知っておきたい「リベンジ消費」の基礎知識
更新日:2023.06.13ビジネス豆知識リベンジ消費とは、コロナ禍の沈静化に伴う消費活動の活性化を期待する動きです。現在ビジネスの場では、感染予防のため自粛生活に努めた消費者の購買意欲が高まると見込まれています。ただし実際のところ、業績の回復状況は業種によって差が生じています。消費者にリベンジ消費を促すには、企業側で対策する必要があるでしょう。そこで今回は、リベンジ消費の意味や現状をふまえ、企業に望まれる対策などをご紹介します。
目次
リベンジ消費の意味や見通し
「リベンジ消費」は、コロナ禍の脅威が弱まるなかで登場してきた表現です。コロナ禍で実施された数々の行動制限が緩和されることで、2年ほど低迷した消費活動は回復すると見込まれています。以下では、この言葉の意味や今後の見通しについてご紹介します。
リベンジ消費の意味
リベンジ消費とは、コロナ禍により落ち込んだ消費活動の活性化を期待して使われている言葉です。2019年末頃からコロナ禍が猛威を振るうと、世界各地は感染対策に追われました。2023年現在、予防接種やマスク着用によって一時期に比べると感染リスクは減り、外食や旅行に関する制限は、緩和されてきました。
従来の行動が可能になり始めたのに伴い、国内で期待されていることが消費活動の回復です。多くの業種がダメージを受けたコロナ禍に「借りを返す」意味合いで、「リベンジ」の表現が使われています。海外では経済状況がコロナ禍以前のレベルに回復している国・地域も見られ、日本でもリベンジ消費に向けた動きは盛んになっています。
今後の見通し
今後の見通しについては、さまざまな意見が聞かれており、統一的な見解が示されていない状況です。最近は治療薬の開発もあり、感染者が重症化するケースは減少しつつあるとされています。緊急事態宣言が出された頃より外出しやすくなりました。とはいえ、コロナ禍が完全に収束したわけでなく、外出時にマスクを外すか判断に迷う状況が続いています。
コロナ禍が再燃する可能性は皆無ではなく、今後の見通しについては人によって意見が異なっています。国内景気は回復傾向にあるといわれるものの、元に戻るまでには時間がかかると指摘する声も少なくありません。また、コロナ禍で生活スタイルが変化したケースも多く、消費活動も簡単には元通りにならないだろうともいわれています。
リベンジ消費の期待度
リベンジ消費に対する期待度の高さは、業種や商品・サービスによって違いが見られます。これから国内消費が活性化すると高く期待される業種は、アパレル分野やレジャー関係です。アフターコロナで外出する機会が増えれば、外出時のオシャレや旅行・アウトドアにお金をかける消費者は多くなると見込まれています。
消費者の購買意欲が高まると予想される商品・サービスは、美容アイテムや体力づくりのジャンルです。外出中は在宅時より周囲の目が気になり体力も消耗すると考えられるため、化粧品やスポーツジムの需要は増すと期待されています。一方、コロナ禍でステイホームが定着した家庭では、自炊に用いる家電や自宅で楽しめる動画配信サービスのニーズが大きくなると考えられています。アフターコロナの見通しは楽観視できませんが、それでも企業が消費者から何を求められているか的確に把握すれば、リベンジ消費の活性化につなげられるでしょう。
リベンジ消費の現状
2023年4月現在、リベンジ消費は業種によって好不調が生じている状況です。以下では、いずれの事業分野で業績の回復を実感しているか、あるいは収益が伸び悩んでいるかご紹介します。
業績の回復を実感している業種
現在、客足が戻り始め業績が回復しているとの実感が見られるのは旅行業界や美容の分野です。旅行業界はコロナ禍で多大なダメージを受けましたが、リベンジ消費で景気が上向いているといわれています。多くの人々は自粛生活で外出を控えたため、その反動もあり旅行に多額の費用を投じていると考えられます。美容の分野も、リベンジ消費で客足や業績が戻ってきた業種の代表例です。美容院やエステ店は来店客と直接に接触するため、コロナ禍で客足は減ったとされます。現在は行動制限が緩和され作業しやすくなり、業績は回復傾向にあるようです。
そのほか、イベント関係やライブ活動も、以前の賑わいを取り戻しつつあるとされています。最近は各地のイベント・ライブで感染対策が徹底され、大勢の参加者が集まってもクラスター感染は発生しにくいと考えられています。また、デパートなどの大型商業施設も感染するリスクが下がったと考えられ、来客数の回復につながっています。
収益が伸び悩んでいる業種
リベンジ消費の活性化が期待されるなか、収益が伸び悩んでいるとされる業種は外食産業や自動車業界です。外食産業は、行動制限の緩和により一定レベルまで客足が戻りました。ただし、ステイホームの影響で自炊のメリットが見直されたこともあり、かつてに比べると収益は伸びていないとされます。現在は対面での接客も問題なくなり、企業が飲食店で忘年会や新年会を開催するケースも増えてきました。とはいえ普段は早めに帰宅する生活が習慣化し、日常的に外食する消費者は減ったといわれています。
自動車業界は、コロナ禍の影響で間接的に業績不振が起きた分野です。多くの企業でオンライン業務が増加すると自動車製造に必要な部品が不足し、生産量を減らす事態に見舞われています。実際に自動車業界で供給が追いつかなくなった部品は、半導体です。コロナ禍でオンライン業務が急増するなかコンピューター機器の需要が高まり、自動車製造に使う半導体が不足する事態に発展しました。さらに部品不足は商品の値上げを招く場合もあり、販売価格の上昇がリベンジ消費を妨げるケースも見られます。
企業に望まれる対策
アフターコロナで企業が消費者の購買意欲を刺激するには、効果的な対策を実施することが大切です。以下では、顧客にリベンジ消費を促すうえで企業に望まれる対策をご紹介します。
生活スタイルの変化に対応
企業がリベンジ消費を活性化する際は、消費者の生活スタイルの変化に対応する必要があると考えられます。コロナ禍は、このまま収束するとは限りません。新型コロナも、インフルエンザと同様に冬場を中心として流行を繰り返す可能性があります。今後も、ウィズコロナの生活は続くかもしれません。
その場合、企業が再度のコロナ禍による消費の低迷を避けるには、消費者の生活スタイルの変化に対応することが求められます。再び気軽な外出が難しくなっても、適切に商品開発や販売方法を変える柔軟性が欠かせなくなると考えられます。さらに従来の経営方法が通用しなくなる可能性もあるため、既成概念に縛られない意識も重要です。
顧客ニーズの把握
企業がアフターコロナのリベンジ消費を促進するには、顧客ニーズを把握することも不可欠です。多くの業種では、顧客ニーズに応えた商品・サービスを提供すると収益増進に結びつきます。消費者の要望を認識する重要性は、今後のリベンジ消費を活性化する場合も変わりません。消費者が何を求めているか的確に把握すれば、高い需要のある商品・サービスを開発しやすくなります。
販売方法も、店頭販売だけでなくネット通販なども導入しておくと、ステイホームに慣れた消費者の購入を促すのに有効です。また決済方法も、現金払いからクレジットや電子マネーによるキャッシュレス決済まで選択肢を増やせば、購買意欲を刺激できる可能性があります。コロナ禍が落ち着いても、何も対策せずにリベンジ消費の活性化を期待するのは難しいでしょう。これからアフターコロナの収益増を見込んでいる場合、消費者の動向を把握することは大切と考えられます。
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