貸金業務取扱主任者のキャリア|試験概要や資格取得後の流れ

更新日:2024.10.10スタッフブログ

貸金業務取扱主任者のキャリア|試験概要や資格取得後の流れ

貸金(かしきん)業務取扱主任者は、貸金業を営むうえで必須とされる資格です。資格試験に合格して有資格者になれば、いろいろな場面で役立つと考えられます。ただし、人によっては、試験の難易度に不安に感じているかもしれません。この機会に、貸金業務取扱主任者の理解を深めておけば、不安の解消につながるでしょう。そこで今回は、貸金業務取扱主任者の資格・試験の概要や難易度・合格率について解説し、資格取得後の流れやキャリアをご紹介します

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貸金業務取扱主任者|資格の概要

貸金業務取扱主任者|資格の概要

貸金業務取扱主任者は、貸金業法の改正に伴い創設・施行された貸金業務に関する国家資格です。

貸金業務取扱主任者とは

現在の貸金業務取扱主任者は、かつて民間資格であったものが国家資格になったといわれる資格制度です。日本貸金業協会によると、この資格制度は2003年の貸金業法改正で創設され、2006年の改正法3条施行により国家資格になったと説明されています。

また、同改正法にもとづき、資格試験が開始されました。貸金業法の定義によれば、貸金業務取扱主任者の主な役割は、貸金業務を適正に遂行するための助言・指導です。有資格者は、資金業の従事者を適切に助言・指導し、法令を遵守した貸金業務の実施へと導くように求められています。これらの規定をふまえた場合、貸金業務取扱主任者は、貸金業務を適正化するうえで重要な役割を担っているといえるでしょう。

日本貸金業協会 貸金業務取扱主任者とは (参照 2024-09)

試験日程

貸金業務取扱主任者の資格試験は、貸金業法のもと日本貸金業協会が実施している試験です。同協会の資料によると、2024年度の試験日程は、次の通りに発表されています。

申込受付期間 2024年7月1日(月)~9月10日(火)
試験日 2024年11月17日(日)
合格発表 2025年1月10日(金)

試験を受けるのに必要な資格はなく、年齢・性別・学歴などを問わず誰でも受験可能です。また、受験申込は個人・団体のいずれも可能であり、申込方法は郵送申込とインターネット申込を選択できます。その際、受験手数料として、1人につき8,500円が必要になります。試験当日のスケジュールは、以下の流れで進められる予定です。

スケジュール 時間
試験会場の集合時間 12時15分
注意事項の説明 12時40分
本試験の実施時間 13時~15時

試験問題は4肢択一式が50問あり、すべて筆記でマークシートに解答する方式となっています。また、身体に障害などがあり通常の受験が難しい時は、特別措置を受けられる場合があります。合格者については、2025年1月10日に同協会のホームページで受験番号が発表される見通しです。さらに、当日は合格証書が交付となり、簡易書留で合格者のもとに送られます。なお、試験の詳細は実施要領などに示されています。具体的な試験内容・諸注意や過去問を細かく知りたい時は、日本貸金業協会のホームページや問合せ窓口でご確認ください。

日本貸金業協会 令和6年度試験実施要領 (参照 2024-09)
日本貸金業協会 試験の実施方法 (参照2024-09)

貸金業務取扱主任者|難易度・合格率

貸金業務取扱主任者|難易度・合格率

貸金業務取扱主任者資格試験の合格率は、ここ数年間の試験結果を見る限り、およそ30%です。また、年齢別の合格率に大差はなく、一般的に試験の難易度は低めと見られています。

合格率・合格者数の推移

2019年度~2023年度の結果を見た場合、各年度の合格率は、30%・33.9%・32.2%・26.6%・31%でした。一昨年は20%台にとどまっていますが、昨年は再び30%台に回復しています。具体的な受験者・合格者の内訳は、日本貸金業協会により、それぞれ次の数値が示されています。

年度 受験者(人) 合格者(人) 合格率
2019 10,003 3,001 30%
2020 10,533 3,567 33.9%
2021 10,491 3,373 32.2%
2022 9,950 2,644 26.6%
2023 9,448 2,928 31%

以上の数値から、近年は貸金業務取扱主任者資格試験に約10,000人が挑戦し、3,000人前後が合格していると理解できます。

日本貸金業協会 試験の結果について (参照 2024-09)

年齢別の難易度

貸金業務取扱主任者資格試験:年齢別合格率

貸金業務取扱主任者資格試験の合格率を年齢別に比べた場合、およそ2割~4割が合格している状況です。2019年度以降、20歳代以下は30.1%・36.8%・33.7%・30.7%・35.0%であり、いずれも3割を上回っています。30歳代は、31.1%・32.8%・31.4%・28.1%・32.6%となり、一昨年を除いて3割を超えました。

40歳代は28.4%・32.3%・31.4%・24.0%・27.6%。50歳代は30.5%・32.5%・30.9%・22.3%・26.8%と推移し、ほぼ3割近くに達しています。また、60歳代は30.6%・34.7%・42.5%・28.4%・38.5%となり、年度によっては4割前後に及びました。

年度 20歳代以下 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代
2019 30.1% 31.1% 28.4% 30.5% 30.6%
2020 36.8% 32.8% 32.3% 32.5% 34.7%
2021 33.7% 31.4% 31.4% 30.9% 42.5%
2022 30.7% 28.1% 24.0% 22.3% 28.4%
2023 35.0% 32.6% 27.6% 26.8% 38.5%

これらの数値をふまえるなら、試験の合格率は、年代別に見ても基本的に約3割と考えてよいでしょう。そのため、貸金業務取扱主任者資格試験は比較的に難易度が低いといわれ、適切に勉強すれば合格できる可能性は高いとの声が多く聞かれます。

日本貸金業協会 試験の結果について (参照 2024-09)

貸金業務取扱主任者|合格後の流れ

貸金業務取扱主任者|合格後の流れ

資格試験に合格後、実際に貸金業務取扱主任者として活動する場合、登録申請を済ませることが必要です。

主任者登録の申請

主任者登録の申請に関する事務手続きは、貸金業法の規定にもとづき、日本貸金業協会が内閣総理大臣の委任を受けて進めます。

申請資格

資格試験の合格者は、法的に定められた登録拒否要件に該当しない場合、主任者登録を申請することが可能です。具体的な要件としては、適正な職務の執行が難しい時や破産手続きが開始され復権していないケースが挙げられます。登録申請者が拒否要件に該当せず申請資格が認められた場合、日本貸金業協会から主任者登録を受けると、貸金業務取扱主任者の業務を開始できます。

登録講習

登録講習は、所定のケースに該当する時、主任者登録の申請前に受講を求められる講習です。個人受験で試験に合格してから10カ月を超えると、登録申請する前の6カ月以内に講習を受ける必要があります。団体申請の場合、合格者が受講するのは、合格後に9カ月を超えた時です。また、主任者登録の更新を申請する場合も、申請前の6カ月以内に登録講習を受ける必要が生じます。

日本貸金業協会 主任者登録の概要 (参照 2024-09)
日本貸金業協会 主任者登録を受けられない方 (参照2024-09)

主任者登録の有効期間

主任者登録の有効期間は、登録完了から3年間です。所定の期間を過ぎると、法的な効力は失われます。貸金業務取扱主任者が主任者登録を継続するうえで、登録更新の申請手続きは不可欠です。有効期限の6カ月前~2カ月前(団体申請は3カ月前)に申請した場合、現行の登録番号のまま主任者の業務を続けられます。

一方、申請が有効期限の2カ月前(団体申請は3カ月前)を過ぎると、原則的に新しい登録番号が交付されます。主な理由は、登録事務が済むまで約2カ月かかり、現行の番号は有効期日で登録抹消となる可能性が高いためです。なお、現在の主任者には、有効期限の18カ月前~12カ月前頃に有効期限・登録講習の案内が送られてきます。この案内が届いてから速やかに登録更新を申請すれば、主任者登録が抹消される心配はないでしょう。

日本貸金業協会 主任者登録の概要 (参照 2024-09)

貸金業務取扱主任者|合格後のキャリア

貸金業務取扱主任者|合格後のキャリア

貸金業務取扱主任者は、資格試験に合格して主任者登録した後、幅広い分野でキャリアを積めるといわれています。具体的に有資格者がキャリアアップを期待できる業種は、貸金業・金融関係や保険業界です。いずれも、様々な融資を行う場合があり、貸金業の専門知識を活かせる機会は多いと考えられます。

金融関係の場合、貸金業務取扱主任者の就職先としては、銀行・証券会社や信用金庫が代表的です。また、保険会社やコンサルティング会社も、専門的なスキルが役立つ勤務先に挙げられます。貸金業務取扱主任者の専門性が求められる業務は、いくつか具体例を示すと、企業の経営コンサルタントや投資ファンドの審査部門です。他に、クレジットカード会社の事務を担当するケースも見られます。多くの企業では、会社によっては資格手当を受け取れる可能性があり、キャリアアップで有利になるとの声は少なくありません。

さらに、貸金業務を手がける営業所は、現行法により従業員50人あたり貸金業務取扱主任者1人以上の配置を義務づけられています。このような現状から、貸金業務取扱主任者の需要は高いと見込まれるため、資格試験に挑戦する価値は十分にあると考えられます。

金融庁 貸金業法改正等の概要 (参照 2024-09)

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