8士業の気になる年収、資格難易度、将来性を徹底比較!

更新日:2025.03.13スタッフブログ

8士業の気になる年収、資格難易度、将来性を徹底比較!

8士業は、資格試験に合格するなど所定条件を満たすと取得できる国家資格です。現在は、就職やキャリアアップに活かせる可能性があり、これらの資格取得を目指すケースが多く見られます。ただし、最近はAIの普及が盛んであり、士業の将来性を懸念する声も少なくありません。一度、8士業について理解を深めておけば、今後のキャリアなどを検討するうえで役立つでしょう。そこで今回は、8士業の主な業務内容をご紹介し、試験の難易度・平均年収や将来性について解説いたします

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士業とは?8士業の業務内容を紹介

士業とは?8士業の業務内容を紹介

士業とは、末尾に「士」がつく専門性の高い職業の総称です。「士」の文字から、サムライ業とも呼ばれています。そのうち、8士業は、弁護士司法書士弁理士税理士社会保険労務士行政書士土地家屋調査士海事代理士を指します。

弁護士

弁護士は、法律関係の問題を解決に導く専門的な資格・職業です。この資格の取得者は、法律に関わる専門知識を幅広く身につけています。また、弁護士法第一条の定めによると、主な使命・役割は「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」です。その定義にもとづき、民事事件・刑事事件が起きた時は法律知識を活かして当事者を弁護し、訴訟業務や法律事務も進めていきます。

司法書士

司法書士は、法律関係の書類作成や申請手続きを専門とする士業です。資格取得者の主な担当業務としては、登記関係の手続きが挙げられます。土地・不動産の登記を取り扱う傾向があり、申請手続きの依頼を受けた際、必要書類を用意して法務局に提出するケースは多く見られます。また、商業登記のサポート・登記変更の手続きや供託業務まで、幅広く引き受けるところも特徴的です。

弁理士

弁理士の専門分野は、知的財産の権利に関わる業務全般です。資格試験に合格した有資格者は、知的財産の専門的な知識に精通しています。特許や商標の法的規定や権利関係に詳しく、主な担当業務は、同資格の専門性が活かされる特許出願の手続きです。業務依頼を受けた時は特許庁に提出する書類を作成し、知的財産について相談があればアドバイスするケースも見られます。

税理士

税理士は、税法・税務の仕組みや関連知識に精通している専門職です。この専門性を活かし、有資格者は、税務署類の作成をはじめ税金関係の申告書作成や申告手続きを引き受けます。また、税法の多くは仕組みが難解であるため、節税や税金対策について納税者の相談に応じる場面も少なくありません。加えて、企業に税務調査に立ち会うケースも見られ、税務署の職員に対応する作業も主な業務範囲に含まれています。

社会保険労務士

社会保険労務士は、社会保険や労働保険の関連法・ルールに通じた士業です。国家試験の合格者は、労働基準法や労働保険法の知識にもとづき、主に社会保険関係の手続きを取り扱います。社会保険は、保険料の計算や法改正に伴う変更点が複雑であり、関連する手続きを有資格者が代行するケースは一般的です。同時に、ビジネスの場では労務管理を担当する場合が多く、年金や人事制度の相談を受けることもあります。

行政書士

行政書士は、行政に関わる手続きを専門分野とする資格・職業です。有資格者は、業務依頼にもとづき行政関係の各種書類を作成し、管轄機関となる官公署へ提出します。会社設立や個人事業に伴う許認可申請は、行政手続きに該当する場合が多く、その関係で依頼を受ける傾向があります。また、新車の登録申請・相続関係の遺言書や内容証明の作成・行政手続きのアドバイスなども、この資格が関与する主要業務です。

土地家屋調査士

土地家屋調査士は、不動産登記や申請業務を専門的に取り扱う士業です。同調査士は、主に土地や建物を専門機器で精密に測量し、どこが周囲との境界になるか明確に把握します。その調査結果をふまえ、図面・書類を作成したうえで法務局に必要書類を提出し、不動産登記の申請手続きを行います。同時に、土地の境界線を明確化する「筆界特定手続き」により、不動産関係のトラブル防止につなげることも重要な役割です。

海事代理士

海事代理士は、船舶・海事関係をはじめ幅広い法律知識を有する専門職です。この代理士が手がける主要業務としては、船舶の登記・船舶免許の更新手続きや船舶運航事業の申請・届出が挙げられます。具体的には、業務依頼により各種書類を作成し、必要な手続きを進める仕事が中心的です。また、船舶の検査・安全管理・船員の労働条件や就業規則に関する書類作成や手続きも取り扱います。以上のように、8士業の主な業務内容は、いずれも専門性が高いうえ多岐にわたる特徴があります。

士業 主な業務内容
弁護士 民事事件・刑事事件で依頼者を弁護、訴訟業務、法律事務
司法書士 土地・不動産の登記、商業登記のサポート、登記変更、供託業務
弁理士 知的財産に関する特許出願の手続き、知的財産関係の相談対応
税理士 税務・税金関係の書類作成・申告手続き、節税・税金対策の助言
社会保険労務士 社会保険関係の手続き、労務管理、年金や人事制度の相談受付
行政書士 行政関係の書類作成、起業時の許認可申請、新車の登録申請
土地家屋調査士 土地や建物の測量調査、筆界の明確化、不動産登記の申請手続き
海事代理士 船舶の登記、船舶免許の更新手続き、船舶運航事業の申請・届出

8士業の主要業務を簡単にまとめると、上表の通りです。表記内容が示すように、それぞれの士業で専門分野には違いがあります。

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8士業|難易度、平均勉強時間は?

8士業|難易度、平均勉強時間は?

8士業は、資格試験の難易度に差が見られ、合格するのに必要とされる平均勉強時間は異なります。

8士業の合格率から見た難易度

8士業の難易度は、近年における合格率を見る限り、多少の差異がある状況です。ここ3年間の合格率は、それぞれ以下の結果となりました。2021~2023年(年度)の合格率を示すと、次の通りです。

2021(令和3) 2022(令和4) 2023(令和5)
弁護士
(合格者数/受験者数)
41.5%
1,421人/3,424人
45.5%
1,403人/3,082人
45.3%
1,781人/3,928人
司法書士
(合格者数/受験者数)
5.1%
613人/11,925人
5.2%
660人/12,727人
5.2%
695人/13,372人
弁理士
(合格者数/受験者数)
6.1%
199人/3,248人
6.1%
193人/3,177人
6.1%
188人/3,065人
税理士
(合格者数/受験者数)
18.8%
5,139人/27,299人
19.5%
5,626人/28,853人
21.7%
7,125人/32,893人
社会保険労務士
(合格者数/受験者数)
7.9%
2,937人/37,306人
5.3%
2,134人/40,633人
6.4%
2,720人/42,741人
行政書士
(合格者数/受験者数)
11.18%
5,353人/47,870人
12.13%
5,802人/47,850人
13.98%
人/46,991人
土地家屋調査士
(合格者数/受験者数)
10.5%
404人/3,859人
9.6%
424人/4,404人
9.7%
428人/4,429人
海事代理士
(合格者数/受験者数)
(筆記) 55.3%
167人/302人
(口述) 98.6%
209人/212人
(筆記) 55.1%
199人/361人
(口述) 98.5%
194人/197人
(筆記) 55.7%
228人/409人
(口述) 94.9%
223人/235人

8士業 2021年~2023年の合格率

2021年から3年間の試験結果を見ると、各々の合格率は、弁護士:約40~50%弱・司法書士:約5%・弁理士:約6%・税理士:約20%・社会保険労務士:6%前後・行政書士:12%前後・土地家屋調査士:約10%・海事代理士(筆記):約55%・同(口述):90%超となっています。

これらの数値をふまえた場合、合格率1割未満~約1割の司法書士・弁理士・社会保険労務士・行政書士・土地家屋調査士は難易度が高め、約2割の税理士は中程度、約4割~5割の弁護士・海事代理士は難易度が低めと考えられます。

法務省 司法試験の結果について (参照 2024-10)
法務省 司法書士試験 (参照 2024-10)
特許庁 弁理士試験|過去の試験結果 (参照 2024-10)
国税庁 税理士試験|過去の試験結果等 (参照 2024-10)
社会保険労務士試験オフィシャルサイト 合格発表|過去10年の推移と合格者の年齢階層別・職業別・男女別割合 (参照 2024-10)
一般財団法人行政書士試験研究センター 試験結果分析資料|最近10年間における行政書士試験結果の推移 (参照 2024-10)
法務省 土地家屋調査士試験 (参照 2024-10)
国土交通省 令和4年|乖離代理士試験(筆記試験)合格者の発表 (参照 2024-10)
日本海事代理士会関東支部 令和3年海事代理士試験合格者が発表されました (参照 2024-10)
日本海事代理士会関東支部 令和4年海事代理士試験合格者が発表されました (参照 2024-10)

平均勉強時間から見た難易度

8士業の資格試験で、試験合格に必要といわれる平均勉強時間は、およそ500時間~8000時間です。資格関連の情報サイトによると、それぞれの資格試験で合格に要する勉強時間(目安)は、以下のように示されています。

・弁護士:3000~8000時間 (1日4時間勉強して2年~5年と5カ月)
・司法書士:3000時間 (1日4時間勉強して2年と少し)
・弁理士:3000時間 (1日4時間勉強して2年と少し)
・税理士:2000~3000時間 (1日4時間勉強して1年4か月~2年と少し)
・社会保険労務士:800~1000時間 (1日4時間勉強して7~9か月)
・行政書士:500~1000時間 (1日4時間勉強して4~9か月)
・土地家屋調査士:1000~1500時間 (1日4時間勉強して9か月~1年)
・海事代理士:500時間 (1日4時間勉強して4か月)

以上の時間数が示すように、弁護士は、他7つの士業と比較して長時間の勉強が必要になるといわれています。また、司法書士・弁理士・税理士も、試験合格の目安とされる勉強時間は2000時間以上と長めです。一方、社会保険労務士・行政書士・土地家屋調査士・海事代理士は、平均で1000時間ほど勉強すれば合格できると見られています。これらの数字と合格率をトータルで見た場合、弁護士は合格率が比較的に高いものの長く勉強しないと合格は困難であり、難易度は高いと考えられます。

また、司法書士と弁理士は合格率が1割未満と低いため、同じく難しいといえる資格試験です。税理士は長めの勉強が欠かせず合格率は2割ほどにとどまり、やや難易度は高めと考えられます。さらに、社会保険労務士・行政書士・土地家屋調査士は比較的に短時間で合格可能ですが合格率が低く、割合に難しい試験と見てよいでしょう。それに対し、海事代理士は合格率が高めであり短めの勉強で合格できる可能性があるため、8士業のなかでは難易度が低めと考えられます。

士業 近年の合格率 平均勉強時間 難易度
弁護士 約42~45% 3000~8000時間 高い
司法書士 約5% 3000時間 高い
弁理士 約6% 3000時間 高い
税理士 約19~22% 2000~3000時間 やや高い
社会保険労務士 約5~8% 800~1000時間 やや高い
行政書士 約12~14% 500~1000時間 やや高い
土地家屋調査士 約10~11% 1000~1500時間 やや高い
海事代理士 筆記:約55~56%
口述:約95~99%
500時間 低め

なお、それぞれ合格率や難易度には多少の差があるものの、いずれも計画的に勉強すれば合格する可能性はあるといわれています。

8士業|平均年収は?

8士業|平均年収は?

8士業の年収は、資格によって違いはありますが、近年の全国平均で見ると約550万円~1,120万円です。厚生労働省のデータによると、それぞれの平均年収は、弁護士:1121.7万円・司法書士:1121.7万円・弁理士:1121.7万円・税理士:746.7万円・社会保険労務士:947.6万円・行政書士:551.4万円・土地家屋調査士:1121.7万円でした。

一方、資格関連サイトでは、公的データをもとに弁護士・司法書士・弁理士:971.4万円・税理士:746.6万円・社会保険労務士:780.9万円・行政書士:579.8万円・土地家屋調査士:971.4万円との金額が示されています。後者は2024年4月時点の情報であるのに対し、先に記したデータは現時点の数値であり、いずれの士業も年収金額が数カ月間で変動したと考えらます。

また、厚生労働省のデータを見る限り、海事代理士の平均年収は不明です。この士業は、他の士業を兼ねる傾向があり、具体的なデータは明示されなかったのかもしれません。ただし、一部サイトでは、100万~700万円の間ともいわれています。なお、現時点のデータをもとにランキングを記すと、次の通りです。

順位 士業 平均年収(全国)
1 弁護士 1121万7千円
1 司法書士 1121万7千円
1 弁理士 1121万7千円
1 土地家屋調査士 1121万7千円
5 社会保険労務士 947万6千円
6 税理士 746万7千円
7 行政書士 551万4千円
圏外 海事代理士 不明(100万~700万円)

上記の通り、8士業の平均年収(全国)ランキングは、弁護士・司法書士・弁理士・土地家屋調査士が同率で1位、その後は社会保険労務士・税理士・行政書士が5・6・7位となりました。なお、以上は現時点の順位であり、将来的に変わる可能性は否定できません。また、ここに示した年収金額は、全国的な平均値です。勤務地によって平均年収は異なる場合があり、独立して十分に収益が上がれば、年収は増えるとの声も聞かれます。

厚生労働省 弁護士 司法書士 弁理士 税理士 社会保険労務士 行政書士 土地家屋調査士 職業情報提供サイトjobtag(参照 2024-10)

8士業|将来性とキャリアパス

8士業|将来性とキャリアパス

8士業は、原則として試験に合格しないと資格を取得できず、有資格者は専門業務を独占的に取り扱える職種です。ただし、昨今はAIが普及した影響もあり、士業によっては将来性が懸念されるともいわれています。

AI普及の影響

AIの技術やツールは、現在、士業の分野でも普及しつつあると見られています。近年、AI技術の進歩は著しく、最先端の技術・機能はビジネスの場で幅広く用いられ始めました。実際に導入が進んでいる業界としては、医療分野や製造業、接客関係などが挙げられるでしょう。

AIを含めたコンピュータシステムは、膨大なデータの処理を迅速に行うことができ、人為的なミスを避けやすいところが大きな特徴です。この利点を活かし、以前は人が手がけていた作業をAIに任せるケースも増えてきました。ただし、さまざまな場面でAIが活用されるなか、仕事によっては人手が不要になるのではないかと懸念されています。とくに、事務作業をはじめ各種のルーティンワークは、AIに切り替わる可能性が高いと不安視されている業務です。8士業の分野も同様であり、今後、事務的な単純作業はAIに代替されるとの見方が有力です。

また、AI普及の影響から、人手が欠かせない業務以外は機械化・自動化が進むとも予測されています。このような状況のもと、士業で多くの業務がAIの担当になれば、有資格者が必要とされる場面は減少すると指摘されています。

将来に向けた対策

AIの導入が進む現状をふまえた場合、将来への対策として、人間の強みが活かせる業務に特化する方法は有効でしょう。人間は、機械やコンピュータに比べてコミュニケーション能力に優れているといわれてきました。現在も、他者の心情を理解して柔軟に対応する力は、AIより高いと認識されています。

8士業の場合、専門知識のある有資格者は、法律問題・登記手続き・特許の仕組み・税金対策などについて相談を受けるケースは少なくありません。さらに、労働問題・起業時の申請方法・土地トラブル・船舶関係の相談が寄せられる場面も見られます。

その際、有資格者が相談者の心情に寄り添う姿勢を心がければ、専門知識を活かして柔軟に受け答えることは難しくないでしょう。相手が何に悩んでいるか正しく理解した場合、適切にアドバイスできると考えられます。相談者のニーズに沿った受答えは、事務的・機械的と思われるリスクが低く、相手と良好な関係性を築くのに効果的です。

また、人間味のある親身な応対といった評価が広まれば、相談者が有資格者を頼りにする場面は増えると見込まれます。同時に、AI関係の知識・スキルを磨くことも、有資格者の必要性を高めるうえで大切と考えられます。これらの能力が上がり、各種ツールを駆使できるようになれば、AIが普及したなかでも活躍の場を広げやすくなると考えられるためです。以上のような対策で将来に向けて備えれば、AIの普及状況に関係なく、ビジネスの場で8士業の資格や専門性をキャリアアップに役立てられると期待できます。

なお、一部サイトでは、8士業のいくつかでAIに代替可能な業務の割合が多いとの声も聞かれます。そのような士業は、今後に備えて、AI普及への対策を急いだほうがよいかもしれません。

参考までに、改めて8士業の専門分野や将来性をまとめると次表の通りです。

士業 専門分野 難易度 平均年収 将来性
弁護士 法律問題の解決 高い 1121万7千円 高い
司法書士 法律関係の書類作成 高い 1121万7千円 やや高い
弁理士 知的財産の権利関係 高い 1121万7千円 高い
税理士 税法・税務関係の手続き やや高い 1121万7千円 やや高い
社会保険労務士 社会保険・労働保険関係 やや高い 947万6千円 高い
行政書士 行政関係の手続き係 やや高い 746万7千円 やや高い
土地家屋調査士 測量調査・筆界特定 やや高い 551万4千円 中~やや高い
海事代理士 船舶・海事関係の手続き 低め 不明 不明

さまざまな士業の違いが分かりにくい時、専門的な業務や試験の難易度を知りたい場合などは、参考にしてください

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