シニア層の部下とうまく付き合うには

更新日:2023.04.07ビジネス豆知識

シニア層の部下と握手する若手管理職

近年、転職や昇進などのタイミングで、年上の部下ができることが増えてきています。年下の部下を持ってみたものの、どう接していいか分からず困惑してしまう方も多いのではないでしょうか。実際に上司部下の関係がうまくいかず、仕事に支障が出てしまうケースも少なくないようです。年控除列制度の見直しや再雇用制度などの影響で、シニア層の部下を持つ方は今後ますます増えると考えられます。では、シニア層の部下ができた場合、どういったマネジメントを行っていけば良いのでしょうか。適切な人間関係を築き仕事を円滑に進めるための、シニア層の部下との付き合い方をご紹介します

再雇用制度とは?

再雇用制度には2種類あります。ひとつは妊娠・出産・育児を理由に退職した女性を元の企業が再び雇用する女性の再雇用、もうひとつは、定年後の労働者を再び雇用する定年後再雇用です。まずは、再雇用制度がどういった制度なのかを確認してみましょう。

再雇用制度が一般化した理由

日本で定年制を定めている企業は、2017年時点で95.5%というデータがあります。定年の年齢は企業によってさまざまですが、79.3%の企業が未だに60歳を定年としているといえいます。

しかし、ほとんどの企業が60歳を定年と定めているのに対し、2013年から厚生年金の受給開始年齢は65歳に引き上げられてしまったのです。定年して給料が支給されないにもかかわらず年金も受け取れない期間が5年間も発生してしまっては、困窮してしまう高齢者が生まれてしまいます。これを回避するために施行されたのが、「高年齢者雇用安定法」です。この法律によって定年を65歳未満に定めている企業は、定年後も希望する者は全員雇用することが義務づけられたのです。

再雇用制度と勤務延長制度の違い

定年後に再雇用する制度を「継続雇用制度」と呼びます。継続する際にどういった形態で雇用するかによってさらに呼び名が変わり、代表的なものが「勤務延長制度」と「再雇用制度」です。

勤務延長制度は、定年後も退職の形を取らず継続して雇用するものです。再雇用制度は、1度定年で退職したのちに新たに雇用契約を結ぶもので、7割近くの企業は、再雇用制度を導入しています。勤務延長制度の場合、雇用形態が変わらぬまま定年が延長される様なものですが、再雇用制度の場合は一度退職して再就職していることになるため、新入社員の様な立ち位置になります。つまり再雇用制度を導入している企業では、年上の部下ができやすいということです。

なお、定年が65歳未満の企業は、継続雇用制度について就業規則への記載が義務づけられています。定年後の働き方を考える際は、確認してみて下さい。

シニア層の部下とうまく付き合う方法

日本人の多くは年下の上司や同僚を持つことを嫌います。これまで働いてきた実績と経験、プライドのあるシニア層ならなおさらでしょう。年下の上司や同僚もまた、人生の先輩であるシニア層が部下や同僚になると接し方に困ってしまうものです。シニア層の部下ができた場合、どの様にアプローチすべきなのでしょうか。

シニア層の心理を理解する

再雇用制度で再雇用されたシニア層は、これまでの役職も外され給料も下がってしまうため、完全にやる気を失ってしまっている方も少なくありません。これまで会社のために貢献してきた実績もすべてないものにされて、自分を大事に扱ってもらえていないと感じている方もいるかもしれません。

そういったシニア層に対し、これまでは気持ちに寄り添ったアプローチを取り、モチベーションアップを図るのが一般的でした。しかし、この様な対応を取られても置かれた状況は変わらないため、シニア層はかえって拗ねてしまうかもしれません。

本音を引き出す

人間関係がぎくしゃくしてしまう前に、まずはシニア層が新しい環境においてどの様に扱って欲しいかなど、本音を聞き出してみることが大切です。年齢が逆転しているとはいえ、特別扱いされたくないという方もいれば、年下からは尊敬されたいという方もいるでしょう。

職場での人間関係はひとりよがりではうまくいきません。希望通りに扱ってもらうためには、自分がどういった態度で仕事に臨むべきかをシニア層にも意識づけてもらう必要があります。また、何か不満や問題を感じた場合は1対1で話し合いの場を設けるなど、あらかじめルールを決めておくことも大切です。

職場全体で共通の認識を持つ

年下上司がシニア層とどの様に接していいか分からない様に、周囲の方々もシニア層との接し方に戸惑いを感じているはずです。適切な関係を築くためには、職場全体がシニア層との接し方を共有する必要があります。本人の希望を尊重するのはもちろん、周囲の一人ひとりがどの様に接するべきかを考えさせて、シニア層をチームの一員として受け入れる体勢を整えましょう。

適切な人間関係を築くためのポイント

シニア層と適切な人間関係を築くためには、どういった点に注意して接するべきなのでしょうか。ここでは、シニア層の部下に対する際に気をつけたいポイントをご紹介します。

感謝の気持ちを持って接する

通常上司が部下に接する様に、褒めたり叱ったりなどのアプローチをシニア層に行うのは難しいでしょう。シニア層側からしても、年下上司にこの様なアプローチをされるのは快くありません。お互いが気持ち良く仕事をするためには、感謝の気持ちを持って接することがポイントです。例えば、褒める言葉はどうしても上からものをいわれたように感じてしまいます。「○○さんのおかげです」や「助かりました」という感謝の気持ちを伝えれば、高圧的にも感じられないため、シニア層も気持ち良く動いてくれるでしょう。

年齢逆転を意識しすぎない

仕事にやりにくさを感じてしまう原因のひとつは、年齢が逆転していることをお互いが意識しすぎていることが挙げられます。上司と部下という立場や年齢を意識しすぎず、お互いがそれぞれの役割をまっとうするための良きパートナーとして取り組むことが大切です。シニア層にもこの様な認識で業務を行ってもらうために、上下関係を感じさせる様な言動や行動はしないようにしましょう。

重要な仕事も割り振る

実績と経験があるシニア層は、重要な仕事を任せてもらえないことで「必要とされていないのではないか」と感じてしまう可能性があります。チームとして仕事をするうえで、シニア層に対する年齢ゆえの配慮や特別扱いは裏目に出てしまう傾向が強いようです。経験や実力をしっかり評価し、責任のある重要な仕事も割り振るようにしましょう。自尊心が満たされれば、自ら率先してチームを引率してくれる頼もしい存在になってくれるかもしれません。

まだまだ年控除列の思考が根深く残る日本企業では、シニア層の部下を持つことに悩みを抱える方も多いでしょう。大切なのは年齢や立場の上下にこだわらずお互いに敬意を持って接することです。また、この問題は上司だけに押し付ける問題ではなく、会社全体で向き合うべき問題ともいえます。会社全体で受け入れ体勢を整えるために、年齢逆転マネジメントの研修の場を提供するなど、年下上司への支援体制を充実させることなどが求められています。今後ますます増えていくと考えられるシニア層の部下と良い関係を築くために、社員一丸となって対応を模索していきましょう。

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