労使トラブルを解決!社会保険労務士
更新日:2023.03.15スタッフブログ社会保険労務士とは、労働法や社会保険について専門知識を持った専門家です。企業の就業規則や社会保険に関する手続きをサポートしてくれます。また、労働上のトラブルについての相談を受けるのも社労士の仕事です。こちらでは、社労士の役割や相談事例をご紹介します。労働環境でお困りの際は、ぜひ社労士に相談してみましょう。
目次
社会保険労務士とは
社会保険労務士とは、労働法や社会保険に精通したプロフェッショナルです。就業規則や社会保険手続きに関する書類を作成したり、提出を代行したりといった業務は、社労士のみが行えます(独占業務)。社労士の種類には「勤務社労士(一般クラス)」「勤務社労士(幹部クラス)」「開業社労士」があります。
一般クラスの勤務社労士は、一般企業の平社員にあたるポジションの社労士です。社労士事務所や社労士法人に雇用されて業務を行います。多くの勤務社労士は複数の企業を担当しており、顧問先の社会保険手続きや離職票発行を行ったり簡単な労務相談を受けたりしています。一般クラスの勤務社労士はまだ実務経験が少ない場合が多く、高度な労務相談については幹部クラスの社労士に任せるケースがほとんどです。
一般社労士よりも高いスキルを持っているのが、幹部クラスの勤務社労士です。近年は法改正により社労事務所を法人化できる様になったため、数十人規模で大手企業の事務手続きを請け負ったり、高度な労務相談を受けたりする企業が増えました。
大きな社労事務所にはパートナー社員と呼ばれるスキルの高い社労士が在籍しており、一般社労士のマネジメントを行ったり、複雑な労務相談を受けたりしています。幹部クラスの社労士がやり取りをするのは、企業の責任者クラスや社長が中心です。開業社労士をしている方もいらっしゃいます。
開業社労士の業務は事務所の規模によって異なり、営業や経理も自分で行っていたり、社労士としての活動を中心としていたりと、さまざまなタイプがあります。社労士の独占業務は行わず、人事コンサルタントやセミナー講師の様な仕事で活躍している方も少なくありません。同じ社労士でも、業務形態はさまざまです。
社会保険労務士を雇い入れるメリット
社労士を雇い入れることで、さまざまなメリットが得られます。法律違反のリスクを減らしたい方や、助成金を申請したい方は、社労士の雇用を検討してみてはいかがでしょうか。
法的リスクが軽減される
ブラック企業の存在が社会問題になっている現代では、違法な労働条件で従業員を働かせてしまうと、訴えられるリスクが高くなります。問題が大きくなれば、社会的な信用を失いかねません。しかし、社労士が社内に入れば、労働環境や条件について適切なアドバイスをもらえ、法律違反となる行為を防げます。また、労働環境を整えることで社員のモチベーションが上がり、会社の利益にもつながります。
支払いリスクを軽減できる
想定外の支払いのリスクを軽減できるのも、社労士を雇い入れるメリットです。もしも労務環境について従業員とトラブルになってしまったら、損害賠償や未払い賃金として多額の費用を支払うことになる可能性があります。しかし、社労士を雇い入れれば、予期せぬ資金の流出を防げるのです。
助成金を獲得できる
雇用環境を整備しようとする企業は、条件付きで助成金がもらえます。しかし、助成金を申請するには高度で複雑な書類を作成しなければなりません。社内に社労士がいれば、適切に書類を作成でき、助成金を受け取れます。助成金によって企業環境を整え、さらなる発展を目指すことが可能です。
社会保険労務士への相談事例
社労士に寄せられる相談には、残業代について、あるいは就業規則の問題といった様に、さまざまなものがあります。いくつかの事例をご紹介します。
残業代について
あるコンピュータソフト制作会社には、部長以下6人の社員がいました。通常は部内の社員全員が勤務時間内に業務を終えていましたが、新ソフト開発が行き詰まったことにより、残業する部員が出てきます。部長は残業する必要はないと考えており、残業を指示したことはありませんでしたが、残っている部員がいることは認識していました。ところが、部員のひとりが会社に残業代の支払いを求めたところ、命令もないのに勝手に残業したとして、拒否されてしまいます。
こちらの問題に対して、社労士からは部員の残業は労働時間と認められる可能性が高いと回答しました。会社側が主張するとおり、本来であれば業務命令もとづかない業務に対して会社が賃金を支払う必要はありません。しかし、こちらの件では、新ソフト開発が行き詰まっていたという事情があり、部長が残業を認識していたことも認められました。
そのため、社員に残業代を払わなければならない可能性が高いと判断されたのです。ただし、こちらのケースでは残業が労働時間に入ると判断されましたが、自発行為とみなされて残業代が認められないケースもあります。指示されていない残業をする際は気をつけましょう。
社員の過労死について
不動産会社に勤めていた営業部員Aさんは、勤務中に意識を失い、搬送先の病院で亡くなりました。生前のAさんは、最近成績がふるわなかったことから、上司に強い圧力を受けていたそうです。また、毎日遅くまで残業していたほか、休日もあまり取れなかったといいます。Aさんの家族は会社に対して労働基準監督署長に労災保険給付を申請する様に求め、Aさんの死は業務上災害と認定されます。さらに、Aさんの家族は会社に損害賠償も請求しました。
会社は無理な業務を命じておらず、Aさんに持病があったのではないかと主張します。対して、家族は会社が無理な業務を命じたため、肉体的、精神的な過労でなくなってしまったと主張しました。社労士はこちらの問題に対して、会社側はAさん家族に損害賠償を支払う必要があると回答しています。
会社には社員の健康に対して一定の責任があり、過酷な業務を行っている場合や健康診断で異常が発見された場合は注意を払う必要があるからです。会社側には健康管理を怠った責任があるとして、損害賠償を支払う義務があると判断されました。過労死が発生した場合、会社は普段から健康診断を行っているか、社員が過重な業務を行っている場合に健康に注意を払っているかといったことを問われます。社員の健康管理には十分注意しましょう。
就業規則を変更する場合
ある自動車貨物運送業の会社では、顧客からの値下げ要求が厳しく、大幅な経費削減が求められていました。資産の売却や業務の合理化で経費削減に取り組んできましたが、状況が悪化し、社員の賃金カットに踏み切ることになります。しかし、従業員は賃金カットに反対し、就業規則を変更しない様に求めました。
会社側は、このままの労働条件だと経営は難しく、倒産する可能性もあるため仕方ないと主張します。一方、労働者側は、労働条件は合意して決めるべきものであるため、一方的に変更することは認められないと主張しました。
社労士はこちらの問題に対して、会社がほかの経費削減手段を採り尽くしたと認められれば、労働条件を変更できると回答しています。労使で決めた労働条件を変更する際は、労使で協議してから行うのが理想です。しかし、会社の規模が大きくなると協議を行うのは難しくなります。
そのため、労働条件の変更は就業規則の変更という形で行われるケースが多くなります。就業規則の変更は、基本的に会社の判断で行って構いません。しかし、会社側が社員に不利な条件に変更することで労働者が不利益を被るケースも多く、社員の同意が必要であるという判例が出る場合もあります。
そのため、労働条件を変更する際は、合理的な理由が必要とされています。不利益の程度や社会通念、変更しない場合に発生する弊害を考慮して、条件変更がやむを得ないと判断されれば変更可能です。就業規則の変更をする際は、ほかの対策をできる限り試したうえで行いましょう。
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