マインドフルネスとは?企業が導入するメリットは?

更新日:2023.02.20ビジネス豆知識

マインドフルネスヨガ

近年、社員研修や従業員マネジメントの一環で「マインドフルネスプログラム」を導入する企業が増えています。マインドフルネスとは、“今”に意識を向けた心に偏り・乱れのない状態を指すことばです。その状態へ到達するために、主に瞑想やヨガが活用されています。本記事では、マインドフルネスの基本概念やビジネスパーソンに与える効果・メリット、実践時の注意点などをご紹介します。大手企業の導入事例にも触れますので、ぜひ参考にしてください。

マインドフルネスとは?

マインドフルネスとは「今、この瞬間に起きている・経験していることがら」に対する意識の向け方や状態、課程を指すことばです。心理学的治療法の一種であり、その基本的な考え方を取り入れた瞑想やヨガが広く知られます。マインドフルネスが注目されたのは、ここ数年のこと。

「Yahoo!」や「Google」といったグローバル企業が、ストレスマネジメントの一環でマインドフルネス瞑想、マインドフルネスヨガなどを採用し始めました。マインドフルネスの起源は大きくわけて2つあります。ひとつは、1950年代に米国内で起きた“禅ブーム”を起因に広まったもの。米国における仏教史では、禅によって得られる「不動の思考」をマインドフルネスと称し、日系ではない米国人を対象に教えていた経緯があります。もうひとつは、医療としてのマインドフルネスです。

参考:マインドフルネスの由来と展開 ―現代における仏教と心理学の結びつきの例として―

マインドフルネスが注目されたワケ

マインドフルネスの本質は、さまざまトレーニングを通した「気づき」にあります。現代のビジネスパーソンは膨大な情報源に囲まれており、「将来への不安」と「過去の後悔」を同時に、あるいは交互に考えながら慌ただしい日々を過ごしています。それにともない、自分の“今”を見つめ直す機会はほとんどなくなりました。本当に重要なのは“今”であり、現在直面していることがらであるにも関わらず、人は将来(未来)や過去にばかり目を向けがちです。

マインドフルネスにより、現在直面している“今”に意識を向けることで、心身状態を再認識できます。たとえば、「部下に対して怒りっぽいな」「ストレスが溜まっているな」「不調で仕事の生産性が落ちているな」などの形です。「当たり前だし、誰でもできること」と感じるかもしれませんが、実際はほとんどのビジネスパーソンが実行できていません。結果、気づかないうちに疲労やストレスが溜まっていたり、倒れるまで働いてしまったりする人が出てくるのです。

それだけ現代のビジネスパーソンは、「自分が見えていない状態」にあります。マインドフルネス瞑想などは、自分の“今”を見つめ直すきっかけになるとともに、冷静で穏やかな心を取り戻すためのトレーニングとなります

マインドフルネスの効果は?

マインドフルネスの効果は、大きくわけて5つあります。

  1. ストレス軽減
  2. 脳の活性化
  3. 痛みの緩和
  4. うつ病や燃え尽き症候群などの予防
  5. 老化防止

カーネギーメロン大学の「デイビッド・クレスウェル」准教授の実験によると、マインドフルネスは脳の前頭葉に効果があることが分かりました。具体的には、背外側前頭前野と呼ばれる前頭葉の一部を活性化させることで、脳が休息状態へと移行。ストレス軽減につながります。

これはうつ病や燃え尽き症候群など、精神疾患の予防にも効果があるとされます。同様にハーバード大学での研究チームは、マインドフルネスが小脳や海馬などの体積を増加させると発表しました。結果的に脳の活性化を促し、記憶量や集中力、クリエイティビティ(創造性)の向上が期待できます

企業がマインドフルネスを取り入れる3つのメリット

近年、社員研修や従業員マネジメントにマインドフルネスを取り入れる企業が増えています

そのメリットは、次の通りです。

  1. 従業員のセルフマネジメント能力が高まり、ストレスが減少する
  2. 従業員の意思決定力や集中力が向上する
  3. 従業員の“心の筋肉”が鍛えられる

ハーバード大学の研究チームにいわく、マインドフルネスが偏桃体と呼ばれる脳部分に反応するとのことです。偏桃体は「感情の中枢」と称される部位で、怒り・不安といったストレスレベルに影響する情動をコントロールする働きがあります。

その働きを緩やかにすることで、感情をコントロールしやすくなり、ストレスレベルも低下するとされます。さらにマインドフルネスは、前帯状皮質と呼ばれる脳部分を活性化させ、集中力を高める効果があるとされます。個々の意思決定力、ひいてはセルフマネジメント能力向上が期待できるため、ビジネスパーソンにおいては有効なのです。

また、マインドフルネスは“心の筋トレ”とも比喩されます。着実に継続すれば、仕事や対人関係へのストレス耐性・・・つまり“心の筋肉”が鍛えられます。気持ちに余裕が生まれると、他人はもちろん、自分自身にも思いやりが持てるものです。結果、社内における対人関係の改善や、うつ病・燃え尽き症候群などの精神疾患に効果があるとされます。

瞑想方法と注意点

マインドフルネスの基礎となるのは「瞑想」です。その方法と注意点を見ていきましょう。まず、瞑想はヨガなどと同じく、正しい呼吸法を身につけることが重要となります。

瞑想を始める前に、以下の手順に沿って呼吸を整え、心を穏やかにしてください。

  1. 背筋を真っ直ぐ伸ばして椅子に浅く腰かける
  2. 軽く目を閉じる
  3. 7秒を目安に鼻からゆっくりと息を吸い、腹部を膨らませる
  4. 10秒を目安に口からゆっくりと息を吐き出す
  5. 1分間を目安に、1~4の手順を繰り返す

呼吸が整ったら、マインドフルネス瞑想を始めます。そのまま連続で進めて問題ありません。手順は以下の通りです。

  1. 目を閉じて気持ちを落ち着かせる。手は両膝の上に置く
  2. “今”の呼吸に意識を向ける
  3. 雑念にとらわれた場合、“今”感じている気持ちを心の中で繰り返し唱える(不安・怒りの感情に向き合い、受け入れる)
  4. 再び呼吸に意識を向ける
  5. 5分間を目安に、1~4の手順を繰り返す

ヨガのように特別な動きはなく、“今”に意識を集中させるだけです。禅に近いイメージで、誰でも気軽に実践できるのが魅力でしょう。ただし、マインドフルネスには注意点もあります。そのひとつが、自分の「ネガティブな感情と向き合うこと」です。不適切な瞑想方法を実践している場合、自身の心が不安・怒りといったネガティブな感情に支配される可能性があります。社員研修などにおいては、雑念の対処法を正しく伝えることが重要です。

企業の導入例

「Google」や「Yahoo!」などの大企業は、早い段階からマインドフルネスをマネジメント領域に活かしていました。たとえば、「Google」の場合。同社では「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」と呼ばれるマインドフルネスプログラムを実践しています。

「SIY」は、会社設立9年目にあたる2007年頃から導入されました。1日30分のプログラミングに対し、社員が自主的に参加する仕組みです。参加した社員の多くがパフォーマンス向上を実感しています。また「Yahoo!」では、「SIY」をベースにしたマインドフルネスプログラムを考案しています。同社は社員一人ひとりのメタ認知(自己の在り方)が重要であると考え、自身を客観視できるプログラムをメインに実践しています。

このように、名だたる大企業では、独自のマインドフルネスプログラムを早い段階で実践しています。最近は国内においても、「Google」の「SIY」を社員研修に取り入れる企業が増えており、マインドフルネスの認知向上につながっているようです。

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