東京都の高齢者は増加傾向。雇用への関係は?

更新日:2023.03.01ビジネス豆知識

高齢の労働者

2007年、日本は全人口の14%以上が65歳以上となる超高齢者社会に突入しました。その影響を受け、転職市場における人材不足の深刻化、若手人材の減少などが社会問題となっています。そこで今回は、東京都における高齢者人口推移と、近年注目されるシニア採用についてご紹介します。高齢化する日本社会を救うのは、高度経済成長を生きたシニア達かもしれません。

東京都の高齢者人口推移

はじめに、東京都における高齢者人口推移を見ていきます。東京都が公表した「令和元年9月15日時点の高齢者人口」によると、令和元年(9月時点)における65歳以上〜74歳未満の男女は147.6万人、75歳以上は161.9万人でした。

【令和元年(9月時点)】

□0歳以上〜14歳未満:156.1万人
□15歳以上〜64歳未満:860.2万人
□65歳以上〜74歳未満:147.6万人
□75歳以上:161.9万人
□男女計:1325.7万人

65歳以上の男女を高齢者とするならば、その割合は全体の約23%です。一般的に全人口の7%が高齢者になると高齢社会、14%以上で超高齢社会と呼ばれます。東京都のみにおいても、日本社会の超高齢化の片鱗が伺えます。

次に、平成11年から令和元年までの高齢者人口推移を見ていきましょう。

【東京都の高齢者人口推移(65歳以上)】

・平成11年:180.5万人
・平成16年:216.1万人
・平成21年:254.2万人
・平成26年:289.4万人
・平成30年:307.7万人
・令和元年:309.4万人

上記から分かる通り、平成11年から約20年間で130万人近くの高齢者が増加しています。統計調査の実施年により差はあるものの、5年間に40万人前後、1年あたり10万人前後は増えていることが分かります。

全国的に増加している高齢者の労働人口

超高齢化者会を迎えた今、全国の労働力人口に占める高齢者の割合は、増加の一途を辿っています。内閣府が公表した「令和元年版高齢社会白書」によると、2017年時点における65歳以上の労働人口割合は、12.2%でした。調査が始まった1980年の人口割合が4.9%であるため、およそ40年間で7ポイント程度上昇したかたちです。

推移グラフを細かく見ると、1980年(4.9%)から2011年(8.9%)までは緩やかな一方、2011年から2017年にかけては毎年1ポイント程度と、急上昇しています。この背景には、2013年に改正された高年齢者雇用安定法に基づく、定年後再雇用制度の存在があります。従業員の希望次第で定年後も労働契約が結べる様になったため、高齢労働者が増加しているものと考えられます。

なお、少子高齢化の影響から若手人材を確保できず、一時的な雇用確保措置で高齢者を雇う企業は増えています。高齢者の雇用には、メリット・デメリットがそれぞれあります。この点においても、以下で詳しく解説していきます。

シニア採用の特徴

近年、どの様な業種・分野においても人材不足が深刻化していますが、その緩和策として、「シニア採用」が注目されています。ここでは、シニア採用の特徴をご紹介します。

シニア採用とは?

シニア採用とは、定年退職を迎えた65歳以上の高齢者の雇用を目指す採用手法です。シニア採用が注目される理由は、大きくわけて2つあります。ひとつは、先述した少子高齢化の影響(人材不足)、もうひとつは高齢者が優れたキャリア・専門スキルを保有する潜在労働力と評価されていることです。

65歳以上の高齢者は、いわゆる“団塊世代”にあたります。彼らは高度経済成長やバブル経済を経験しており、豊かな人生経験とキャリアをあわせ持つ人材が中心です。加えて、「定年後も働き続けたい」といった労働意欲の高い人材が多く、人材不足が深刻化する今日において、企業側も見過ごせない存在となっています。実際に現場では、業務効率化若手人材の教育など、さまざまな画面で活躍しています。

シニア採用に積極的な業種とは?

マイナビが行った「シニア採用に関する業種別企業調査」によると、以下5つの業種において、全企業の7割がシニア採用を行っていることが分かりました。

□販売・接客(74.3%)
□警備・交通誘導(85.5%)
□清掃(73.0%)
□事務・コールセンター(70.0%)
□介護(84.5%)

上記はすべて非正規雇用となりますが、65歳以上の高齢者を積極的に採用している業種です。例えば、「販売・接客」においては、主にコンビニやスーパーでの採用を指します。とりわけ注目したいのがコンビニです。ここ数年、「セブンイレブン」「ローソン」「ファミリーマート」といった大手コンビニチェーンでは、高齢者の“能力”を評価したシニアスタッフの確保に乗り出しています。

近年のコンビニは、地域のインフラとしての機能を果たしています。特に地方は地域密着型店舗が多く、高齢利用者も多い傾向にあります。それにあわせてコンビニ各社は、2018年頃から高齢者向けの買い物支援サービスや移動販売、弁当配達サービスを開始します。

利用者一人ひとりに寄り添えるという理由から、シニアスタッフの採用に力を入れています。また、「事務・コールセンター」の業種においても、シニア採用に積極的です。その理由はいくつかありますが、求人を掲載すると多数の応募が集まり、人材を確保しやすいためといわれます。いずれにしても、「肉体労働は辛いが事務職であれば定年後も働ける」と考える人が多いのかもしれません。

シニア採用のメリットとは?

ここでは、シニア採用のメリットを3つのポイントに絞ってお話します。

メリット1.労働力不足の緩和

シニア人材は、若手人材に比べて採用倍率が低い傾向にあります。よって、早急な人材確保に有効な選択肢です。“2025年問題”が控える今、少子高齢化の加速は目に見えています。早い段階からシニア採用に乗り出し、優秀な人材を確保することが労働力不足の緩和、ひいては企業競争力の強化につながるといえます。

メリット2.仕事に意欲的な人材が集まりやすい

シニア人材は仕事に意欲的であり、それぞれ目的・目標を持って働く人が多く見られます。「何のために働くのか?」は非常に重要で、それが仕事のやりがいにつながるのは明白です。一方、若手人材は仕事への意欲が低く、早期退職も珍しくはありません。仕事に真摯に向き合い、長期的かつ安定的に働いてくれるとなれば、シニア人材を採用しない手はないでしょう。

メリット3.若手人材の成長につながる

豊富な知識・スキルを持つシニア人材は、若手人材の教育係に適しています。中には役職経験のある方もいるため、若手人材にとって良い刺激が得られるでしょう。いわば師匠と弟子の様な関係性を構築できるため、シニア世代が培ってきた知識などを、若手に継承する良い機会となります。

シニア採用のデメリットとは?

さまざまなメリットがある一方、見過ごせないデメリットもあります。ここでは、シニア採用のデメリットをお話します。

デメリット1.健康面が懸念される

シニア採用の大きなデメリットは、人材の体力・健康麺に懸念があることです。人によってはフルタイム勤務が難しく、その人材のみ雇用契約や勤務時間を変えるなどの工夫が必要です。また若手人材に比べると、急病リスクが大きい点も挙げられます。肉体的負荷の大きな業務ほど、気軽には採用できない実情があります。

デメリット2.適切なポジションが必要

シニア採用を行う場合、人材配置には配慮しなければなりません。例えば、若手人材が中心の部署に配置しても、周囲に溶け込めない可能性があります。体力的な違いもあり、若手に付いていくのが大変な方もいるはずです。どの様なポジションを用意するかは、業務内容や配属部署を比較検討したうえで決めなければなりません。

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