「ピア効果」でお互いを高めあう職場へ
更新日:2023.03.09ビジネス豆知識英語のpeer(ピア)は、「仲間」や「同僚」といった意味を持っています。そんな言葉に由来するピア効果は、仲間とチームになって仕事すると個人より生産性を高められることで注目を集めています。職場でピア効果が有効に機能すれば、会社の業績アップを望めるかもしれません。そこで今回は、ピア効果の基本的な特徴とともにビジネスにもたらすメリットや導入方法をご紹介します。
目次
ピア効果とは
ピア効果とは、仲間や同僚がお互いに影響を及ぼす作用を指します。大きく分けると、正のピア効果と負のピア効果の2種類です。
正のピア効果
正のピア効果は、仲間や同僚がお互いに刺激するなかで各々の能力や生産性を高める相乗効果を指します。勉強やスポーツでは、お互いを意識することで競争心がわき起こり実力以上の結果を生むケースがいろいろ知られています。自転車競技のタイムを計測したアメリカの調査では、単独走行より複数人で一緒に走行したほうが好タイムを出しました。仕事も同様であり、ひとつの業務を個人で進めるのでなくチームで取り組むと生産性は上がるといわれています。その際、ピア効果がプラスに働くのは個々のレベルが近い場合です。チームのメンバー同士がお互いに負けたくないと思うためライバル関係が生まれ、切磋琢磨するなかで普段以上の力が発揮されると考えられています。
負のピア効果
負のピア効果もお互いに影響を及ぼす作用ですが、正のピア効果と異なりプラスには働きません。このケースは、お互いの能力が離れている場合によく見られます。スポーツなら、相手が自分より大きく劣っていると勝負にならないでしょう。実力を出さなくても勝てる試合であれば、競争心やライバル関係は生まれないのが自然です。
仕事であれば、能力の異なるメンバーがチームを組んで一緒に作業してもお互いに切磋琢磨することは難しいでしょう。共同で作業すれば、たいていレベルの高いメンバーが能力の劣るメンバーの遅れやミスをフォローすることになります。悪くすればハイレベルなメンバーに仕事が偏り、やる気の低下を招くかもしれません。これらの点から、仕事でピア効果をプラスに働かせるにはメンバー構成への配慮が不可欠です。
ピア効果を高めるには
仕事でピア効果をプラス方向で高めるには、メンバー構成への配慮とともにチーム報酬制度やピアボーナスと呼ばれるシステムが有効と考えられています。
チーム報酬制度とは
チーム報酬制度とは、仕事の成果に対する報酬をメンバー個人でなくチーム全体に与える仕組みです。すでに述べた通り、能力の近いメンバーでチームを構成すると適切な競争が生まれやすくなると分かっています。お互いが競争相手にふさわしいため業務へのモチベーションは高まり、生産性の向上につながります。
この点がビジネス分野でも注目されるなか、最近はチームに成果報酬を提供する企業が増えている状況です。とくに専門性の高いメンバーでチームを形成した場合、この報酬制度は大いに有効性を発揮しています。各メンバーは問題が生じてもお互いに助け合いながらチームとして成長しようと考えるため、より多くの成果が上がると理解されています。
ピアボーナスとは
ピアボーナスとは、メンバー同士がお互いの作業や業務成果を評価するシステムです。それぞれ、評価を通じて他のメンバーに報酬を贈れます。本来、人事評価や報酬については経営側の管轄です。仕事の評価方法や給与額は、会社の経営方針にもとづいて決められます。従来の仕組みでは、会社の収益に直接つながる成果ほど高く評価される傾向にあります。
メンバーが評価する場合、分かりやすい成果だけでなく目につきにくい地道な努力も見逃しません。チームで一緒に働いていれば、1日にわたる作業風景が一通り目に入ります。数字として明確に表れない業務も重要であると認識しているので、こつこつと作業しているメンバーにも正当な評価と報酬を与えられます。ピアボーナスでは会社が見落としがちな業務も評価対象になり、参加メンバーのモチベーション向上に効果的です。
ピア効果がもたらすメリット
ピア効果は、それぞれのメンバーがお互いを刺激することでチーム全体の仕事への意欲や生産性が向上するといったメリットをもたらします。
メンバー同士がお互いを刺激
ピア効果がうまく機能すると、メンバー同士はお互いを刺激し合います。能力の近いメンバーがよい仕事をすれば、同レベルの力を持つ自分にもできると考えるでしょう。この考え方がチーム全体に広がれば、ひとつの成果にメンバー全員が多少なりとも刺激を受けると期待できます。
お互いが刺激し合う関係から生まれるのは、業績をめぐる競争ばかりではありません。チームとして一体感があれば、他のメンバーが好成績を上げた時に足を引っ張るのはよくないと考えるでしょう。協力するのが当たり前になり、強いパートナーシップが芽生えると見込めます。チームがまとまっていると競争心だけでなく仲間意識も発生し、メンバーの成果を素直に喜べるため業績の奪い合いといった生産性を下げる事態の回避にもつながります。
仕事への意欲や生産性が向上
職場で同じくらい能力のある同僚に恵まれると、良い刺激になります。個人的に競争する場合でも、影響力は小さくありません、チームを組めばライバルと呼べる仲間がより身近な存在なり、どんな仕事をするのか強く意識するでしょう。ライバルが業績を増やすほど、自分が頑張らなければと仕事への意欲は高まると考えられます。
ライバル同士が切磋琢磨すれば、相乗効果でそれぞれの仕事の質がよくなっても不思議ではありません。お互いの優れた点を学び合えば、どちらも仕事のスキルは磨かれます。これまでと同じ作業を進めるにしても、スキルが上達していれば以前より短時間で高品質に仕上げられるため生産性は向上します。ピア効果がプラスに機能した時には、個々のスキルアップにより職場全体の底上げも実現できるでしょう。
ピア効果の導入方法
職場にピア効果を取り入れるには、チームの編成が不可欠です。その際、先に紹介したチーム報酬制度やピアボーナスを組み合わせれば効果は高まると期待できます。
チームづくり
チームづくりでは、上述の通りメンバー選びが大切です。能力差の大きいメンバーを集めるとやる気を損なう恐れがあるので、能力別のチーム分けが望ましいといえます。ハイレベルのチームなら、難しい仕事も任せても問題ないと考えられます。そうでないチームの場合、簡単な作業から徐々に難易度を上げていけばメンバーのレベルアップを見込めるでしょう。全体にレベルが上がった時には能力差への配慮が必要なくなるため、どのメンバーが一緒のチームになっても正のピア効果を得られるかもしれません。
チーム報酬制度を導入するタイミング
仕事の能力が同じくらいの仲間でメンバーを構成しても、チームがまとまる保証はありません。メンバー同士に一体感を持たせる際には、チーム報酬制度が効力を発揮します。この制度の評価対象は、あくまで個人でなくチームとしての成果です。チームが業績を残した時、それに見合った報酬が与えられます。個々の能力が優れていても、チームで結果を出さなければ評価を得られません。メンバーはチームで動くことが求められるため、お互いに競争しながらも力を合わせる意識が育まれます。
ピアボーナスの活用法
ピアボーナスは、成果の大小に関係なく業務全般を評価対象に含むシステムです。簡単な作業であっても、高く評価される可能性があります。誰でも、他人に認められたいという自己承認欲求を持っています。仕事に不慣れでも、その思いは変わりません。ピアボーナスを活用すると、目立った成果がなくてもチームに認めてもらえる場合があります。
仲間が認めてくれたら自信につながり、もっと頑張ろうと思えるでしょう。ピアボーナスの導入によりメンバー同士が認め合えれば、チームや職場の活性化も望めます。社員の評価に関してお悩みの場合は、一度ピアボーナスを試してみると良いかもしれません。
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