覚えておきたい!ステークホルダーの意味や使い方
更新日:2023.06.06スタッフブログステークホルダーは、賭け事に由来するといわれる言葉です。いまは、ビジネスパーソンなら覚えておきたいビジネス用語のひとつに挙げられます。意味や使い方について理解が十分でなければ、この機会に確認しておくとよいでしょう。そこで今回は、ステークホルダーの本来の意味やビジネスシーンでの使い方、さらに将来的に望まれる、企業とステークホルダーとの関係性などをご紹介します。
目次
ステークホルダーとは?
ステークホルダー(stakeholder)は、企業にとっての利害関係者を総称する言葉です。
本来的な言葉の意味
英語のstakeholderは、ステーク(stake)とホルダー(holder)を組み合わせた単語です。もともとstakeには「掛け金」や「賞金」の意味が、holderには「保有する者」の意味があります。最初のうち、stakeholderは、これらの意味が合わさった「掛け金の保有者」を指す言葉として使われていました。
当初、この意味合いで使われていたのはビジネスシーンではなく賭け事の場面です。賭け事では掛け金を保管する必要があり、20世紀の初め頃から保管者がstakeholderと呼ばれ始めたといわれています。後々、ビジネスシーンにも使用範囲が広がると、上述した「企業にとっての利害関係者」の意味合いも加わりました。
ビジネスシーンでの意味合い
ビジネスシーンにおいて、ステークホルダーは何らかの企業活動により多少なりとも影響を受ける利害関係者を指します。対象範囲は直接的な関係者にとどまらず、間接的なものまで広く含まれます。
直接的な利害関係者の代表例を挙げると、従業員、消費者、クライアント、株主、金融機関です。一方、間接的な例としては従業員の家族、地域社会、政府、行政機関などがよく知られています。
これらの例を見ると分かる通り、ステークホルダーが意味する利害関係は金銭的な損得だけでなく、地域社会への貢献や政府・行政への影響などを一通り含んでいます。
ステークホルダーの特徴
ステークホルダーの大きな特徴は、企業と利害関係者の間で必ずしも利害が一致しない点です。通常、企業はさまざまな事業を展開しながら利益を追求します。いずれの事業でも、できるだけコストを抑えながら少しでも収益を増やそうと考えます。
それに対し、従業員のほとんどは、企業にとってコスト軽減というメリットがあったとしても、給与の減額を望みません。また、多くの消費者は、企業の収益が増えるかどうかに関係なく、商品やサービスが安く販売されることを求めます。また、企業によっては、利益優先で生活環境などに配慮しないと地域社会や行政に不利益となる傾向があります。これらのケースをふまえても、企業とステークホルダーの利害が一致するとは限らないと分かるでしょう。
ステークホルダーの使い方
ステークホルダーの使い方は、あらゆるビジネスシーンで同じわけではありません。ひとつの企業でも、言葉が意味する範囲は利用場面ごとに異なるケースが見られます。
使用事例1:経営会議
経営会議で使われた場合、ステークホルダーの意味について前後の文脈から判断することが大切です。会議で「ステークホルダーにも配慮しながら新規事業を進める」との発言があった時は、新規事業に深く関わっている社外の関係者を指している可能性が高いと考えられます。
どこと新たな契約を結ぶか話し合っているならステークホルダーは新規のクライアント、話題が新規の融資についてであれば金融機関と理解するのが妥当でしょう。議論の流れからは、経営陣はクライアントあるいは金融機関の利益に配慮した事業展開を担当者に求めていると理解できます。
使用事例2:株主総会
株主総会については、総会に向けての準備の際に使うケースや、総会のなかでの発言が考えられます。総会の直前に「次の株主総会ではステークホルダーの理解を得られる真摯な説明が欠かせない」と使われた時、ステークホルダーの指示する対象は株主でしょう。
一方、総会のなかで「今後は、これまで以上にステークホルダーが働きやすい職場づくりに力を入れていきたい」と発言があれば、指示対象は従業員と判断できます。同じ株主総会が関わる場合も使い方は一律ではないため、何を意味しているかの注意は怠れません。
使用事例3:会社説明会
会社説明会で使われる時も、ステークホルダーが意味する範囲は多岐にわたります。「弊社は地域の自然環境に目を向け、ステークホルダーと良好な関係性を築きたい考えです」と説明があれば、この言葉は地域社会あるいは居住者を指していると見られます。また「企業経営は政治とも無関係でなく、この方面のステークホルダーも視野に入れる必要があります」との説明なら、行政機関の利益を考えてほしいと伝えているのでしょう。
これらの使用例が示す通り、ステークホルダーの意味する利害関係者は広範囲です。それぞれの使用場面ごとに、言葉の意味する対象や使い方が決まっているわけではありません。いずれの関係者を指しているかを適切に把握するには、前後の文脈も正しく理解する必要があります。
将来的に望まれる関係性
将来的に、企業はステークホルダー全体と良好な関係性を築くことが望ましいといわれています。
欧米の考え方
古くから欧米には、企業が維持・成長していくためには社会全体の持続および発展が欠かせないとの考え方がありました。いまも欧米企業の多くは、自分たちの所属する社会と深く関わっていると考えています。この考え方は、さまざまな企業活動が社会に対し大きな責任を担うとの意識も生みました。よく、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)と表現されます。
欧米企業にとってステークホルダーは、社会そのものであると定義することもあります。その影響もあり、ステークホルダーの言葉はCSRとともに広がりました。さらに企業規模が増せばステークホルダーの範囲は広がり、社会的責任は増すと理解されています。
国内企業が抱える問題点
社会的責任の視点に立つと、国内企業が抱える問題点は小さいとはいえないでしょう。明治期以降、企業が地域社会に不利益を与えた代表的な事例としては公害問題が挙げられます。昭和になってからも戦後の高度成長期に国内各地で発生し、全国的に問題視されました。
最近は、企業倫理やコンプライアンスを遵守しているかどうかにも厳しい目が向けられています。この動きの表れとして、産地の偽装表示や粉飾決算、また過酷な労働環境は大きな社会問題になりました。現在、多くの国内企業はさまざまな言動に何か問題がないか社会全体から注視されている状況にあるといえます。
今後に期待される企業の姿
今後、国内企業が周りから期待される姿は社会全体と良好な関係を築いた状況です。これからは、より広い範囲のステークホルダーの利益となる活動が求められています。これまで特定のストックホルダーのみを優先していたなら、対象範囲を広げたほうがよいと考えられています。株主やクライアントの利益を重視する企業は珍しくありませんが、それだけでは不十分です。
地域の活性化を考えた場合、地元企業による雇用の創出は大きなメリットです。働き方が多様化した現状をふまえると、いろいろな生活スタイルの従業員が働きやすい職場づくりは労働力の確保につながります。近年は社会への貢献度が大きいと企業のイメージアップをもたらす傾向が強いため、多方面にわたるステークホルダーの利益に寄与することをおすすめします。
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