材定着に効果的な対策

これからリテンションを実施する場合、まず現状把握が重要です。そのうえで職場の一体感を強化するなど適切に対策を進めれば、人材の定着に大きな効果を発揮すると見込めます。

現状把握は重要

社内でリテンションを開始する時、現状把握は必須といえる要素です。どんな不満があるか分かると、ニーズに見合う対策を考えるのに役立ちます。現状把握するなかで最初に取り組みたい作業は、従業員からのヒアリングです。個別に話すと、それぞれの意見を聞かせてもらえます。コミュニケーション不足が問題になっている場合は、会話を通して良好な人間関係を築くのにも効果的です。

ゆっくり話す余裕がなければ、こまめに各人の様子をチェックするだけでも効果があるかもしれません。以前より出勤時間が遅くなった、出社後の挨拶に元気がない、勤務中に笑顔が見られなくなったなどの変化は、悩みを抱えているサインとも考えられます。とくに決まった方法はありませんが、いずれにしてもリテンションの効果を高めるなら現状把握は不可欠でしょう。

職場の一体感を強化

人材の定着率アップを目指すリテンションとしては、職場の一体感を強化する対策がおすすめです。実際に社内改革を進めている企業では、リテンションの一環で部活動をサポートしています。部活動は新入社員や転職者が気軽に参加できることがメリットです。社内で開催するイベントなど、活躍できる場があれば、不慣れな職場にも溶け込みやすくなるでしょう。

企業によっては、いろいろな部署の従業員が参加すると活動費を補助するなど、部署間の関係強化にも積極的です。有効に機能すれば、ひとつの職場内だけでなく企業全体への愛着も深まると期待できます。部活動などがきっかけで新入社員や転職者が職場に受け入れられると、なかなか仕事面で成果が出なくても早期退職の防止につながると考えられます。

まとめ

近年はリテンションに注目が集まり、いろいろな方法が広まりました。そのなかで成功例に共通する特徴は、同僚にとどまらず上司や部下あるいは他部署とも良好な関係を築いている点です。現在、どんな対策に取り組むか頭を悩ませている場合、仕事関係にこだわらず多彩な方法に目を向けるとよいかもしれません。

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