LGBT 理解増進法の現状|企業に求められる対策とは?

更新日:2024.05.02スタッフブログ

LGBT 理解増進法の現状|企業に求められる対策とは?

LGBTQは、多様な性・性的マイノリティの総称として使われています。現在、多様な性・性的マイノリティについての理解は深まり、世界的に性の多様性を認める動きは盛んです。ただし、多様な性への差別・偏見も残ったままといわれ、ビジネスの場では職場環境の改善が求められています。この課題を解決へ導くには、どのような方法が有効か確認しておくと役立つでしょう。そこで今回は、LGBTQの現状を解説し、日本で施行されたLGBT理解増進法の概要や同法のもとで企業が取るべき対応をご紹介します。

【LGBTについてもっと知りたい方はこちら】

LGBTQの現状について

LGBTQの現状について

LGBTQに関しては、最近になり人々の理解が深まり始めた状況です。また、国内外では、社会的に受容する動きが以前より活発化しています

LGBTQとは

LGBTQは、多様な性のあり方を表現した言葉の一つです。かつては、LGBTが多用されていました。それに対し、近年は多様な性について理解が進み、語尾にQが加わるほかLGBTQ+やLGBTQIA+などの表現も考え出されています。これらの表現は、それぞれ以下の頭文字を取った略称です。

L:Lesbian(レズビアン)
G:Gay(ゲイ)
B:Bisexual(バイセクシュアル)
T:Transgender(トランスジェンダー)
Q:Queer/Questioning(クィア/クエスチョニング)
I :Intersex(インターセックス)
A:Asexual(アセクシャル)

レズビアンは女性同性愛者、ゲイは男性同性愛者、バイセクシュアルは両性愛者を意味する言葉です。トランスジェンダーは、生物的な性別と自己認識している心の性が一致していない状態を指しています。クィアは広義の性的マイノリティを意味し、クエスチョニングは心の性や性的指向が定まっていない状態です。また、インターセックスは身体的に両性を有している場合、アセクシャルは性的な恋愛感情を抱かないケースと説明されています。さらに、性のあり方は以上にとどまらないため、末尾に「+」が付される表現も用いられています。

LGBTQにまつわる現状

LGBTQにまつわる現状は、国・地域によって様々です。もともと、多様な性について理解を求める動きは、ゲイに対する差別撤廃や法的権利の獲得を目指す活動が出発点といわれています。この動きは1970年代に活性化し、世界へ広がったと見られています。近年は多様な性に関する差別意識は薄まりつつあり、この変化は、法律や教育面に反映され始めました。

法的な動きを見ると、オランダは、世界で最初に同性婚を合法化した国です。同性婚を認めた法律は、2001年に施行されました。また、同国では、2012年から学校教育で「性の多様性」を扱うことも義務化されています。ほかには、スウェーデンやフランスも、同性婚を法律で認めてLGBTQの教育を推進している国々です。一方日本は、まだ同性婚を認める制度は定められていません。そのため、世界より遅れていると指摘されています。それでも、様々な取り組みが進行中であり、教育の場でもLGBTQへの理解が求められています。

LGBT理解増進法の概要について

LGBT理解増進法の概要について

「LGBT理解増進法」は、多様な性のあり方に対する日本国民の理解を増進するために制定された法律です

法案の概要について

LGBT理解増進法の正式名称は、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」です。同法は、2023年6月23日に公布・施行されました。内閣府によれば、多様な性を受け入れる精神の育成や性の多様性に寛容な社会の実現が、法律制定の主な目的と説明されています。その背景には、国内で多様な性への理解が十分とはいえず、LGBTQの人々が生きづらく感じている状況があると指摘されています。

また、内閣府の説明によると、同法はいわゆる理念法です。具体的な基本理念としては、誰でも性的指向やジェンダーアイデンティティに関係なく平等に尊重されるものであると示されています。あくまで理念法であり、国民に法律上の権利・義務は発生しません。ただし、LGBTQの理解増進に向け、国は施策の策定・実施に努める必要があります。また、地方公共団体や事業主も、国民の理解を深めるため努力するように求められています。

内閣府 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律の施行について(通知)(参照 2024–04)
内閣府 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和5年法律第68号)(概要)(参照 2024–04)
内閣府 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律に関するQ&A(参照 2024–04)

LGBT当事者からも反発の声

2023年施行のLGBT理解増進法に対し、当事者からは、懸念や反発の声が出ている状況です。同法は、当事者の間で全面的に否定されているわけではありません。実際、LGBTQへの理解を深める姿勢は大事であると認める意見、また基本理念は素晴らしいと評価する声も聞かれます。

ただし、理念法に位置づけられるため、法的な禁止事項や法律違反に対する罰則規定は設けられていません。LGBTQの人々が差別を受けた場合、差別した側は罰を受けずに済むだろうといわれています。当事者は同法により法的に守られる保証はないとの見方から、安心して暮らせるようにはならないと懸念されています。

法律施行から1年定着の程は?

LGBT理解増進法は施行から1年近く経過しましたが、十分に定着したとはいえないでしょう。近年、LGBTQの認知度は、国内でも高まったといわれています。厚生労働省が実施した企業アンケートによると、「性的マイノリティやLGBTを多少は知っている・聞いたことはある」との回答は、93%に達しました。

また、地方自治体や企業では、数年前から同性のパートナーを認める動きが増えつつあります。とはいえ、同法の施行でLGBTQをめぐる環境が改善されたとの声は、とくに聞かれません。逆に、条文の解釈によっては、差別・偏見が加速するのではないかと危惧する声も出ています。まだ、同法が大きな効果を発揮したといえる状況ではなく、これからLGBTQの正しい理解につながる取り組みを進めていく必要があると考えられます

厚生労働省 職場におけるダイバーシティ推進事業報告書(Ⅴ.調査結果のまとめ)(参照 2024–04)

「LGBT理解増進法」施行で企業が取るべき対応

「LGBT理解増進法」施行で企業が取るべき対応

LGBT理解増進法の施行に伴い企業が取るべきとされる対応は、LGBTQフレンドリー宣言性的マイノリティが働きやすい職場環境づくりです。

「LGBTQフレンドリー宣言」について

LGBTQフレンドリーは、LGBTQを差別せず友好関係の構築を目指す姿勢です。ビジネスの場では、多様な性に理解を示して支援する施策などが該当します。実際にLGBTQフレンドリー宣言を推進している企業としては、ナイキが有名です。この分野における資金援助は多額であり、様々な関係団体を支援しています。名称は異なりますが、マイクロソフトは「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」を採択し、誰もが差別なく扱われる職場づくりを進めています。

また、IKEAは、LGBTQの従業員を手厚く支援している企業です。社内で性自認に関する悩みがあればカウンセリングを行い、性転換手術の費用も一部負担しています。近年、LGBTQフレンドリー宣言を実施する企業は増える傾向にあり、多くの職場が支援環境の整備に取り組んでいます。

環境づくりの重要性

企業が人材確保するうえで、LGBTQの人々が働きやすい職場環境づくりは重要です。若い世代にとってLGBTQは身近な存在であり、多様な性を尊重するのは当然になってきているといわれています。このような考え方から、性的マイノリティが差別される環境には、厳しい目が向けられる可能性があります。そのため、企業がLGBTQに配慮した職場環境を整備すれば、若手が離れる事態を防ぐのに効果があるでしょう。

また、人材を確保しやすくなるだけでなく社会的な評価も得られ、ブランドイメージの向上にもつながると期待できます。性的マイノリティを差別しない環境づくりは企業にとってメリットが大きく、ビジネスの場において重要性は高いと考えられます

LGBTQ従業員が働きやすい環境づくりのために

LGBTQ従業員が働きやすい環境づくりのために

LGBTQの従業員が働きやすい環境を整備する場合、ハード・ソフトの両面で取り組むことが大切です

ハード面での環境づくり

ハード面での環境づくりとしては、性の多様性に関する情報提供相談窓口の設置が挙げられます。多様な性のあり方を情報提供する場合、社内報や社内研修で普及啓発する方法が有効でしょう。いずれも、LGBTQの正確な情報を伝え、偏見や差別意識をなくすことが重要になります。相談窓口の設置は、LGBTQに関する悩みを解消するうえで効果的と考えられる取り組みです。社内に相談窓口があれば従業員は悩みを打ち明けられるため、安心して働きやすくなると見込まれます。

ソフト面での環境づくり

ソフト面で環境づくりを進める場合、パートナーシップ制度を活用して福利厚生を充実する方法が代表的です。パートナーシップ制度は、同性のパートナーを異性のパートナーと区別なく取り扱うための仕組みです。企業で導入すると、LGBTQの従業員は社内制度で差別されにくくなります。この制度が福利厚生に適用された場合、同性のパートナーがいる従業員は、異性の相手がいるケースと同様に家賃補助や育児休暇を取得できます。

また、制度上で事実婚が認められた時は、結婚祝い金や家族手当を受け取ることも可能です。以上のような方法により企業が多様な性を受け入れれば、LGBTQの従業員は自分らしく働きやすくなるでしょう。そのため、これから社内でLGBTQの理解増進に取り組むなら、ハード面とソフト面で環境整備することをおすすめします

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