コールセンター業務の倫理規定やガイドラインと対策について

更新日:2024.04.12コールセンター

コールセンター業務の倫理規定やガイドラインと対策について

コールセンター業務では印象のよい電話対応が求められ、礼儀正しい言動を心がける倫理観が重視されています。とはいえ、問題意識の欠如から、トラブルを引き起こすケースも見られます。このような現状を考慮した場合、コールセンターは、倫理的な問題の発生に備える必要があるでしょう。そこで今回は、コールセンター業務における倫理の重要性をふまえ、コールセンターが守るべき倫理規定や社内で対応する方法をご紹介します

コールセンター業務における倫理の重要性

コールセンター業務における倫理の重要性

コールセンター業務は顧客の信頼感を左右する可能性が高く、大量の個人情報を扱うことからも、適切な倫理観は重要です

コールセンター業務と倫理

コールセンターは、顧客にとって企業との数少ない接点であり、よく「企業の顔」といわれます。この特徴から、コールセンター業務は、企業イメージに影響するケースが多く見られます。顧客から問合せがあった時、節度ある言動を心がけないと、苦情やトラブルを招きがちです。言動によっては企業の信頼を損ねる可能性もあり、コールセンター業務に関わる事業者や従事者は、適切に業務を進めるため一定レベルの倫理観が求められてきます。

倫理的な問題の例

コールセンター業務の不備が招く倫理的な問題は、顧客情報の漏洩などです。この業務は膨大な顧客情報を取り扱いますが、関係者の倫理観が欠けているとセキュリティ管理の不備が起こり、情報漏洩につながります。オペレーターに倫理的な意識が足りない場合、不適切な対応により、顧客から不快に思われるケースが珍しくありません。

あまりに倫理観が欠落していると、差別的な発言・虚偽情報の提供・過剰な販売行為といった事態も起こります。これらの問題を防ぐうえで、コールセンター業務の関係者は、きちんと倫理観を身につけておく必要があると考えられます。

倫理的な問題の対策

倫理的な問題の発生を防ぐには、倫理規定を策定するといった対策が大切です。コールセンターで倫理規定を策定した場合、すべての業務関係者が適切な言動を心がけるうえで判断基準になります。また、社員教育を実施すると共通の倫理観が広まり、各自の問題意識を高めるのにも有効です。コンプライアンス体制の構築も、社内全体の倫理的な意識を向上するのに効果を発揮すると考えられます。

さらに、定期的な監査を実施すれば、問題のある言動を改善する方法として役立つと期待できます。どのように倫理的な問題を防ぐか迷った時は、以上の方法などで対策してみるとよいでしょう。

コールセンターが守るべき規定をご紹介

コールセンターが守るべき規定をご紹介

コールセンターが守るべき規定については、一般社団法人日本コールセンター協会(以前の社団法人日本テレマーケティング協会)が示しています

日本コールセンター協会についてはこちら

コールセンター業務倫理綱領について

コールセンター業務倫理綱領は、コールセンター業務に対する信頼を維持・増大する目的で、日本コールセンター協会により定められた基本事項です。かつて基本事項は5つでしたが、2021年8月30日の改定に伴い9項目に増えました。最初の項目では、すべての人々の人権を尊重することが求められています。日本コールセンター協会の会員は、生活者・消費者・従業員や取引先を問わず、人権を尊重しなければならないと示されています。

次の項目は、コールセンターの社会的責任に関する規定です。ここでは、関係法令を遵守するとともに関係者などの権利を尊重し、正しい企業活動を行うことで社会的責任を果たすように定められています。3番目の規定は、コールセンター業務に臨むうえで心がけるべき姿勢です。実務を進める時は、真実を伝えるとともに、法令遵守・公序良俗の尊重・よりよい秩序の形成に努める意識が望まれています。さらに、4番目以降では、情報の正確性・価値あるサービスの提供・個人情報の保護なども必要である旨が記されています。

参照:一般社団法人日本コールセンター協会 コールセンター業務倫理綱領(参照 2024-03)

コールセンター業務倫理ガイドラインについて

コールセンター業務倫理ガイドラインは、コールセンター業務に関わる事業者と従事者が守るべき倫理的な原則や基準を示した指標です。具体的には、「総則」や「適正な事業活動」など7つの章で構成されています。最初の総則で示されたガイドラインの目的は、コールセンター業務の社会的な信頼を高めて同業務の健全な発展に貢献することです。適用対象はコールセンターや関連業務の全体であり、すべての関係者にとって行動規範になることを期待しています。

第2章は、適正な事業活動が具体的に示された項目です。コールセンター業務の関係者は、専門家としての誇りある姿勢が求められています。また、顧客に対しては誠実に応対し、電話する時は氏名・目的を明示するなどの行動規範が示されています。第3章の内容は、「質の高いサービスの提供」です。ここでは、コールセンター業務の関係者に向けて、高い企業倫理と礼節の維持が呼びかけられています。さらに、オペレーターを教育する際、各業務に適した能力・技術レベルの確保が望まれています。

第4章は、「個人情報・プライバシーの尊重」について記された部分です。コールセンター業務の全関係者は、「個人情報の保護に関する法律」や関連する通達・ガイドラインを遵守するものと定められています。続いて、第5章以降は「社会とのつながり」などがテーマに取り上げられ、コールセンター業務の関係者に求められる意識・業務姿勢や行動規範が示されています。

参照:一般社団法人日本コールセンター協会 コールセンター業務倫理ガイドライン(参照 2024-03)

個人情報保護に関するガイドラインについて

コールセンター業務における個人情報保護に関するガイドラインは、「個人情報の保護に関する法律」と関連法をふまえて定められた指針です。昨今は、個人情報の売買をはじめ不正利用が多発し、さまざまな業界で個人情報保護の必要性が高まっています。とくにコールセンター業務は各種の顧客情報に触れる場面が多く、適切に情報管理する体制は不可欠です

このような状況のもと、2005年4月に定められた同ガイドラインは、日本コールセンター協会により2023年8月に改定されました。ガイドライン制定の目的は、コールセンター業務における個人情報の適切な取扱いを支援することです。個人情報の適正・有効な活用により、豊かな国民生活の実現とともに個人の権利・利益の保護などを目指しています。

この指針が示した定義によれば、「個人情報」は、「生存する個人に関する情報」です。具体的には、氏名・生年月日をはじめ、特定の個人を識別できる各種情報や個人識別符号を含むものが該当します。日本コールセンター協会の会員は、個人情報を取り扱う時、できるだけ利用目的を特定しなければなりません。また、利用目的が変わる場合、最初の目的との関連性や合理的な理由が求められます。加えて、変更後の目的は、本人へ通知するか公表する決まりです。

通常、特定の利用目的を超えて個人情報を取り扱うには、本人の同意を得る必要があります。生命・財産の保護に関わる時など一部の例外を除き、本人の同意なしに本来の目的以外で個人情報は取り扱えません。現在は個人情報に対する関心・問題意識が高いため、コールセンター業務を進めていく際、同ガイドラインの内容は把握しておくのがよいと考えられます。

参照:一般社団法人日本コールセンター協会 コールセンター業務における個人情報保護に関するガイドライン(参照 2024-03)

倫理意識を高める実践的な社内対応とは

倫理意識を高める実践的な社内対応とは

業務倫理綱領や業務倫理ガイドラインに社内で対応するには、経営層のコミットメントや社員教育が必要になると考えられます

経営層のコミットメント

実際にコールセンター業務の倫理綱領やガイドラインをふまえて各業務を進めていく場合、経営層のコミットメントは重要です。会社役員や管理職が責任をもって倫理規定の実践に取り組めば、社内の理解・協力は得やすくなると期待できます。

社員教育

社員教育は、倫理規定を社内に浸透させる方法として効果的です。各々の社員が細かい規定内容について理解を深めれば、その倫理観にもとづき行動する意識は強まると見込まれます。

社内報や相談窓口の設置

社内報は、コールセンター全体で倫理規定を共有するのに効果があります。また、相談窓口を設置すると、各業務を進めるなかで倫理的な問題が起きた時、当事者が相談しやすくなります。

評価制度の導入

倫理的な項目に関する評価制度の導入は、各業務に従事する人員のモチベーションを上げるのに有用です。オペレーターの誠実で礼儀正しい電話対応が高く評価された場合、仕事への意欲は強まり応対品質の向上に結びつくでしょう。コールセンター業務の倫理綱領やガイドラインは、適切に対応すれば、多くの効果をもたらすと期待されます。そのため、できるだけ規定内容は熟知し、実務に活かすことをおすすめします。

高品質の電話対応を実現するために

高品質の電話対応を実現するために

コールセンターが高品質の電話対応を実現するうえで、適切な言動につながる倫理観は重要です。具体的な行動規範の指標として、日本コールセンター協会作成の倫理綱領やガイドラインは参考になりますその内容をふまえて倫理規定の策定や社員教育を実施すれば、倫理意識の向上や倫理的な問題の防止につながると考えられます

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