知っておきたい!D2Cの基礎知識やメリット

更新日:2023.02.16ビジネス豆知識

スマートフォンで服を見る女性

D2Cは、最近のビジネスシーンで多くの注目を集めている新しい販売モデル。生産者と消費者とのコミュニケーションの取り方などに大きな特徴があります。上手に活用すれば効率的に商品開発が進められ、収益を向上できるかもしれません。そこで今回は、この機会に知っておきたいD2Cの基本情報やこの手法を導入するメリットなどについてご紹介します。

いま知っておきたいD2Cの基本情報

D2Cは、商品の生産者あるいはメーカーが消費者と直接に取引する販売モデルを指します。

D2Cの主な特徴

D2Cの主な特徴は、商品の取引が生産者と消費者との間で直接成立するところです。そもそもD2Cは「Direct to Consumer」の略です。生産者は消費者とダイレクトに取引します。これまで一般的に見られた方法と異なり、販売ルートは広告代理店や小売店を経由しません。

D2Cで生産者が消費者とコミュニケーションを取る場所は、ソーシャルメディア、ECサイトや直営店などです。このモデルがよく採用されているジャンルとしては、アパレル分野や美容関係が挙げられます。商品取引の際、生産者は消費者と直接コミュニケーションを取れるため、以前より顧客情報を把握しやすくなったといわれています。

B2Cとの違い

D2CがB2Cと大きく違うのは、商品の販売モデルが消費者との直接取引に限定されるところです。B2Cは「Business to Consumer」の略であり、企業と消費者との取引全般を指します。消費者と取引する企業は生産者だけに限られず、商品販売は仲介業者を経由するパターンまで含まれます。

それに対しD2Cの場合、あくまで消費者と商品を取引するのは生産者自身です。生産者が直接取引していなければ、ネット通販でも店頭販売でも販売方法に関係なくD2Cとは見なされません。そのためD2CはB2Cの一種に含まれますが、その逆は成り立たないといえます。

D2Cの将来性

D2Cは顧客情報を把握しやすいことなどから、急速に需要が伸びている販売手法です。近年のアンケートでは、消費者から今後も買い物で利用するとの声が多く聞かれました。アンケート調査は、2018年に18歳以上のアメリカ居住者を対象として実施されています。調査結果を見ると、買い物の20%程度まではD2Cを利用する予定の消費者の数がトップでした。

詳しい数字を示すと、買い物全体の1~19%で利用する予定との回答が36%、次は利用予定20~39%が24%です。そこからは同じく40~59%が22%、60~79%が13%、80~100%が5%と続きます。アメリカの結果を見る限り、消費者はD2Cを多少なりとも利用する予定であると判断できます。この点をふまえた場合、この販売モデルの将来性はこれから広がる可能性があるといえるでしょう。

D2Cの導入がもたらすメリット

D2Cの導入がもたらすと期待される主なメリットは、顧客ニーズのつかみやすさです。同時に、独自の方法による商品販売や収益向上も見込めます。

顧客ニーズをつかみやすい

顧客ニーズのつかみやすさは、D2Cならではのメリットといえるかもしれません。D2Cは消費者と直接取引するため、かつてより顧客の行動履歴を把握しやすい特徴があります。ECサイトなら、ユーザーがアクセスした時期から商品を購入するタイミングまで顧客データを容易に収集できます。

自社サイトに蓄積されたデータを分析するだけでユーザーの消費動向を調査できれば、顧客のニーズを把握するのに以前ほど手間はかからないでしょう。顧客ニーズを迅速かつ的確につかめれば、その後の商品開発も効率的に進められると考えられます。

独自の方法で商品販売できる

D2Cの場合、生産者は商品販売を独自の方法で展開できる利点があります。これまでの商品販売では生産者が販売店に商品を置いてもらう、あるいは通販サイトに出品する方法が多く見られました。この場合、たいてい商品の販売方法には販売店や通販サイトの意向が反映されます。

D2Cでは、基本的に生産者が商品販売を担当します。販売方法について、販売店や通販サイトの都合を考慮する必要はありません。そのため生産者は、販売方法を自由に決めやすくなります。商品の販売方法を、取引する消費者のニーズに合わせて生産者が柔軟に変えられれば、商品が売れる可能性は高まると期待できます。

収益の向上を見込める

D2Cは、この販売モデルの特徴が活かされ収益の向上が見込めるところも大きなメリットです。生産者が消費者と直接取引するD2Cの場合、販売店や通販サイトに商品の販売を頼む必要はありません。商品が売れた際に売上を販売者と分配しなくて済み、より多くの利益が手元に残ります。

またD2Cは、生産者が消費者のニーズをふまえながら効率的に商品開発を進められます。さらに独自に工夫した販売方法が消費者の購買意欲を刺激できれば、収益の向上につながっても不思議ではないでしょう。

消費者ニーズのつかみやすさや販売方法の自由度の高さは結果的に収益向上をもたらすと期待されるため、D2Cの大きなメリットと考えられています。ただし、あらゆるジャンルに適しているとはいえないため、導入する際には注意が必要です。

さまざまな分野の成功事例

D2Cを上手に活用するには、どの分野が適しているか理解しておくとよいかもしれません。その参考として、以下には成功事例をいくつかご紹介します。

アパレルブランドの成功例

D2Cの成功例がよく知られている分野は、アパレル関係です。さまざまな成果を上げている生産者としては、オリジナルブランドを運営する企業が挙げられます。このメーカーでは、服の企画・開発から販売やショップ経営まで手がけています。

大きな特徴といわれるのが、ファンコミュニティの存在です。ブランドのファンになってくれた消費者や商品の購入者にはワークショップやイベント、さらには商品開発にも参加してもらっています。ファンの数は企業にとって大きな価値と考え、生産者である企業はファンコミュニティを通じて消費者とブランドづくりを進めています。

コスメブランドの成功例

美容関係も、D2Cの成功が知られる代表的な分野です。実際の事例としては、ニューヨーク発祥のコスメブランドが挙げられます。2014年に創設されたブランドであり、肌質を考えた商品やパッケージデザインへのこだわりが特徴的です。

D2Cの手法としては商品開発にユーザーの声を取り入れていることが有名であり、商品に有害な化学物質を含まない点などは若い世代から高い反響を得ているといわれています。メイクとしての仕上がりはもちろん、肌にとって健康的かどうかを重視するブランドであり、最近は発祥地であるアメリカにとどまらず日本でも愛用者が増えました。

食品ブランドの成功例

D2Cの成功例は、食品関係の分野でも見られます。この分野でD2Cの販売モデルに成功したのは、完全栄養食のパンやパスタを開発している食品ブランドです。健康的な食事を求める消費者をターゲットに、糖質やカロリーを抑えた食品の提供に努めています。

D2Cの特徴が見られるのは、SNSにより消費者とコミュニケーションを取っているところです。個々のユーザーから直接に意見を聞き、速やかな商品開発に反映しています。この他によくD2Cが適しているといわれる分野は、パソコン、カメラ、オーディオ関係です。この販売モデルの導入を検討する際には、ここに示した実際の成功例などを参考にしてみてください。

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