【インタビュー】「AIには読めない空気がある」――SV歴10年が語る、人間が電話に出る意味
2026.06.26

法律事務所の次は工務店。相手の第一声を聞いた瞬間に、声のトーンも言葉遣いも変わります。マニュアルには書ききれず、データだけでは表しにくいものがあります。電話代行サービス株式会社でSV(スーパーバイザー)として10年以上現場を見てきた管理者に、「人が電話に出る意味」について話を聞きました。
電話一本ごとに、求められる対応は違う
今回話を聞いたのは、電話代行サービス株式会社でSV(スーパーバイザー)として10年以上、現場の電話対応やオペレーターの育成に携わってきた東山さんです。
法律事務所や工務店、不動産会社、医療機関など、さまざまな業種の電話対応を見てきた立場から、「人が電話に出る意味」について聞きました。
――電話対応というと、「決まったことを案内する仕事」というイメージがあります。
でも実際の現場は、そう単純ではないのでしょうか。
「法律事務所の電話の次に、工務店のお客様から電話が入ることもあります。相手によって求められる距離感や話し方は全然違うんです」
東山さん(電話代行サービス株式会社 SV・歴10年)
電話対応というと、「決まったことを案内する仕事」というイメージを持たれることがあります。しかし現場では、一本ごとに求められる対応はまったく異なります。
同じ敬語でも、堅すぎると相手との距離が生まれてしまうことがあります。一方で、少し親しみやすい話し方が求められる場面もあります。
東山さんによると、電話に出て数秒もすれば、相手が急いでいるのか、それともじっくり話を聞いてほしいのか、おおよその雰囲気が伝わってくるそうです。そのため、話すスピードや声の大きさ、言葉選びまで自然と変わっていくといいます。
「女優みたいな仕事」という表現
東山さんの話を聞いていると、相手に合わせて話し方を変えることが、日常的に行われていることが伝わってきます。
――お話を聞いていると、本当に相手によって話し方を変えているんですね。
「そうですね。例えるなら、女優みたいな仕事かもしれません。」
一日に何十社もの電話を担当するため、会社ごとに求められる雰囲気も異なります。「会社の顔」として受電する以上、その会社らしい印象を電話口で伝えることも、オペレーターの大切な役割です。
申し訳なさを伝えるべき場面もあれば、明るく元気な対応が求められる場面もあります。同じ人が電話に出ていても、相手や状況によって声のトーンは自然と変わります。
――話し方を変えることで、相手の反応も変わりますか?
「相手に合わせて話し方を変えることで、会話がスムーズに進むことも多いですね。」
マニュアルだけでは対応できないことがある
電話対応の現場では、想定外の問い合わせも少なくありません。質問の内容だけでなく、焦りや困惑、不安などの感情が電話越しに伝わってくることもあります。
――電話では、相手のどんなところを意識して聞いていますか?
「何を話しているかだけじゃなくて、どういう声で話しているかも大事なんです」
実際には、同じ「大丈夫です」という言葉でも、安心している方と、不安を隠している方では声のトーンがまったく異なることがあります。
言葉だけで判断せず、相手の様子を感じ取りながら会話を進めることも、経験を積んだオペレーターだからこそできる対応の一つです。
声のトーン、話す速さ、言葉の間。そうした小さなサインから相手の状況を想像し、対応を調整していきます。
経験が積み重なって「判断力」になる
新人時代には目の前の電話に精一杯だったことも、経験を重ねることで「この場合はこう対応すると安心していただける」という引き出しが少しずつ増えていきます。
――電話対応の力は、どのように身についていくのでしょうか。
「最初からうまくできる人はいないと思います。」
――経験を積む中で、大切だと感じていることはありますか。
「後から振り返って、『あの時はこうした方が良かったな』と考えることもあります。その積み重ねが今の自分を作っていると思います。」
電話対応には、いつも一つの正解があるわけではありません。
だからこそ、一件一件の対応を振り返りながら、自分なりの判断基準を少しずつ増やしていくことが大切だと東山さんは話します。
その積み重ねが、電話対応の品質につながっているといいます。
デジタル化が進む今だからこそ、人の声が求められる場面がある
Webフォームやチャット、AIによる対応が普及し、問い合わせ手段は大きく変化しています。一方で、電話には今も、急ぎの相談、複雑な事情説明、不安を伴う問い合わせが寄せられています。
人と話したい。話を聞いてほしい。
そうした場面は、今もなくなっていません。
――最後に、電話対応の仕事について改めて感じることを教えてください。
「みんな普通にできているから、あまり意識したことはなかったんです。でも改めて言葉にすると、みんな本当に頑張っている仕事なんだなと思います」
電話対応は、単に問い合わせを受ける仕事ではありません。企業と利用者をつなぎ、不安を安心へ変える大切な接点でもあります。
デジタル化が進む時代だからこそ、人の声だからこそ届けられる安心感があります。電話一本には、数字だけでは測れない価値があります。

編集後記
今回のインタビューを通して印象的だったのは、「相手の第一声で話し方を変える」という言葉でした。普段は当たり前のように行われている電話対応ですが、その裏には、一件一件の経験の積み重ねや、相手に寄り添おうとする姿勢があります。
電話は単なる問い合わせ窓口ではなく、企業とお客様をつなぐ最初の接点です。
AIやデジタルツールの活用が進む今だからこそ、人でしか届けられる安心感について、改めて考えさせられるインタビューとなりました。当社では、これからもお客様一人ひとりに寄り添う電話応対を大切にし、安心してお任せいただけるサービスの提供に努めてまいります。

