ワーキングプアの意味は?労働者が貧困になる事情

2020.06.09ビジネス豆知識
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フルタイムで勤務しても生活レベルが低いままのワーキングプアは、いま大きな社会問題になっています。社会人であれば、身近な時事問題としてワーキングプアについて詳しく知っておいたほうがよいでしょう。そこで今回は、ワーキングプアの基礎知識や増加した要因、東京の現状や代表的なワーキングプア対策をご紹介します。

ワーキングプア

 

ワーキングプアとは

ワーキングプアとは、フルタイムで勤務しても最低限の生活水準を維持することが難しい労働者のことです。

 

ワーキングプアの定義

一般的にワーキングプアは、生活保護が必要となる水準(年収200万円)以下の低所得者を意味します。

ただ生活費の地域差や家族の人数の違いは反映されていないため、定義としては不十分です。年収が200万円に満たなくても、同一世帯の家族が生活保護水準を超える収入を得ていればワーキングプアとは見なせません。

専門家によっては、ワーキングプアを低所得の個人でなく「最低生活費以下の収入しか得ていない世帯」と定義しています。

 

女性や高学歴に多いワーキングプア

ワーキングプアは、男性より女性のほうが多いと指摘されています。国税庁が2017年に実施した民間給与実態に関する統計調査によれば、日本人の平均給与432万円に対し男性は532万円ですが女性は287万円です。

雇用形態を比較すると男性は正規2339万人・非正規669万人との結果でしたが、女性は正規1137万人・非正規1451万人であり非正規が多少なりとも上回ります。

ワーキングプアのなかには、高学歴の労働者も少なからず見られます。大学院重点化政策により多くの学生が大学院に進んだものの、修了後の就職先が見つからず非正規で働いているケースが増えた模様です。

 

ワーキングプアの推移

ワーキングプアの推移を見ると、比率が上昇した時期は1997~2002年と2007~2012年の期間です。

1997年には全国で4.2%だったワーキングプアが、2002年に6.9%まで増えます。2007年に一度は6.7%に低下しますが、2012年には9.7%に達しました。2012年の比率は1997年の2倍超であり、ワーキングプアが大幅に増えたと理解できます。

 

ワーキングプアが増加した要因

1997~2002年と2007~2012年の間にワーキングプアが増加した主要原因は、バブル崩壊後の就職氷河期、労働市場の規制緩和・自由化、非正規雇用の増加と考えられています。

 

バブル崩壊後の就職氷河期

日本経済は1988年からバブル景気が本格化しますが、1990年の株価や地価の暴落により終わりを迎えます。それでも1993年から景気は回復傾向を示し、1997年には新卒の就職状況が一度は持ち直しました。

しかし同年の後半には大手金融機関の経営破綻もあり景気は急速に冷え込み、再び就職状況は悪化に転じます。就職環境が厳しくなるなか、正規雇用の機会を逃した多くの就活生は非正規でも働くことを選びました。

 

労働市場の規制緩和・自由化

バブル崩壊による日本経済の悪化は、労働市場の規制緩和や自由化を促進します。大手企業の多くも不景気の影響を受け、コスト面の負担が重い人件費を節約するため非正規での採用枠を広げていきました。

数年が経過しても就職氷河期が終わる気配は見えず、規制緩和の波は強まります。新卒でも正規採用される見込みは薄くなり、就活中に内定を得られないまま卒業した新卒者が非正規で雇用される流れは加速しました。

 

非正規雇用の増加

長く続いた就職氷河期は、一旦、2005年に終結します。しばらく新規採用を控えていた企業は人材不足に見舞われ、求人倍率はバブル期以前のレベルに回復します。ただ主な採用対象は将来性を見込める新卒者、賃金の安い外国人労働者、実績のある定年退職者であり、既卒者の雇用環境はとくに改善されません。

その後、リーマンショック(2008年)や東日本大震災(2011年)により再び就職難の時代となり非正規雇用がさらに増加し、2012年のワーキングプアの比率上昇を招いたと考えられています。

 

ワーキングプアの現状

総務省が2019年に報告した労働力調査によると役員以外の労働者5,596万人のうち非正規雇用は2,120万人であり、全体の4割近くを占めました。雇用形態を問わず2018年の年収が200万円未満であった人数は1,873万人に達し、正規雇用を含めた労働者の3割以上がワーキングプア層と見なされています。

 

東京の貧困状況

上述した専門家の定義をふまえ家族の人数ごとに東京の最低生活費を算出した結果は、1人世帯143万6,799円、2人世帯220万874円、3人世帯304万2,087円、4人世帯360万8,207円、5人以上の世帯428万1457円でした。

世帯収入がこれらの数値以下になる家庭を貧困層と考えた場合、東京の貧困率は1992年に7.6%、1997年9.4%、2002年13.8%、2007年12.6%、2012年16.8%です。2007年にやや減少しますが2007年~2012年の上昇幅は4.2ポイントとなり、貧困層は増加傾向にあるといえます。

 

全国平均との比較

全国の世帯人数別の最低生活費は、地域によって異なります。東京に隣接する県でも、千葉では1人世帯128万8,255円、2人世帯200万1,364円、3人世帯281万5,900円、4人世帯339万4439円、5人以上423万1,698円です。

各地の最低生活費を基準として道府県別に貧困率を割り出した場合、全国平均は1992年9.2%、1997年10.1%、2002年14.6%、2007年14.4%、2012年18.3%と推移します。平均値は東京を上回るものの、全体に増加する傾向は変わりません。2007年~2012年の上昇幅は3.9ポイントであり、全国平均より東京のほうが上昇率は高いと考えられます。

 

 

ワーキングプア対策

現時点でワーキングプアの減少に役立つと期待される代表的な対策は、経済的援助と就労支援です。

 

経済的援助

経済的な援助には、ワーキングプア層の生活水準を直接的に高める効果があると考えられます。

最低賃金は、もともと労働者の健康的な生活を守るために設定されたセーフティーネットです。それでもワーキングプアを生み出している以上、本来の役割を十分に果たしているとはいえません。

財政的に余裕がないとしても、労働者全体の生活水準を高めるには資金援助が不可欠と考えられます。

 

就労支援

ワーキングプア層は、スキルの低さから希望職種での正規雇用が難しくなるケースも見られます。その場合、就労支援は労働者のスキルアップにつながる有効な方法です。

現在、公共職業案内所(ハローワーク)では相談窓口を設置するとともにセミナーを通して書類作成や面接指導を実施しています。有効活用すれば、基本的なビジネスマナーや専門性の高いスキルを習得できるでしょう。

充実した職業訓練により技量が高まった時には、職場で活躍するチャンスが広がり収入増を見込めます。

さらに近年は、親の介護や子育てを行いながら働いている家庭も増えています。そんな世帯は時間的に余裕がない場合も多いため、ゆとりある生活を実現するうえでは介護・子育て支援も重要です。これらの支援体制を整備することで、ワーキングプアは減っていくと見込まれます。

 

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