カリブレーションでモニタリングの質を向上しよう
更新日:2023.02.10電話代行コールセンターで通話内容をチェックするモニタリングは、業務品質を維持・管理するうえで不可欠です。しかし実際は、担当者ごとに評価基準が異なるケースも見られます。モニタリングの質を向上するには、担当者同士の評価基準を合わせるカリブレーションが有効です。そこで今回は、カリブレーションの必要性、大まかな手順、実施する時に大切なポイントなどをご紹介します。
目次
カリブレーションの必要性
コールセンターにおいてカリブレーションとは、オペレーターに対する評価の基準を合わせることです。
カリブレーションとは
もともと英語のカリブレーション(calibration)には、「調整」や「校正」の意味があります。パソコンのディスプレイやプリンターの色合いを安定させるために機器を調整することや、ゲームコントローラーの操作性を正しくする時の調整作業を指す言葉です。
コールセンターでは、人事評価の基準を合わせるという意味で使われ始めました。具体的には、オペレーターをモニタリングする際に、担当者間の認識の差異などを調整する手続きが該当します。コールセンターでは、カリブレーションがモニタリングの質を向上すると期待しています。
モニタリングが抱える問題点
現在のモニタリングについて、コールセンターが頭を悩ましている主な問題点は、担当者の評価基準が必ずしも均一になっていない点です。いくつかの実例としては、担当者の評価に偏りが見られる、あるいは恣意的なものを感じられるケースが挙げられます。いずれにしても、主観が混じりやすいとの声は比較的よく聞かれます。
モニタリングが担当者の主観にもとづいていては、オペレーターを適切に評価するのは困難です。人事評価が的確でなければ職場のモチベーション低下を招く可能性もあり、望ましくありません。オペレーターを正しく評価するうえで、担当者は客観的にモニタリングすることが重要なのです。
カリブレーションの必要性
カリブレーションは、モニタリングの均一性や客観性を高めるのに必要なプロセスのひとつです。職場でカリブレーションが実施されると、モニタリングの担当者同士はお互いの差異を認識できます。相互間の差異の認識は、どれだけ自分が主観的に人事評価していたか自覚することにつながります。
ここで認識された差異や主観性を修正し、それぞれの評価基準を合わせることがカリブレーションの主な目的です。このプロセスにより、担当者の評価は以前より適切になると見込まれます。これらの効果から、モニタリングの質を向上するうえでカリブレーションは欠かせない手続きとなっています。
カリブレーションの手順
カリブレーションの手順は、大まかに「モニタリングの実施」、「評価内容の相互確認」、「評価基準の調整」の3ステップです。最終的な調整結果は、以後のモニタリングシートに反映します。
モニタリングの実施
カリブレーションする際、最初に実施する作業は各々の担当者によるモニタリングです。カリブレーションのためのモニタリングは、通常と異なり担当者全員が同一のコール内容を評価する必要があります。評価対象を同じにすることで、お互いの評価基準の差異が認識しやすくなるためです。
専門性の高い質問やクレーム処理などの特殊なケースは、通常通りに評価するのが難しい可能性があります。普段の評価にどれほど違いがあるかをチェックするなら、日常的によくあるコール内容を選びましょう。モニタリング時には、評価の点数だけでなく、その評価に至った判断理由や根拠についてもしっかりコメントを記載しておくことが不可欠です。
評価内容の相互確認
モニタリングを終えたら、次は評価内容の相互確認です。担当者は、それぞれ自分の評価結果を発表します。ここで意識したいのは、カリブレーションではあくまでモニタリングの評価基準の均一化を目指しているという点です。
自分の評価結果を発表する際、しっかり判断理由や根拠があると説得力は増します。ただし、周りより自分自身の評価のほうが正しいと主張するのは目的でありません。お互いの評価の優劣を競うわけではないと心がけながら、個々の評価内容を照らし合わせ、相互に何が違っているか確認しましょう。
評価基準の調整
担当者同士で一通り評価結果に目を通したら、モニタリングの評価基準を合わせるカリブレーションの開始です。
すべての評価結果について、どんな基準を用いれば担当者全員のモニタリングの質が上がるかについて、意見交換を繰り返します。さまざまな視点を取り入れることは、評価基準の客観性を高めるのに効果的です。
最終的には、すべての担当者で目安となる基準を設定します。評価基準の調整時には、安易な妥協は望ましくありません。可能な限り、担当者全員の合意にもとづく目安の設定が理想的です。
担当者同士でひとつの評価基準が形成できたら、これから利用するモニタリングシートに調整作業の成果を反映させましょう。以上の作業を、担当者を変えたりモニタリングの対象を変えたりしながら繰り返し行います。評価基準を定着させたり、担当者の評価スキルを向上させたりするためには、何度もカリブレーションを実施することが大切です。
カリブレーションのポイント
カリブレーションを実施する際、とくに大切なポイントは「事実面と印象面の区別」です。コール内容の評価は数値化し、評価結果と売上を比較することも重要といわれています。
事実面と印象面を区別
担当者がモニタリングする時、事実面と印象面を区別しながら評価する姿勢が大切です。事実面では、オペレーターが商品案内などで事実を正しく伝えられているかが評価のポイントとなります。一方印象面は、お客様に好印象や満足感を与えられているかなどが評価対象です。
事実面に比べると、印象面の良し悪しを評価する判断基準は明確とはいえません。そのためモニタリングを行う際は、はじめに両者をはっきり区別しておけば、カリブレーションを進めやすくなると考えられます。改めてカリブレーション用のモニタリングシートを作成するなら、この点をふまえた用紙づくりをおすすめします。
コール内容の評価は数値化
効果的なカリブレーションを行うためには、コール内容の評価は数値化することが重要です。たいていの担当者にとって、コール内容を客観的に評価するのは簡単ではありません。とくに印象に左右される項目は、意図的でなくても主観を取り除くのは難しいでしょう。
カリブレーションは、評価結果が可視化されると評価基準を調整しやすくなるため、評価は必ず数値化しましょう。そのうえで判断理由や根拠についても明確にすると、その後の意見交換を活性化するのに効果的です。
売上との比較も重要
カリブレーションでは、評価結果と売上との比較も重要です。コール内容を評価した時は、関連商品の売上に結びついているかまでチェックが求められます。コールセンターがオペレーターの通話内容をモニタリングするのは、会社の売上増進が目的です。いくら職場でモニタリングの質を向上できたと感じても、目的達成に貢献できなければ意味がありません。
この課題をクリアするには、カリブレーションの後も売上のチェック作業が必要です。実際の売上に反映されてはじめて、カリブレーションの効果が反映されたといえます。モニタリングの質の向上と売上の向上が比例しているかを確認しながら、カリブレーションを実施するようにしましょう。
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