災害時に心強い多言語コールセンター

更新日:2023.02.16電話代行

地球の置物

現在、日本を訪れる外国籍の観光客や、国内に在住する外国人の方々の存在は珍しくありません。日本語が話せない場合、よくコミュニケーションに苦労するとの声が聞かれます。とくに問題となるのは、非常事態が起きた時です。病気や自然災害に見舞われた際には、多言語コールセンターが頼りになります。そこで今回は、国や全国各地の自治体が運営する多言語コールセンターのサービス内容などをご紹介します。

多言語コールセンターとは

多言語コールセンターは、日本語以外の話者からお問い合わせの電話があった時にスムーズに対応するためのサービスです。

観光庁が示すサービス

観光庁によると、多言語コールセンターは外国人旅行者にコミュニケーションの不安なく国内を観光してもらうため提供される電話通訳サービスと示されています。近年は、かつてに比べると観光目的で日本を訪れる外国人が増える傾向にあります。旅行者からは、観光中にコミュニケーションで不便を感じたとの声が多く聞かれました。

観光庁が2016年に実施したアンケートを見ると、外国人が日本を旅行中に困ったことは33%で1位を獲得した「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない(英語が通じない等)」です。同回答はもっとも困ったことでも29%で1位になり、観光庁は多言語コールセンターの必要性を認識したと考えられます。

サービスの提供状況

観光庁の報告によると、多言語コールセンターは全国各地でサービスの提供が進んでいます。現時点でサービスを実施している都道府県は、東北地方・関西地方・中国地方・四国地方が中心です。東北地方と瀬戸内地域では、行政区画を超えた広い範囲がサービスの提供対象になっています。

ただ全国レベルで見た場合、まだサービスの提供が始まっていない都道府県も多く見られるのが実状です。外国人が訪れる地域によっては、言葉の壁に苦労する可能性は高まると考えられます。外国人に国内のいずれの地域も快適に旅してもらうには、多言語コールセンターの設置が急務といえるかもしれません。

実際のサービス内容

実際に全国各地の多言語コールセンターが対応している言語は、地域により異なります。観光庁の見解では、多言語コールセンターによる対応が強く望まれる言語は英語、中国語、韓国語です。これら3言語は、いずれも都道府県のサービスで対応率が100%に達しています。ほかには、10以上の言語がサービス対象に含まれます。上記の3つ以外で対応率の高い例を挙げると、タイ語が71%、スペイン語とポルトガル語が59%です。

これらの数字は、ここ数年の外国人旅行者の割合を考慮した結果と考えられます。観光庁の報告結果をふまえた場合、多言語コールセンターのサービス内容は一律ではなく、地域の実情に合わせた違いが見られます。

災害時にも有効な多言語コールセンター

日本政府観光局で運営している多言語コールセンター「ジャパン・ビジター・ホットライン/Japan Visitor Hotline」は、非常時にも外国人旅行者に安心を提供できるサービスです。自然災害などが発生した際、同センターは多言語による以下のサービス提供に努めています。

ジャパン・ビジター・ホットラインのサービスは一般的な観光案内にとどまらず、病気や災害時のサポートも対応範囲です。旅行中には、誰でも体調を崩す可能性があります。あるいは旅先で、自然災害が発生するかもしれません。不慣れな土地で非常事態に見舞われた外国人旅行者は、勝手が分からず不安感が増すと考えられます。

その場合、観光局のホットラインは外国人の不安を軽減するのに有効なサービスです。どの病院であればコミュニケーションに不便を感じず受診できるか分かり、災害情報もいくつかの言語で確認できます。現在は世界的に流行している新型コロナウイルスも対象範囲に含め、相談を受け付けています。

対応言語や支援対象

いまのところ、ジャパン・ビジター・センターが対応している言語は英語・中国語・韓国語です。上述の通り、これら3言語は観光庁の調査で外国人旅行者からの需要が高いと認識されています。実際、2016年に訪日した旅行者の内訳を見ると中国27%、韓国21%、台湾17%、香港8%、米国5%です。そこから、タイ4%、その他18%と続きます。

これらの調査結果をふまえると、上記の3言語で大半の外国人旅行者からの相談には対応できると考えられます。支援対象は、訪日旅行者から直接に連絡があった場合のみです。原則として、仲介者を交えた通訳などはサービスの対象外になっています。

サービスの運営体制

ジャパン・ビジター・ホットラインは、基本的に年中無休・24時間対応です。国内を旅行中の外国人には、用件に応じて必要な情報を3言語により案内しています。旅先での体調不良や発病のため病院で受診したい場合、外国語に対応している医療機関の紹介が可能です。見知らぬ土地で体調が思わしくないなか、病院探しに時間を取られる心配はありません。

自然災害が発生した時には、訪日中の外国人に向け気象関係や交通機関の運行状況について情報発信しています。各種案内を確認すれば、あらかじめ天候や交通機関の動きを把握しながら旅を続けられます。現在は公式Twitterやスマホ対応のアプリもあり、非常時の情報収集に多くの手間はかかりません。

全国各地の多言語コールセンター

全国では、日本政府観光局だけでなく各地の自治体などが災害時における多言語コールセンターの運用を開始しました。運営体制やサービス内容は、それぞれのセンターにより違いが見られます。

宮崎市のサービス

宮崎市は、災害発生時の備えとして複数の言語で電話通訳する多言語コールセンターを開設しました。同センターが対応している言語は、英語・中国語・韓国語を含めた20言語です。他には、タイ語・ベトナム語・インドネシア語・タガログ語やネパール語などが使えます。

電話は24時間対応で、通話料は発生しません。地震や大雨に見舞われた場合、市役所に電話すれば訪日中の旅行者に限らず災害情報について確認できます。当サービスは、災害発生時のみ受付可能です。幅広い言語に対応している点は、大きな長所と考えられます。

大分市のサービス

大分市は、19もの言語による、災害時の多言語通訳サービスを運用しています。同サービスが対応している言語は、英語・中国語・韓国語のほかにタイ語・ベトナム語・インドネシア語・マレー語やネパール語です。とくに需要の高い3言語以外は、地域性が反映された結果と考えられます。

支援対象は、同市内に滞在中の訪日観光客や普段から在住している外国人です。災害が発生した時には、24時間対応の通訳サービスにより円滑なコミュニケーションに努めます。災害発生時、市内に災害警戒本部や災害対策本部が設置された直後からサービスは開始されます。フリーダイヤルのため、利用料は不要です。

その他のサービス

最近は、国や自治体以外による多言語コールセンターの通訳サービスも知られています。一例を挙げると、サービス内容は以下の通りです。電話通訳に対応している言語は、英語・中国語・韓国語をはじめポルトガル語、スペイン語やタイ語を含めた13言語に及びます。オペレーターが各言語に特化している点は、特徴的です。

業務が開始される前にはサービス内容に応じた研修や専門的なトレーニングが実施され、高品質の通訳サービスを心がけています。これまでの実績としては、公共分野で活用されるケースが多く見られます。いまは、国内の実情に合わせ全国各地でさまざまなタイプの多言語コールセンターが利用可能です。そのため、訪日観光客と国内在住の外国人ともに災害時に大きな不安を抱かず過ごせると考えられます。

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