携帯電話からスマホへ、その進化の歴史をたどる

更新日:2022.05.06スタッフブログ

とても大きな昔の電話

わたしたちの生活の一部になくてはならない存在となった、携帯電話とスマートフォン。今やスマート決済や利便性の高いアプリケーションなど、あらゆる世代に多くの恩恵を与え続けてくれる存在です。今回は、日本初の携帯電話の登場から、スマートフォンが普及するまでの歴史をご紹介します

携帯電話とモバイル通信の歴史

携帯電話の誕生はいつ?

日本で初めて携帯電話が登場したのは、1970(昭和45)年です。この年の3~9月、大阪府で日本万国博覧会が開催されていました。その会場内にあった「電気通信館」で展示・実演された、電話線を必要としない「ワイヤレス電話機」が、携帯電話の初期の姿と考えられています。

その7年後、1979(昭和54)年には携帯電話の前身ともいえる「自動車電話」のサービスが開始されます。1985(昭和60)年には、電話機自体を独立させた「肩掛け型携帯電話機(ショルダーホン)」が登場、携帯電話機のサービスが始まります。当時の電話機は、無線機や内臓電池の小型化が進む前だったため、重さはなんと約3kgもあったといいます。気軽に持ち運べるという雰囲気は、この頃の電話機にはありませんでした。

その2年後、1987年にはショルダーホンを小型化した電話機が発売され、「携帯電話」という呼び名が世の中に普及し始めます。それでも、当時の携帯電話機は約900gの重さがあり、サイズは「高さ120mm×幅42mm×厚さ180mm」と大きいものでした。当初は必要な方だけが持ち歩くという電話も、1990年代後半には、電話機の小型に伴い、「国民の2人に1人」が携帯電話を所有する様になり、少しずつ変化を遂げていきます。この当時は、充電式電池の性能や、ICチップなどの省電力設計が今ほど高くなかったこともあり、ほとんど何も使わなくても1日で電池を消耗してしまうほどでした。

PHSサービスの登場

PHSは、「Personal Handy-phone System」の略で、簡易型携帯電話のことです。1995(平成7)年にサービスが始まったこの電話タイプは、携帯電話よりも料金が安い上に、音質が良いというメリットで人々の心をつかみます。その後、徐々に携帯電話の料金が値下げされたことで、利用者は減少していきました。
それでも、PHSの需要が完全になくなったということはありません。国内でPHS事業を展開する企業が今なお存在することが、その証拠です。今でも内線電話としてPHSを用いている法人も少なくありません。さらに、アプリやインターネットを使用しない通話専用機として、2台持ちするユーザーもいます。

PHSは、遠距離になるほど料金が高くなるという特徴があります。そのため状況によっては、携帯電話よりも通話料金が高額になることも。PHSは、携帯電話と比べると電波が微弱なため、電磁波の影響が心配される医療の現場に適した電話機器といえます。不要なものを省き、最低限の機能が搭載されたPHSも登場しています。携帯電話は携帯電話の、PHSはPHSの、それぞれの需要に合わせた変化がこれからも進んでいくでしょう。

携帯電話でインターネット、テレビも!

携帯電話にインターネット接続サービスが開始されたのは、1999(平成11)年のことです。携帯電話の端末から、インターネットを通じて必要な情報を得られるという便利な時代の幕開けとなります。携帯電話にカラー液晶が導入されたのも、この時期でした。

カメラ付き携帯で撮影する女性

携帯電話にカメラやオーディオ機能が登場したのは、2000(平成12)年のことです。翌年2001(平成13)年になると、第3世代携帯電話の商用サービスがスタート。料金は通常の通話より数倍以上とかなり高かったものの、携帯電話でテレビ電話が楽しめる様になりました。その3年後の2004(平成14)年には、電子マネーサービスが登場します。携帯電話にICチップが搭載されたことで、この小さな機器を日常的に手放せなくなる人々が増えていきます。電子マネー機能にチャージさえすれば、買い物ができるだけでなく、電車にも乗れる様になりました。

携帯電話で地上デジタル放送(ワンセグ)が楽しめる様になったのは、2006(平成16)年のことです。同じ頃には、パケット通信費が定額となるサービスが開始、携帯電話専用のWebブラウザやアプリケーションも標準で利用できるようになり、メールや通話機能しかなかった機器に付加価値がつきました。

通信面だけでなく、オレンジや蛍光緑といったおしゃれな色が用意される機種や、ワンセグが視聴しやすい方向に画面を動かせる機能、Bluetoothやステレオで音声を再生するスピーカーを標準で搭載するなど、単なる携帯電話の枠を超え、マルチメディアを楽しむ機器としても進化しました。日本独自で多機能化した携帯電話は、後のスマートフォン登場後、ガラパゴス諸島の独特の生き物になぞらえて、ガラパゴス携帯から略した「ガラケー」と呼ばれるようになります。
この頃には、自動車運転中の携帯電話の使用が罰則化されるほど、人々の生活に欠かせないアイテムとして定着していったのです。

iPhone、スマートフォンの登場

Appleが「iPhone」を発表したのは、2007(平成19)年のこと。その翌年には、日本でiPhone端末が発売になります。当初はソフトバンク一社のみが取り扱っていましたが、iPhoneが日本に上陸したことで、世間の注目度は一気に加速します。
2009(平成21)年には、Android搭載の端末が発表され、いよいよ本格的なスマートフォン時代への幕が上がります。その後、iPhoneがKDDI(au)からも販売が開始され、そして最後にNTTドコモからも開始されました。2012年以降は急激なスマートフォンの普及が進み、パソコンと遜色ない機能が提供され、インターネットへの接続は、PCから徐々にスマートフォンへ移行をはじめました。2015年頃には、スマートフォンがPCを逆転したと考えられています。

そして、利用されるコンテンツやコミュニケーションツールにも変化が生じます。かつてはEメールやCメール(au携帯電話のみで利用できる、電話番号でやりとりをするショートメッセージサービス)でのやりとりが一般的でしたが、TwitterやFacebookなどのSNSが人気を集め、LINEをはじめとするメッセンジャーアプリも登場、コミュニケーションのあり方が大きく様変わりしました。電話をするツールでありながら、電話機能があまり利用されなくなってきたのです。
他にも、スマートフォン内蔵カメラによる自撮り(セルフィー)と呼ばれる、自分自身や友人との撮影が流行しています。有名人もインスタグラムなどで積極的に自身の画像を広めているため、スマートフォンを通じて行うコミュニケーションには必須の機能となっています。

また、通信費やスマートフォン本体の販売にとどまらないビジネスが繰り広げられるようになります。スマートフォンのカメラでアングルを決めやすくする自撮り棒(セルカ棒)や、色や材質が豊富な専用ケース、液晶保護フィルム、タッチペン、充電を行うモバイルバッテリーなどの周辺機器・周辺グッズが多数出回るようになったほか、それまでは携帯電話ショップでしか受け付けられなかった本体修理サービスをする業者が出てきたり、本体の設定を代行するサービスも出てきました。

流行する自撮り

スマートフォンの格安通信料金サービスが登場

そして、次なる変化は「MVNO」というコスト面にも現れます。MVNOとは、「Mobile Virtual Network Operator」の略で、「仮想移動体通信事業者」を指します。これは、他社から携帯電話回線などの無線通信インフラを借り、音声通信やデータ通信サービスを提供する業者のことです。回線を借りているため、維持や運営にかかる費用が抑えられ、浮いたコストを利用者に「安い料金」として還元するのです。それまでは、プランによっては1万円ほどかかるような通信料金を、MVNOに変更すれば数千円まで下げられると話題になりました。当初は、日本で流通していたスマートフォンはSIMロックがかけられており、利用できる機種が限られていたのですが、SIMロック解除の義務化をはじめ、ハイスペック機・人気機種が使える様になるなど、普及の兆しがみられるようになります。

これからのモバイル通信

そして、これからは「5G」が普及していくと予想されています。5Gは、それまで普及していた4Gよりも更に速く、快適に利用できるよう定められた次世代の通信規格です。同じ通信量であっても、それをできるだけ早く完結させると、空いた帯域を他の人が利用できるようになるといった発想も盛り込まれているようです。
また、通信を行う端末がPCやスマートフォンにとどまらなくなっています。中でもスマートスピーカーが代表として挙げられるでしょう。スピーカーに話しかけるだけで、明日の天気をインターネットから取得して音声で教えてくれたり、好みの音楽を流す、部屋の照明や冷暖房をコントロールするといったことが可能となりました。

その他、自動車に関しても通信回線に接続するようになり、自動運転機能搭載車ではブレーキの制動距離を改善するなどのアップデートに用いられたり、渋滞路をリアルタイムに反映し、空いている道を案内するカーナビゲーション機能なども徐々に実現してきています。
携帯電話サービスが開始されてから、30年を超える月日が流れました。この先また、どのような進化でわたしたちを驚かせてくれるか、楽しみでもあります。

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