自分の要望をアサーティブに伝えるDESC法
更新日:2023.02.16スタッフブログ他人とコミュニケーションを取る際、自己主張が得意な人と苦手な人に分けられます。自己主張が苦手な人は、伝えたいことが伝えられずに、もどかしい気持ちになったり、うまく伝えられなくて悩んでしまったりすることが多いのではないでしょうか。ビジネスシーンでも自分の要望をはっきり伝えなくてはならない場面は多いため、重要なスキルといえます。今回は、自己主張が苦手な人でも自分の要望をアサーティブに伝えることができるDESC法についてご紹介します。
目次
アサーションとは?
DESC法を実践する前に、アサーションの理解を深める必要があります。アサーションとは、1950年代の米国で自己主張が苦手な人のための心理療法から誕生したというコミュニケーション技法のひとつです。まずはアサーションの基本的な考え方からご紹介します。
アサーションの基本
アサーションでは、相手も自分も大切にしながら自分の意見を率直かつ素直に主張できる「自他尊重」の関係を目指しています。アサーションは、自分の気持ちを表現したり伝えたりすることはもちろん、相手の話を聞いたり受け止めたりすることも大切という考え方をします。
「私はこう感じたけど、あなたの気持ちは?」など、自分の気持ちを伝えつつ相手の自己表現を引き出し受け止めようとするところが特徴です。
自己表現には、攻撃的・非主張的・アサーションの3種類あるといわれています。攻撃的な自己表現は、自己中心的で相手の権利を侵し、非主張的な自己表現は、自分の人権を否定してしまうことがあります。
アサーションは、「相手と自分に平等に持っている権利=アサーション権」を守りながら自己表現する方法です。アサーション権は数えきれないほど多く存在しますが、根本的には自分も相手も大切に、だれもが自分らしくあってよいという権利のことです。
アサーションを使ったコミュニケーションを実践する時に便利なのがDESC法です。DESC法は、アサーティブに自己表現するためのマニュアルのようなものといわれています。
DESC法とは?
アサーションの一部であるDESC法は、アサーティブに自分の意見や要望を伝えるのに便利です。DESC法の基礎ステップや具体例をご紹介します。
DESC法の基礎
DESC法は、自分の伝えたいことを4つのステップに分けて考えます。DESCとは「Describe:描写する」「Explain:説明する」「Specify:提案する」「Choose:選択する」の頭文字を取ったもので、この順に沿ってコミュニケーションを取るということです。
D=Describe(描写する)
まずは、現状を客観的に見て事実のみを伝えます。ここでは、話し合いたいテーマや解決したいことをしっかり伝えましょう。自分の感情や臆測などを入れず、顕在している事実のみを客観的に描写することが大切です。
E=Explain(説明する)
次に、描写した事実に対する自分の意見やどう感じているかなど、主観的な気持ちを伝えます。相手のことを思いやり、共感できる点は共感を示すようにしましょう。ここでは、感情に任せて攻撃的な表現にならないよう注意が必要です。また、曖昧ではない、明確な表現が求められます。
S=Specify(提案する)
次は、解決策になるような代替案や自分の希望を相手に提案するステップです。相手に無理をさせるような強制的な提案は避け、相手の同意が得られるよう、具体的で現実的な提案を心がけましょう。ここで欲張った提案や非現実的な要求をしたりすると、相手が心を閉ざしてしまう可能性があるため注意が必要です。頭文字と意味が同じ「Suggest」に置き換えられる場合もあります。
C=Choose(選択する)
最後は、提案に対して相手がどう受け止めるかによって、それぞれ選択肢を提示します。提案したことが必ずしも受け入れられるとは限らないので、断られた場合も想定して選択肢を用意しておくことが大切です。自分の気持ちを押し付け、相手に不快感を与えてしまわないように心がけましょう。
DESC法を使った具体例
具体的な例を挙げてDESC法を説明します。仕事中に何かを依頼され、忙しいから断りたいというシチュエーションです。
D:本日中に終わらせなければならない自分の仕事が残っているため、それに費やす時間がありません。終わり次第でもよければ引き受けられます。(具体的に自分の状況を説明する)
E:引き受けたい気持ちはあるのですが、何分このような状況なのでご理解いただけると助かります。(相手を思いやりつつ、事実に対する自分の意見を伝える)
S:本日中は対応できる保証がないため、明日対応するというのはいかがでしょうか?(現実的で明確な解決策を提案する)
C:明日優先的に対応させていただくか、本日中が希望であればほかに対応可能な人を探します。(提案が受け入れられた場合と受け入れられなかった場合の選択肢を提示する)
DESC法活用のポイント
DESC法を活用する際は、結論であるChooseから考え、逆算して話を組み立てることがおすすめです。DESCのステップを踏んで結論に行きつくように構成すれば、より相手に伝わりやすくなるでしょう。また、相手が思い通りの返答をするとも限りません。自分の思い描く結果に至らなかったとしても、強制的に自分の意見を通すようなことはしないように気をつけましょう。
DESC法のメリット・デメリット
DESC法を活用したコミュニケーションでは、さまざまなメリット・デメリットがあります。双方理解したうえで活用するようにしましょう。
DESC法のメリット
DESC法のメリットは、自分の伝えた意見に対し、相手の納得が得られやすいということです。順を追って段階的に話を進めるDESC法は、簡潔で分かりやすく建設的な話し合いになりやすいという特徴があります。プライベートではもちろん、ビジネスシーンで信頼関係を築くためにも、相手の感情に配慮したコミュニケーションは非常に重要です。お互いが納得する形で話を進めたい場面では、DESC法を活用してみましょう。
また、お互いを尊重しながらコミュニケーションを取るDESC法は、ハラスメント対策としても非常に有効です。職場でのコミュニケーションに自信のない方は、自分の言動をDESC法に当てはめて考えてみることで、改善点が見つかるかもしれません。
DESC法のデメリット
DESC法のデメリットは、相手の感情や意見に配慮する必要があるため、自分の意見を強く主張できないという点です。常に決定権が相手にあるため、相手の意見に合わせなくてはならないのです。どうしても譲れない意見がある時や、相手の意見が明らかに間違っていて受け入れられない場合などは、DESC法は不向きといえます。
また、相手の反応を先読みして複数の選択肢を考えなくてはならないという点もデメリットといえるでしょう。コミュニケーションを取るたびに、相手の意見を想定したり、それに対する複数の選択肢を用意したりすることはかなりの負担といえます。
まとめ
コミュニケーション方法のひとつであるアサーションと、アサーションを実践する際に便利なDESC法についてご紹介しました。DESC法はアサーションの理解を深め、建設的に話を進めるのに有効的な方法ですが、絶対この形に当てはめなければならないというわけではありません。あまり形式にとらわれすぎると、コミュニケーションが堅苦しくなってしまうため注意しましょう。
また、人とのコミュニケーションは、DESC法を使ったからといって必ずうまくいくとは限りません。しかし、DESC法はアサーティブに自分の気持ちを伝えたり、自分の言動を客観的に振り返って改善点を見つけたりするのに役立ちます。ビジネスシーンやプライベートで、人とのコミュニケーションについてお悩みの方は、ぜひアサーションの理解を深め、DESC法を実践してみてください。
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