テレワーク環境で新入社員をマネジメントするコツ
更新日:2022.11.08ビジネス豆知識近年、新型コロナウイルスの影響でテレワークが新しい働き方として急速に浸透し始め、新入社員の育成でもオンラン方式を導入するケースが増えています。しかし、従来通りの対面式と異なり、コミュニケーションが取りにくいとの声は少なくありません。オンライン方式でも新人育成の成果を高めるには、何を意識すればよいかを把握しておくとよいでしょう。そこで今回は、テレワーク環境下で新入社員を上手にマネジメントするコツなどをご紹介します。
目次
テレワーク環境下に見られる新人育成の変化
2020年度の新人研修について、都内の研究所が実施した調査によると、「オンラインで開催した」との回答が過半数でした。テレワーク環境下の大きな課題としては、コミュニケーションの難しさが挙げられています。
新人研修の実態調査
以下にご紹介するデータは、人事関係の課題などを扱う都内の研究所が公表した、新人研修に関する実態調査の結果です。同研究所の調査結果を見る限り、2020年度に入社した新入社員の半数以上はオンラインで研修を受けたと回答しています。詳しい数値を示すと、通常通りが24.5%、過密状態を避けた対面式が29.5%に対し、オンライン方式は55.2%でした。
近年の同調査に目を向けると、2018年度と2019年度はオンライン方式が約1.5割にとどまっています。ここ数年のデータと比較すると、2020年度の結果は3倍を超える数値です。また新人研修後のOJTは3割前後がオンライン方式であり、2020年度は対面式を避ける傾向が大幅に強まったことが分かります。
課題はコミュニケーションの難しさ
多くの企業が新人研修やOJTをオンライン方式で開催するなかで、参加者の多くが実感した課題は、コミュニケーションの難しさです。同調査の回答結果を見ると、5割ほどの新入社員は在宅勤務の課題として「コミュニケーションの取りづらさ」を選択しています。また、その回答者のうち約半数は、同期入社だけでなく、職場の先輩や上司ともコミュニケーションが取りにくいと感じていました。
会社側にとっても、テレワーク環境下でのコミュニケーションの難しさは大きな課題の一つです。多くの職場では、パソコンの画面を通した面会は表情が分かりにくく、交流を深めにくいと指摘しています。とはいえ、まだまだ全国的に新型コロナウイルスの感染リスクは高いため、テレワーク時の新人育成は改善が急がれます。
新人教育の成果にも問題あり
テレワーク環境下の新人教育で、コミュニケーションの難しさとともに問題視されているのは、「個々の成果の明らかな差異」についてです。これまでも新人教育の成果は、必ずしも一律ではありませんでした。新入社員にはそれぞれ、入社時から多少の能力差があり、その違いは研修やOJTの結果、あるいは配属先での業務状況に表れます。
しかし、テレワーク環境下では、研修やOJTの時点で能力の個人差が従来よりも鮮明になる傾向が見られます。そんな状況が生まれやすい主な原因は、新入社員が置かれている作業環境の違いです。
最近はインターネットが普及しているとはいえ、個人レベルで均一に環境が整っているとはいい切れません。パソコンやスマホの習熟度も、個人間で違いが見られます。できるだけ作業環境などの差異を解消するという意味でも、テレワーク環境下の教育体制を整備する重要性は高まっているといえるでしょう。
教育体制を整備するポイント
テレワーク環境下で、新入社員に対する教育体制を整備する重要なポイントは、オンライン方式で指導する業務内容の選別です。オンライン化が十分でなければ、移行作業には早めに着手する必要があり、その際は良質なアイテムの導入も求められます。
業務内容は適性に合わせ選別
どの業務をオンライン方式で指導するかどうかは、それぞれの適性に合わせて選別することが重要です。仕事の業務は、すべてオンライン方式に適しているとはいえません。新人教育の成果を上げるためには、各業務の適性を考慮しながらオンライン化を進める必要があるといえます。
ビジネスの基礎知識や会社の経営理念は、オンラインによる座学でも従来と大差なく伝えられると考えられます。一方、お辞儀の方法や名刺の渡し方など、実技に関わる部分はパソコンの画面越しでの伝達が難しいかもしれません。オンライン方式での指導に向いているかどうかを選別した後は、より効果のある伝達方法の検討も望まれます。
移行作業は早めに着手
新人教育のオンライン方式への移行作業は、多くの時間を要する可能性があり、早めに着手することが大切です。職場で各種業務をオンライン化する場合、たいてい作業内容は広範囲に及びます。様々なツールの導入に始まり、個々の新入社員の作業環境の確認や移行後に生じるデメリットの把握まで含まれます。
いずれも簡単な作業ではないため、短時間のうちには終えられないでしょう。日々の仕事に追われて準備を怠ってしまうと、入社時の新人研修や現場でのOJTを予定通りに開けなくなる恐れがあります。新人教育のオンライン化も、他の業務と同じく時間は限られているため、移行作業は余裕をもって進めることが不可欠です。
できるだけ良質なツールを導入
職場でオンライン方式の新人教育を実施する際は、できるだけ良質なツールを導入することも重要なポイントです。最近では、テレワーク環境で使い勝手のよいツールが豊富に開発されています。より良質で企業のニーズにも応えられるツールを導入すれば、それだけ新人教育の成果は高まると期待できます。
新入社員の作業環境に問題点がある場合は、必要なツールの支給は不可欠です。またパソコンの習熟度などに違いが見られる時は、個人差に合わせて企業側がフォローする姿勢も欠かせません。これらの重要ポイントを意識しながら教育体制を整備すれば、新入社員の能力は従来と大きく変わらずに高く伸びると見込めます。
新入社員を上手にマネジメントするコツ
テレワーク環境下で新入社員を上手にマネジメントするコツは、定期的に面談を行うことです。オンラインでコミュニケーションを取る際は、あらかじめ何を話すかテーマを決めておくとよいでしょう。
新入社員とは定期的に面談
定期的な面談は、テレワーク環境下で新入社員をマネジメントするうえで非常に大切です。とくに心がけたいのは、新入社員の精神面への配慮です。概して新入社員は、まだ職場環境や仕事に不慣れであり、多くの不安を抱えながら勤務しています。さらにテレワーク環境下で同期や先輩とコミュニケーションが取りにくい場合、大きなストレスを感じている可能性があると考えられます。
これらの状況をふまえると、精神面への配慮は不可欠です。定期的に面談するなかでは、何か不安やストレスを感じていないかのチェックが怠れません。とりわけミスが続いている時などは、精神的なフォローが重要になると考えられます。面談の進め方などを工夫し、お互いに話しやすい雰囲気づくりを心がけるとよいでしょう。
オンラインで話すテーマは事前に決定
オンライン方式で面談を実施する際、話のテーマを事前に決めておくと会話をスムーズに進められます。新入社員にとっては、上司や先輩との面談はどうしても緊張してしまうものです。緊張のあまり、話したいことも話せない状況になってしまっては逆効果です。先にテーマを決めて共有しておけば、新入社員も気持ちの準備を整えられるため話しやすくなるでしょう。
何をテーマにするか、決まりはありません。よく選ばれる話題は、業務の進捗や、体調面、あるいは作業環境の問題の有無、今後の希望などについてです。話しやすさを優先するなら、仕事と無関係な雑談も選択肢に挙げられます。新入社員の緊張感を和らげ、円滑なコミュニケーションで親交を深められれば、適切なマネジメントの実現に効果を発揮するでしょう。
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