法務研修を効果的に進める具体的なプログラム例
更新日:2023.06.02スタッフブログ法務研修は、主に企業の法務部が実施する研修の一つです。法務部は、従業員による法律違反を防いでスムーズな企業運営に貢献する役割を担っています。適切なプログラムにもとづき研修を実施すれば、社内で法令遵守の意識などを高めるのに大きな効果を発揮するでしょう。そこで今回は、法務研修の目的・種類をふまえ、研修対象・テーマとなる法律・具体的なプログラムの内容などをご紹介します。
目次
法務研修の目的・種類
法務研修は、企業における法律関係の知識向上などを目指した研修です。基本的に法務部の担当であり、研修内容によって複数の種類があります。以下では、法務研修の主な目的や種類をご紹介します。
法務研修の主な目的
法務研修の主な目的は、法律に関する従業員の知識向上および企業運営・事業展開の妨げになる法律違反の防止です。一般企業に勤める従業員の多くは法律の専門家ではなく、法的な知識には詳しくないと考えられます。法律関係の知識が乏しいまま業務に臨むと、意図せず法律違反を犯すリスクがあります。従業員が業務上で法律違反を避けるには、仕事関係の法律知識を理解しておくことが大切です。
注意する必要がある事項や、法律に抵触する行為などについての法的知識を増やせば、法律違反を防ぎやすくなります。法律に関する従業員の知識向上は、企業にとっても有益です。すべての従業員の間で法令遵守の意識が高まれば、日頃の企業運営にとどまらず、新たな事業を展開するなかでも法律違反は起きにくくなります。
従業員が法律に対する理解を深めれば法的トラブルの防止につながるため、企業の法務部は従業員の法的知識の向上を目的に研修を実施することがあります。法務部のない会社も多いため、研修をアウトソースするパターンも珍しくありません。
法務研修の種類
現在の法務研修は、研修内容の種類が多彩です。主な種類としては、ビジネス法務研修・コンプライアンス研修・ハラスメント研修が挙げられます。
ビジネス法務研修
売買契約や商品取引に関わる法律の知識を伝える研修です。契約関係では民法や商法などについて、取引関係では独占禁止法や不正競争防止法などについての法的知識を説明し、従業員による違法契約・不正取引の発生防止を目指します。
コンプライアンス研修
法令を遵守する意識の育成が主な目的です。研修を通じて誰もが法令遵守を求められていると伝え、コンプライアンスに対する従業員の意識向上につなげます。
ハラスメント研修
各種のハラスメントを防ぐための研修です。パワーハラスメント/セクシュアル・ハラスメント/マタニティハラスメントなどの定義や実例を説明し、実際に問題が起きた時は適切に対応することを従業員に求めます。
多岐にわたる法律関係の研修を実施することで法的トラブルの防止につなげ、コンプライアンスや企業倫理に配慮した事業運営を目指します。
法務研修の対象・テーマとなる法律
法務研修の対象者はさまざまです。また、多くの法律が研修内容のテーマに取り上げられます。以下では、誰が研修対象となり、どういった法律が取り上げられるかご紹介します。
法務研修の主な対象
法務研修の主な対象は、新入社員および法務部・総務部・営業部の従業員、また管理職やマネージャー職です。
新入社員
多くの新入社員は入社したばかりで社会人としての経験が浅く、コンプライアンスや企業倫理に対する意識も培われていない可能性があります。無自覚に法律違反するリスクも懸念されるため、研修による法的知識の理解・習得は怠れません。
法務部・総務部
法務部・総務部は、就業規則の作成やハラスメント対策など法的な問題に関わる機会が多い部署です。従業員は時世に合わせ改正される法律を正しく理解しておく必要があり、日頃から社内研修による最新知識の確認が求められています。
営業部
営業部の従業員は、営業活動や契約交渉で法的トラブルを起こさないために、コンプライアンスや企業倫理をふまえて行動する意識が欠かせません。顧客や取引先に法令遵守の姿勢を示すうえで、法務研修による法的知識の把握は不可欠です。
管理職・マネージャー職
管理職・マネージャー職は、多くの従業員をまとめる立場にある役職です。従業員が法的トラブルを起こした時には問題を解決する必要があり、法務研修を通して適切に対処する能力を高めることが大切になります。
それぞれ法務研修で求められるものは異なるため、対象者に応じて研修の内容やレベルを変える必要があると考えられます。
研修テーマとなる法律
法務研修でテーマに取り上げられる法律は、民法・商法・個人情報保護法・独占禁止法などです。
民法と商法は、研修対象に関係なく多くの法務研修で主題に選ばれる基本的な法律です。いずれも企業が顧客や取引先と契約を交わす時に深く関わってくるため、従業員は一定レベルの知識を習得しておく必要があります。
個人情報保護法は、従業員や顧客の情報を守る必要性の高さからビジネスの場で重視されている法律です。不正アクセスで個人情報が漏れるトラブルは珍しくなく、研修では法的知識とともに情報管理の方法を説明するケースが多く見られます。
独占禁止法は、不公正な取引をはじめ不当な方法による利益の独占などを禁じた法律です。企業は自由競争を妨げないため公正に取引する必要があり、研修では入札や価格決定に関する法的知識の習得・理解が求められます。
いずれの法律も、企業の利益ばかり追求していると違反する可能性が高く、法務研修で法的知識の理解を深めることは重要と考えられます。
具体的なプログラムの内容
法務研修では、研修の種類に合わせてプログラムを設定すると、従業員の法的知識や法令遵守の意識を向上するのに効果的です。以下では、主な法務研修における具体的なプログラムの内容をご紹介します。
ビジネス法務研修
ビジネス法務研修は、社会人に必須の法的知識を中心としたプログラムが基本です。この研修の主な目的は、売買契約や商品取引に関わる法的知識の伝達です。テーマとなる法律は、民法・商法や独占禁止法、また公正な市場競争を促す不正競争防止法などまで広範囲に及びます。
また、研修プログラムには、法的知識の伝達だけでなく法令遵守の重要性を説明する時間も設けることが大切です。ビジネスの必須マナーなども話題に盛り込めば、社会人に欠かせない節度ある行動を学べる研修になるでしょう。
コンプライアンス研修
コンプライアンス研修は、法令遵守に必要な知識や法的トラブル発生時の対処法を説明することが主なプログラムの内容です。法令を守るうえで必要な知識としては、企業・従業員が法律違反しないために心がけたい業務姿勢が挙げられます。
最近はSNSに投稿した軽率な言動が大きな社会問題になることがあるため、コンプライアンス研修で注意喚起することは重要です。また、法的トラブルが発生した時、問題を早期解決するには、迅速かつ適切に対処する必要があります。そのため、研修プログラムには、社会的信頼の回復につながる方法を盛り込むことも望ましいと考えられます。
ハラスメント研修
ハラスメント研修のプログラムは、さまざまなハラスメントに関する知識・職場での防止方法・問題発生時の対策がメインの内容です。昨今、ビジネスの場で起きるハラスメントの種類は、多岐にわたっています。ハラスメントの現状をふまえた場合、研修では、それぞれの法的定義や実例を説明する必要があります。企業・従業員にとって問題の発生は好ましくなく、職場で防止する方法の伝達も不可欠です。
さらに企業は、被害を受けた従業員をサポートする必要があり、問題発覚時に上司や同僚が求められる対策を伝えることも必須と考えられます。
法務研修は、法的知識とともに法令遵守の重要性なども伝えると従業員の意識向上につながるため、法律関連の話題を幅広くプログラムに入れることはおすすめです。
この記事を読まれている方へのオススメ
>>ビジネスパーソンが陥りやすい法令違反
>>気を付けよう、こんなにあるハラスメント
>>パワハラ防止法とは?企業の義務や注意点
最新記事 by 電話代行サービス株式会社広報部 (全て見る)
- 法学検定とは|資格取得のメリットと試験概要 - 2024年10月14日
- 取引先との忘年会!気をつけておきたいお金とマナー - 2024年10月11日
- 勤労感謝の日に考える社員のメンタルヘルスケアの方法 - 2024年10月9日