ビジネスにおけるパーパスとは?基礎知識を解説!
更新日:2023.06.30スタッフブログ本来、「パーパス」は「目的」などを意味する言葉ですが、ビジネスの場では限定的な意味合いで用いられています。近年は、激しい社会変化の影響もあり、多くの企業から注目を集めています。現在のビジネスシーンにおける意味を理解すれば、企業を運営するうえでメリットを得られるかもしれません。そこで今回は、「パーパス」の本来的な意味・ビジネスシーンでの使い方・企業にとってのメリットなどをご紹介します。
目次
「パーパス」の意味や注目される理由
「パーパス」は、近年のビジネスシーンにおいて、本来の意味から派生した特別な意味合いを与えられている言葉です。以下では、本来の意味をふまえつつビジネスの場における使い方や多くの企業に注目される理由をご紹介します。
本来の意味や語源
英語の「purpose」は「目的・目標・意図」などの意味がある単語です。また、道具の使用目的を示す「用途」や目的を達成するための「決意」を指す表現としても使われています。さらに、人や物が存在する「理由」や何か行動する時の「意義」を意味する使い方もあります。
パーパスの語源とされる言葉は、アングロ・フランス語の「purpos」です。もともとパーパスは、この古いフランス語から12世紀頃に派生したといわれています。1300年頃に名詞として記録があり、14世紀後半には動詞としての使い方も登場します。
ビジネスシーンにおける意味
近年のビジネスシーンにおける「パーパス」の意味は、企業が存在する「目的」「理由」「社会的意義」などです。通常の使い方と異なり、社内業務や各作業の目的・目標を幅広く指しているわけではありません。企業の「存在価値」を意味する言葉として、限定的に使っているところが大きな特徴です。
そのため、ビジネスシーンのパーパスは、限定的な意味で「何のために自社は存在しているのか」と聞かれた時の答えになります。経営者の考えを反映した経営理念や企業の方向性を示す経営ビジョンと違い、パーパスは企業の存在意義を指します。
企業の存在意義を意味するパーパスは、事業運営を進めるうえで基本的な指針になるものです。経営ビジョンが目指す目標に位置づけられるため、最近は企業の存在理由としてパーパスを掲げるケースが増えています。
多くの企業に注目される理由
近年、パーパスが多くの企業に注目される理由は、企業に対する社会的なニーズや評価の基準が変わったためです。ここ数年、国内外では、持続可能な世界の実現につながる事業運営を企業に求める声が高まっています。企業の社会貢献に対するニーズが増えた主な要因は、2015年の国連サミットにおけるSDGs(持続可能な開発目標)の採択です。
また、投資家が企業を評価する時の基準も変わりました。世界各地で持続可能性が重視されるなか、多くの投資家は、企業が株主だけでなく社会にも利益をもたらせているか着目し始めています。世界の企業は、経済発展に寄与するとともに社会貢献を果たす役割も求められ、パーパスにより企業の社会的存在意義を示すことの重要性が増しています。
パーパスを掲げるメリット
企業がパーパスを掲げるメリットは、社会的な信頼を高められるところなどです。他にも、さまざまなメリットが得られると期待できます。以下では、パーパスの掲示がもたらす主なメリットをご紹介します。
社会や投資家からの信頼性向上
パーパスは企業が存在する社会的な意義を示せるため、社会や投資家からの信頼感を高めるのに効果的です。企業がパーパスを掲げる時は、なぜ自社が存在しているのか、理由・目的を説明することになります。利潤追求は避けられないものの、社会貢献につながる事業を重視する姿勢も示せます。
SDGsの実現を目指す事業に取り組めば、社会的な印象はよくなるでしょう。採算性を気にせず積極的に事業展開した場合、消費者にとどまらず投資家や株主からの評価も上がると考えられます。社会貢献を重んじるパーパスのもと、SDGsを意識した商品開発で売上が伸びれば、企業にとっては大きなメリットです。
従業員の一体感強化
従業員の一体感を強化できるところも、パーパスの掲示で得られる大きなメリットに挙げられます。企業が掲げるパーパスは、従業員にとって仕事の意義が示されたものです。社内で共有した際、お互い社会貢献を目指して働いているとの意識が生まれれば、従業員同士の一体感は強まると期待できます。
また、パーパスが明示されると従業員は社会に役立っていると実感できるため、仕事のモチベーション向上にも有効です。さらに、顧客から称賛の声を聞ければ、働く意欲は高まるでしょう。仕事のモチベーション向上により作業効率がよくなった場合、生産性も上がると考えられます。
意思決定の迅速化・認知度の向上
企業によるパーパスの掲示は、意思決定の迅速化や認知度の向上につながる方法としても有用です。パーパスで企業運営の指針が明確に示された場合、経営戦略の方向性に関する意思決定はスムーズになると期待できます。社内への意思伝達が速やかに進められれば、各部署の業務効率も上がると考えられます。
また、企業がパーパスにもとづき社会貢献に努めた場合、その姿勢を支持する消費者は増えるでしょう。企業への支持が多くなるにつれ、社会的な認知度は向上すると見込めます。パーパスの明確化は企業と従業員にとって有益であり、経営上の指針として掲げるケースは増えています。
パーパスの策定手順
企業でパーパスを策定する時の手順は、パーパスの明確化・文面の作成・実行および改善の3段階に大きく分けられます。以下では、各ステップの概要や留意したいポイントをご紹介します。
パーパスの明確化
企業の存在理由・存在目的・存在意義を検討する段階です。業務目標や作業目的と異なり、パーパスは経営上の指針になる必要があります。立派な指針でも実態を伴わないと社会的な信頼や評価を得られないため、実行可能な内容であることが大切です。
また、人々からは社会的な存在意義を問われるため、社会貢献につながるパーパスが求められます。そのため、利益を追求するだけでなく現時点の社会的課題に取り組む姿勢も示す必要があります。これらのポイントを押さえたパーパスであれば、消費者や株主・投資家の支持を得やすくなるでしょう。
文面の作成
パーパスの内容を具体的な言葉で表現する作業となるのが文面の作成です。このステップで重要になるポイントとしては、分かりやすさが挙げられます。難解な文面より平易な言葉を使った表現のほうが理解しやすいため、社内全体で共有できると考えられます。
また、従業員のモチベーション向上につながることも大切なポイントです。それぞれの従業員が働く意義を感じられる文面は、仕事の意欲を高めるのに大きな効果を発揮するでしょう。企業の存在理由や存在意義を平易に表現すれば、社会にも企業の方向性や経営姿勢を分かりやすく伝えられると考えられます。
実行および改善
パーパスを策定した後は、実行および改善が不可欠です。企業でパーパスを掲げた際、さまざまな活動のなかで実行に移すと社会的な認知度や評価の向上につながります。社会貢献につながる商品開発は、企業の評価や信頼性を高めるのに効果的です。
ただし、すべてのパーパスを速やかに実行できるとは限りません。パーパスが実態を伴わない状態は、「パーパスウォッシュ」と呼ばれています。この状態は信頼感の低下を招くため、改善が求められます。パーパスウォッシュを避けるには、無理せず企業の強みが活かせるパーパスを策定することが得策です。
これからパーパスを検討する場合、理想を求め過ぎず実行できる範囲で策定することをおすすめします。
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