分かりにくい士業の違いについて

更新日:2022.05.09スタッフブログ

違いを比較する人

一口に士業といっても、いろいろな種類があります。それぞれ独立した分野でありながら、区別がつきにくいものも少なくありません。しかし、会社勤めや日常生活においてトラブルに見舞われた時など、それぞれの違いを把握していればどの士業に業務依頼するとよいか適切に判断できるでしょう。そこで今回は混同しやすい士業同士を比較しながら、それぞれの具体的な仕事内容をご説明します

この仕事は誰が?士業の違いを紹介

司法書士と行政書士

司法書士と行政書士は業務内容などが異なりますが、弁護士資格を持っていると両者の仕事も兼任できるため、境界線が曖昧になっている感は否めません。
司法書士は、登記手続きの代行をメイン業務に持つ専門家です。土地や建物は、所有者が自分名義であることを不動産登記によって示さないと、無関係の第三者が勝手に売買しても所有権を法的に証明できません。各種の物件を適切に取引するために名義を明確化する不動産登記は不可欠。その手続きを依頼者に代わって確実に処理してくれる専門家が、司法書士というわけです。

一方、行政書士行政機関に提出する書類、とりわけ「権利・義務」と「事実証明」に関する書類の作成が主な業務です。「権利・義務」関係であれば遺産分割の協議書や各種の契約書、また「事実証明」については現況の測量図や議事録などが挙げられます。また身近な例であれば、自動車を購入する時に必要となる車庫証明も含まれます。

基本的に司法書士は「登記手続き」、それに対し行政書士は「書類作成」がメインとなります。その理解をベースに、どちらに任せるかを判断して下さい。

税理士と公認会計士

税理士と公認会計士は、どちらもお金に関わる業務を扱っているため混同されやすい面があるものの、決して同じではありません。

お金に関わる業務

税理士は、税務に関わる業務が専門の士業です。所得税の確定申告において提出する各種書類の作成、申告手続きの代行、また申告内容について税務署から指摘を受けた時の不服申立などが知られています。そのほかには、個人事業をはじめた場合に節税対策として有効な青色申告の承認申請や、税金問題全般に関する各種相談も引き受けます。

公認会計士は、会計の専門家であり、企業・団体における会計の監査が独占業務です。クライアント企業が作成した財務諸表に正しい財務情報が示されているか、中立的な立場から評価します。コンサルティングも主要業務のひとつであり、会社経営について相談を受けることも少なくありません。その際には、経営戦略や組織の再編についてアドバイスします。

業務が重複する分野もありますが、税金関係の相談は税理士監査を依頼するなら公認会計士と考えておけば混乱しないでしょう。

土地家屋調査士と不動産鑑定士

土地家屋調査士と不動産鑑定士はいずれも不動産関係の資格であるため混同しやすいかもしれませんが、業務内容には明らかな違いがあります。
土地家屋調査士の役割は、不動産の物理的な状況を不動産登記に正しく反映させることです。そのため、登記対象となる物件の所在や形状、また利用状況について測量を含めた各種調査を実施します。同時に、正確な物理的状況の登記を申請する手続きも代行し、依頼者が登記官の処理を不当であると判断したら不服申立まで引き受けます。

不動産鑑定士は、不動産の経済的な価値を評価する専門家です。鑑定結果は日本全国における地価や取引価格、さらに課税額を決める時の指標あるいは参考基準として活かされています。具体的には、鑑定する不動産が所在する地域の環境などをふまえ、その物件の有効利用につながる適切な価格などを提示します。
土地家屋調査士は不動産の物理的な情報を正確に調べる必要があり、不動産鑑定士はどれくらいの価値を与えれば土地活用につながるのか、考えなければならないわけです。

不動産売買を行う人

中小企業診断士と公認会計士

中小企業診断士と公認会計士は、どちらも企業経営に関わるという意味では共通点があります。しかしそれぞれの役割に目を向けると、違いが見えてくるでしょう
中小企業診断士は「中小企業支援法」により規定された国家資格です。経済産業省令では、中小企業の経営診断とともに助言も主要業務として位置づけています。基本的に中小企業を成長へと導く支援活動が大切な役割であり、経営診断もクライアント企業が抱える課題を探ることが目的です。

有資格者は、会計に限らず企業の発展に貢献するための専門知識が求められます。また、企業と行政機関・金融機関などとのパイプ役になるなど幅広い活動も期待されています。もちろん成長戦略の策定や、それを実行するための具体的な計画立案も重要な任務です。
中小企業診断士は、依頼してきた中小企業の運営を成功させるため、日頃から多岐にわたる知識やスキルの習得を心がける必要があります。一方、公認会計士の主要な業務目的は、財務に関わる情報が間違っていないか見落とさないことです。経営者目線で企業支援を重視する中小企業診断士に対し、公認会計士はより中立的な立場を重視してアドバイスを提供します。

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