目標管理制度(MBO)の特徴や注意点とは

2022.06.02 更新日:2022.06.02ビジネス豆知識

目標管理制度(MBO)の特徴や注意点とは

MBOは「Management by Objectives」の略であり、目標管理制度とも呼ばれる仕組みです。個人目標の設定時に従業員の意思を尊重する特徴があり、組織で導入すれば仕事に対する主体性やモチベーションの向上を見込めると考えられています。そこで今回はMBOの概要を解説した後、職場への導入がもたらすメリットや注意点などをご紹介します

MBOの概要

MBOの概要

目標管理制度(MBO)は、従業員の個人目標をふまえて人事評価する仕組みです。正式には「Management by Objectives」と表現され、日本語では「目標による管理」とも訳されます。

基本的な特徴

MBOは、まず従業員に個人目標を設定してもらうところが大きな特徴です。人事評価では、それぞれの進捗状況や達成度がチェックされます。

従業員が個人目標を決める際、その先にある組織的な目標とつながっていることが大切なポイントです。そもそも従業員は組織の一員であり、個々の目標を設定する時には本人の成長だけでなく、組織全体に貢献する意識も求められます。

どんな目標を設定するかは、各自に任せることも重要です。MBOは自主性を重んじる管理制度であり、それぞれの従業員の意思を尊重すればモチベーションの向上につながると期待されています。個人目標は職場が用意するノルマでなく、上司がサポート役と見なされるところも特徴的です。

MBOが注目される背景

MBOは、日本でバブル景気が崩壊した1990年代の後半頃から国内の注目度が高まったといわれています。もともとMBOは、現代経営学の祖と評されるピーター・ドラッカー氏が1954年に『現代の経営』で発表した考え方です。日本には1960年代半ばに紹介されていますが、当時はビジネスシーンに定着しませんでした。

その後、とくに注目を集めたのは、バブル崩壊で国内経済の低迷が続いた1990年代後半頃です。多くの企業は各種経費を削りつつ業績を上げる必要に迫られ、成果主義への流れが強まっていきました。従来の年功序列制度は人件費が増える一方でした。そんななか、個人目標を達成した成果にもとづいて人事評価する方法として、MBOの導入が進んだと考えられています

OKRとの違い

MBOに類似する管理システムのひとつに、OKRがあります。どれほど人事評価と深く関係しているかが、両者の大きな違いです。まずMBOの場合、上記の通り人事評価と密接に結びついています。実際、個人目標の達成度は人事評価に反映されて給与指標に用いられるとともに、通常は100%の達成率が望まれます。

一方、OKRは基本的に報酬制度と無関係です。MBOと異なり、人事評価や給与でなく生産性の向上と強い関係性が見られます。また一般的に、従業員が望まれる達成率は60~70%にとどまります。

また、目標の共有範囲と達成状況を判定するペースの違いも明確です。OKRは社内全体で目標を共有し、1~3カ月ごとに達成率を判定します。それに対しMBOは、目標の共有範囲が従業員本人と上司に限られ、1年ペースで評価される特徴があります。

MBOがもたらす主なメリット

MBOがもたらす主なメリット

MBOの導入が企業にもたらす大きなメリットは、従業員の主体性を育てられるところです。個々の意思を尊重する特徴はモチベーションの向上を促し、定期的な達成状況のチェックは改善点の確認に役立ちます。

従業員の主体性を育成

従業員の主体性を育成できる点は、各々が自分で個人目標を決めるMBOならではのメリットです。1954年刊行のドラッカー氏の著書を見ると、MBOは「Management by Objectives」の後に「 through Self Control」と続きます。ここでの「Self Control」は、「自主性」を意味すると説明されています。

著書で記された表現からも分かる通り、MBOは従業員本人の意思を重んじる人事評価の仕組みです。個人目標はあくまで各自の意向に沿って決められます。周りから強要されることはありません。どの目標も職場のノルマとして課されるわけではないため、従業員が目標達成のため主体的に作業する姿勢を養えると期待されています。

モチベーションを向上

MBOの自主性を重んじる仕組みが生み出すメリットは、仕事に対するモチベーションの向上です。職場でMBOが導入された場合、従業員は各自で決めた目標の達成を求められます。かつて上から指示していた上司は、あくまでサポートする立場です。従業員はノルマを強制される感覚にならず、モチベーションが高まりやすいと考えられています

また、先に触れた通り、それぞれの個人目標は組織全体が定めた目標につながり、単独で孤立していません。従業員が目標を達成すると必然的に組織への貢献度は高く評価されるため、さらに仕事への意欲は強まると見込まれています。

これらの点からMBOは、主体的に目標達成を目指せるとともに、達成後は組織に貢献できたと実感できる意味でも、モチベーション向上に効果があるといえます。

定期チェックで業務改善

MBOは、定期的なチェックにより次の仕事に向けた改善点を確認できるところもメリットのひとつです。このシステムでは個人目標の設定時に従業員の意思を尊重しますが、すべて本人任せにするわけではありません。定期的に、各々の目標の達成状況を点検します。通常、定期チェックは1年ペースで実施され、業務上の問題点や改善点を確かめられます。

改善点が明確になれば、新たな目標を設定することができるでしょう。自分の欠点をふまえたうえで目標設定すると、ステップアップにも効果的です。新たな目標をクリアするとともに欠点を克服できた時は、仕事関係の能力向上を望めます。MBOの定期チェックは従業員の評価に欠かせない手続きですが、改善点の把握により従業員のレベルアップにも活かせます。

MBO導入に伴う注意点

MBO導入に伴う注意点

企業でMBOを導入する時、とくに注意しておきたい点は、周りが個人目標を強要しない姿勢です。同時に、目標の難易度が適切かどうかも気をつける必要があります。

個人目標の強要はNG

MBOにおいて、個人目標の強要は避けましょう。それぞれの目標設定は、あくまで従業員本人の意思に委ねることが求められます。

企業側で個人目標を設定してしまうと、従業員にとってはノルマと同じように感じられることがあります。自分の意向に沿わない目標設定が行われると、モチベーションの向上は見込めないでしょう。自主性が尊重されないと、従業員が主体的に仕事を進めるのは難しくなるとも考えられます。

ドラッカー氏の言葉を借りると、MBOは「自主性こそ重要」です。従業員自身が目標を決めることで、主体的な業務姿勢の実現につながると期待されています。最初のうち、不慣れな従業員は手間取るかもしれませんが、周りは焦らず待つ必要があります。

目標の難易度にも注意

従業員が個人目標を設定した際、難易度が適切かどうかの確認は欠かせません。ハイレベルな目標は達成が難しく、低レベルでは高評価を得にくくなるためです。MBOは人事評価と密接な関係があり、従業員によっては個人目標を必要以上に高く設定するケースが見られます。ただ実力に見合わず途中で挫折すると、評価に結びつかないため望ましくないといわれています。

反対に、設定レベルが過度に低いのも問題です。簡単な目標なら、定期チェックの時点で100%達成できる可能性は高まります。それでも本人の成長が見られない、あるいは組織への貢献度が低い場合、評価は上がらないでしょう。また、個人目標は、すべて組織全体の目標につながることが前提条件です。MBOは従業員の自主性が重要とはいえ、最初は個人目標の設定も放任しないほうがよいと考えられます。

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